犠牲を捧げる

ミルクティ

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もう一人の少女

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屋敷内を見渡していると、中央にある階段からもう一人、少女が降りてきた。

今度は私と同年代くらいの外見、15歳くらいで、薄紫色のセミロングヘアを編み込みカチューシャにしており、アドリアナと同じく赤く大きな瞳をしている。

モノクロの膝上ワンピースが、風もないのに揺れていた。

「あっ、アリシア」

少女…アドリアナは嬉しそうにアリシアと呼ばれた少女のもとへ向かう。

「そのお方はどなたです?アドリアナ様?」

アリシアと呼ばれた少女はゴミを見るような目で私を見る。

いきなりで縮こまって、アドリアナの後ろに隠れる私。

「お母様よ!お母様!帰ってきたのよ」

興奮した様子で私の服を引っ張るアドリアナ。

「またですか?失礼ながら、そちらの方がリリアーナ様であるという確証はお持ちですか?」

リリアーナ様?

「普通の人間はここには入れないわ!お母様に決まってる!」

ここ?

「一部の高い魔力を保有する者なら、結界を破るのは容易です!
今までだって、そうであったじゃないですか。
まさか、あれで何も学ばなかったわけではありませんよね?」
わけのわからないラノベの設定みたいな喧嘩を見続けて、混乱してきた。

「あ、あの!すみません!」

バッと同時に振り返る二人、喧嘩の最中だったからか両者ともに鋭利な眼をしている。

アリシアであろう少女の方から口が開かれる。

「失礼いたしました。説明が送れました。私代々ブルーキャノン家の従者として配偶している、アリシア バトラーと申します。」

モノクロのワンピースの端をつまみ、膝を折って挨拶をする。

本場のメイドさん?の挨拶は優雅だなぁ、なんて一瞬見惚れるが、そんな場合ではないと振り払った。

「そうじゃなくて、えーと、お母様って…後魔界とか、意味分かんないです」

言ってしまったと思った。こんなこと言って大丈夫か?

そのまま黙っていた方が良かったのでは?魔界とか言ってたしやばいかも知れない。

そんなこと思っていると、腕を引っ張られた。アリシアさんだ。
はっ としたような顔をしている、

「失礼いたします。この件はアドリアナ様にはご内密に」

そう言い残すと、私の視界は瞬時に移り変わった。



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