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第三部
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「みっともない姿をお見せしてしまってすみません……今、私が言ったこと忘れてください。意味はないんです。御覧になってわかったと思いますけど、私、今の部署に異動になってから、メンタルやられちゃってて……たまに、意味のわからないこと言っちゃうんです」
そう言って、若村は嘘の笑顔を繕って、うっかり明かしてしまった“ふたりだけの秘密”をなかったことにするための演出なのか、唯香の眼前で抗うつ剤を飲んでみせた。
「ところで、成瀬さん、私に大事な用があるっておっしゃってましたけど」
「ああ……そう、ね。ちょっと、これに見覚えないかなって思って」
そう言いながら、唯香は、バッグの中から、“薄黄色の封筒”だけを若村の前に差し出してみた。
「普通の封筒ですよね? それと私が何か関係するんですか?」
どうやら、嘘ではない様子だった。とすれば、警告状の犯人は、他の誰かということになる。
「そっか。じゃあ、他にあたってみるわね。ありがとう」
「えっ? 大事な用ってそれだけですか?」
「うん……何となく、“真相”には近付いてきていると思うから。もし、今日、貴女が私に話せなかったことを話したくなったら、ここに連絡くれると嬉しいな」
そう言って、唯香は、八角重工の名刺の裏にプライベートのスマホの電話番号を書いて若村に渡した。午後の就業開始時間まで残すところ、あと十分くらいになっていた。これから、あの薄暗い地下で、“生けるモンスター” に罵声を浴びせられる若村のことを思うと、何だか、唯香まで、どんよりとした気持ちになった。
そう言って、若村は嘘の笑顔を繕って、うっかり明かしてしまった“ふたりだけの秘密”をなかったことにするための演出なのか、唯香の眼前で抗うつ剤を飲んでみせた。
「ところで、成瀬さん、私に大事な用があるっておっしゃってましたけど」
「ああ……そう、ね。ちょっと、これに見覚えないかなって思って」
そう言いながら、唯香は、バッグの中から、“薄黄色の封筒”だけを若村の前に差し出してみた。
「普通の封筒ですよね? それと私が何か関係するんですか?」
どうやら、嘘ではない様子だった。とすれば、警告状の犯人は、他の誰かということになる。
「そっか。じゃあ、他にあたってみるわね。ありがとう」
「えっ? 大事な用ってそれだけですか?」
「うん……何となく、“真相”には近付いてきていると思うから。もし、今日、貴女が私に話せなかったことを話したくなったら、ここに連絡くれると嬉しいな」
そう言って、唯香は、八角重工の名刺の裏にプライベートのスマホの電話番号を書いて若村に渡した。午後の就業開始時間まで残すところ、あと十分くらいになっていた。これから、あの薄暗い地下で、“生けるモンスター” に罵声を浴びせられる若村のことを思うと、何だか、唯香まで、どんよりとした気持ちになった。
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