成瀬さんは世渡りが下手すぎる

喜島 塔

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第三部

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 九月吉日。快晴。

 透き通るような青空には綿飴みたいな白い薄雲が水彩絵の具のように描かれていて、金糸雀色の秋陽が白亜のチャペルをあたたかく包み込んでいる。絶好の結婚式日和。

 まるでヨーロッパにいるのかと錯覚してしまうような荘厳で美しいチャペル内では、岡崎 遼と成瀬 唯香という誰もが羨むような美男美女の愛の儀式を祝福しようと、たくさんのゲストたちが、ふたりの登場を今か今かとそわそわしながら待ちわびていた。

「いやあ、めでたいねえ。成瀬さんは責任感が強くて仕事もできちゃうもんだから、ついつい仕事を任せちゃってねえ……それが彼女のストレスになって、不真面目な同僚や部下と衝突したりして、申し訳ないことをしてしまったと思っているんだよ……ねえ、高部さん、成瀬さんが寿退社してしまったら、第一営業課はどうなってしまうのかね?」

 めそめそしながら、高部美里愛に縋りつく宇野沢課長の手を振り払いながら、高部美里愛は、

「宇野沢課長っ! おめでたい席で仕事の話なんてしないでくださいっ!」
 と叱責した。

「あれ……なんか、高部さん、この一年で、お強くなられました?」

「そりゃ、強くもなりますよっ! 何なら、私が成瀬さんの後任者になりますよっ!」

「た……頼もしいねえ。あっぱれ! マウントフジ、FUJIYAMAだねえ」

 高部の圧に負けた宇野沢課長は、意味の分からないことを呟いた。


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