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第三部
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「ねえ、若村さん」
「はい?」
「私ね、あまり、気が長い方じゃないの。あなたは、今日、私に秘密の話を打ち明ける覚悟でここに来た。私は、若村さんの話がどんな内容であれ受け入れる覚悟でここに来た。そして、あなたが、私に打ち明けようとしている話がどんな内容なのか、およそ、見当がついているの……勿体ぶるのは辞めて本題に入りましょう! 私には時間がないの!」
唯香の圧に押された若村沙織の小刻みに震えていた手の震えが止まった。若村の中にある芯みたいなものが突き抜けたような、そんな感じだった。
「わかりました。私が知る“岡崎遼”という男のすべてを打ち明けます。私がこれから成瀬さんに話す内容の真偽は、成瀬さんご自身で判断してください」
「ええ、そのつもりよ。『そんなこと知りたくなかった。知らなければ、私は彼と幸せになることができたのに……』なんて、あなたに責任を押し付けて逆恨みするつもりはないから安心して話して」
「私、八角重工に入社してから、ずっと、岡崎さんに憧れていたんです。今もそうですけど、とにかく格好良くて、仕事ができて、自信に溢れていて……彼を狙っている女性社員なんて山ほどいて、彼を巡る熾烈な女たちの戦いが繰り広げられていました」
「そうなんだぁ。私が入社した時は、彼もまだ3年目くらいの若手社員だったから、そこまで騒がれていなかったのよね。それでも、私の同期の間では将来有望な男ランキングの上位にいたわね」
「成瀬さんも元ミスキャンで騒がれてたって噂で聞いたことありますけど……成瀬さんほどの美貌を備えた方なら、岡崎さんの方から言い寄られる可能性も高かったんじゃないですか? 成瀬さんは彼に興味がなかったんですか?」
「まあね。確かに、同期の子たちの話題に挙がるだけあって素敵な方だとは思ったわよ。でも、私、当時、大学時代から付き合ってた彼氏と同棲してたから……まあ、岡崎さんとは比べ物にならないほどダメな男だけど。なんだかんだ言って一緒に居るのが楽だったし、コイツと結婚するんだろうなって思ってたから……」
「はい?」
「私ね、あまり、気が長い方じゃないの。あなたは、今日、私に秘密の話を打ち明ける覚悟でここに来た。私は、若村さんの話がどんな内容であれ受け入れる覚悟でここに来た。そして、あなたが、私に打ち明けようとしている話がどんな内容なのか、およそ、見当がついているの……勿体ぶるのは辞めて本題に入りましょう! 私には時間がないの!」
唯香の圧に押された若村沙織の小刻みに震えていた手の震えが止まった。若村の中にある芯みたいなものが突き抜けたような、そんな感じだった。
「わかりました。私が知る“岡崎遼”という男のすべてを打ち明けます。私がこれから成瀬さんに話す内容の真偽は、成瀬さんご自身で判断してください」
「ええ、そのつもりよ。『そんなこと知りたくなかった。知らなければ、私は彼と幸せになることができたのに……』なんて、あなたに責任を押し付けて逆恨みするつもりはないから安心して話して」
「私、八角重工に入社してから、ずっと、岡崎さんに憧れていたんです。今もそうですけど、とにかく格好良くて、仕事ができて、自信に溢れていて……彼を狙っている女性社員なんて山ほどいて、彼を巡る熾烈な女たちの戦いが繰り広げられていました」
「そうなんだぁ。私が入社した時は、彼もまだ3年目くらいの若手社員だったから、そこまで騒がれていなかったのよね。それでも、私の同期の間では将来有望な男ランキングの上位にいたわね」
「成瀬さんも元ミスキャンで騒がれてたって噂で聞いたことありますけど……成瀬さんほどの美貌を備えた方なら、岡崎さんの方から言い寄られる可能性も高かったんじゃないですか? 成瀬さんは彼に興味がなかったんですか?」
「まあね。確かに、同期の子たちの話題に挙がるだけあって素敵な方だとは思ったわよ。でも、私、当時、大学時代から付き合ってた彼氏と同棲してたから……まあ、岡崎さんとは比べ物にならないほどダメな男だけど。なんだかんだ言って一緒に居るのが楽だったし、コイツと結婚するんだろうなって思ってたから……」
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