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第三部
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「あら、ごめんなさいね。私、思ったことを包み隠すことができないのよねえ」
と、片山。
「それこそ、“バカ”なんじゃないの?」
と、栞。
「そういう、あんたこそ、どこ大卒なのよ?」
と、唯香。
「“鳳凰大学”卒ですけど、何か?」
唯香は、片山に売られた喧嘩を買ってしまったことを後悔した。日本一偏差値が高い国立大学より上の大学はないからだ。
「ちょっと! 話の焦点はそこじゃないのよっ! 私たちは、学歴マウントとりに来たんじゃないのよ!」
と、苺のタルトの力で、少し冷静さを取り戻した栞が言った。
「俺、ちょっと、びっくりだよ。片山さんとは、せいらちゃん絡みで何回か会ったことあるけど、もっと、感じのいい人だと思ってたからさ」
と、マンゴーパフェで冷静さを取り戻したタケルが言った。
「そりゃあねえ。せいらさんの前じゃ素は出せないわよー。あの、紀伊家のご令嬢と親しくしてるって言うだけで、私や、私の家族に箔が付くんですものー」
そう言って、片山はせせら笑った。
「ちょっと待ってよ! それ、ばらしちゃっていいの? せいらちゃんは、俺の妻なんだよ? 俺が、このことを、せいらちゃんにチクるって危機感はないの?」
温厚なタケルが怒ったことなんて今まであっただろうか? と唯香は記憶の糸を手繰り寄せてみたが思い出せない。紀伊せいらに負けたような気がして、タケルを思い切り殴りたい衝動に駆られた。
「それは、たぶん大丈夫よー。せいらさんって、お育ちが良過ぎて他人を疑うことを知らないじゃない? まあ、そういうところがイラッとくるんだけどー。まあ、タケルくんがあの子にチクったところで信じないと思うし、ママ友の悪口言われて、逆に、タケルくんが嫌われちゃうんじゃないかしらね?」
唯香は、今まで見たこともないような、タケルの怒りの表情を見てぞっとした。と同時に、自分は、もう、タケルにとって、完全に過去の存在なのだと思い知らされた。
「まあまあ……みんな、落ち着いて! 各々、思うところはあるだろうけど、一旦話を本題に戻しましょう! 本題以外の話は、その後にゆっくりしたらいいでしょ?」
血の気の多い栞が、珍しく仲裁に入った。
と、片山。
「それこそ、“バカ”なんじゃないの?」
と、栞。
「そういう、あんたこそ、どこ大卒なのよ?」
と、唯香。
「“鳳凰大学”卒ですけど、何か?」
唯香は、片山に売られた喧嘩を買ってしまったことを後悔した。日本一偏差値が高い国立大学より上の大学はないからだ。
「ちょっと! 話の焦点はそこじゃないのよっ! 私たちは、学歴マウントとりに来たんじゃないのよ!」
と、苺のタルトの力で、少し冷静さを取り戻した栞が言った。
「俺、ちょっと、びっくりだよ。片山さんとは、せいらちゃん絡みで何回か会ったことあるけど、もっと、感じのいい人だと思ってたからさ」
と、マンゴーパフェで冷静さを取り戻したタケルが言った。
「そりゃあねえ。せいらさんの前じゃ素は出せないわよー。あの、紀伊家のご令嬢と親しくしてるって言うだけで、私や、私の家族に箔が付くんですものー」
そう言って、片山はせせら笑った。
「ちょっと待ってよ! それ、ばらしちゃっていいの? せいらちゃんは、俺の妻なんだよ? 俺が、このことを、せいらちゃんにチクるって危機感はないの?」
温厚なタケルが怒ったことなんて今まであっただろうか? と唯香は記憶の糸を手繰り寄せてみたが思い出せない。紀伊せいらに負けたような気がして、タケルを思い切り殴りたい衝動に駆られた。
「それは、たぶん大丈夫よー。せいらさんって、お育ちが良過ぎて他人を疑うことを知らないじゃない? まあ、そういうところがイラッとくるんだけどー。まあ、タケルくんがあの子にチクったところで信じないと思うし、ママ友の悪口言われて、逆に、タケルくんが嫌われちゃうんじゃないかしらね?」
唯香は、今まで見たこともないような、タケルの怒りの表情を見てぞっとした。と同時に、自分は、もう、タケルにとって、完全に過去の存在なのだと思い知らされた。
「まあまあ……みんな、落ち着いて! 各々、思うところはあるだろうけど、一旦話を本題に戻しましょう! 本題以外の話は、その後にゆっくりしたらいいでしょ?」
血の気の多い栞が、珍しく仲裁に入った。
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