成瀬さんは世渡りが下手すぎる

喜島 塔

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第二部

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「どうして辞めちゃったの? 勿体なくない?」
 
『扇重工業』は、国内の重工業業界最大手だ。勿論、入社することは、かなり難しい。柊花大学も私立大学では難関大学と呼ばれている大学だが、扇重工に入社できるは、東大レベルの人が殆どだ。唯香は、エントリーシートで振り落とされた。

「いろんなことに疲れちゃったんですよ。中間管理職という立場にも人間関係にも」
 
 なんだか、曖昧で釈然としない理由だなあと、唯香は思った。きっと、その理由は建前の理由であって、本当の理由は別にあるのだろうと思った。

「そんな優秀な方が、私の事務補佐なの? 立場逆にした方がいいって宇野沢さんに言ってみようかな」

 唯香は、笑顔を繕ってみせたが、心中は複雑な気持ちであった。

「いえ、そんな……私、営業事務に携わるのは初めてなので、ゼロからのスタートです。ぜひ、成瀬さんの補佐としてお役に立てるようになれるようご教示のほどよろしくお願いいたします」
 
 そう言って、彼女は、深々と頭を下げた。
 
 出来が悪い問題児に日々イライラさせられるより、常識もあってビジネススキルが高い人と一緒に仕事するほうがいいに決まっている。唯香は、もっともらしい言い訳を心の中でしていた。
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