ムカついたこと

ミルクティ

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先生

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私が小学校のころ、2年づつけて担任だった先生の話。
私は目つきが悪い。なのでよく「睨んでる?」などと聞かれることが多い。今回の事件はそれが発端。
ある日私は友人と共に先生と話をしていた。
他愛もないことだったが、私は先生が嫌いだったので早く終われバーカと思いながら。
一瞬、ニコニコ笑いながら話す友人をチラリと横目で見た。そして正面を見直すと、先生と目があった。
「今〇〇ちゃん(友人の名前)のこと睨んでた?」
「いいえ」
「次の休み時間、職員室に来てくれる?」
そう言って、先生は私たちのそばから離れていった。
休み時間、約束通りだるいだるいと思いながら職員室へ行った私に、先生は嫌に深刻そうな面持ちで訪ねてきた。
「どうして〇〇ちゃんのこと睨んでたの?」
「睨んでません」
「いーえ、わたしには睨んでるように見えたよ?見えたってことは睨んでたんでしょ?何か喧嘩でもしたんじゃないかって心配してるの」
何を言っているのだこの教師は。生徒のことを信じずに自分の意見だけを押し付けているくせに、あくまで『心配』を装っていることに私は苛立ちを感じる。
「睨んでないって言ってるじゃないですか」
そう言って、私は先生を軽く睨んだ。今度は睨むつもりで睨んだ。
「あ、ほらその顔、してたでしょ。すごく怖い顔してるのよ、わからない?」
分かるわけないでしょ。
ていうか、ちょっと生徒が睨んでいたくらいで呼び出して責めるとは教師としてどうなのだろうか。これくらいでいちいち呼び出しをしているのなら、ある女子に酷いあだ名をつけて侮辱しているB君や、女子の間で怒っている集団無視の元凶であるTちゃんはどんな仕打ちを与えられているのかという話になる。
少なくとも、彼らが呼び出しを喰らっているところを見たことはない。
ならこの教師は、私にだけ突っかっているということなのか。逆贔屓しているというのか。
なぜかと一瞬思った。
そして思い当たることが一つ、私が先生を嫌っているからそれが伝わっているのかもしれないということ。
彼女は無神経だ。不登校のクラスメイトの家にクラス全員で押しかけて、学校へ来てもらおうと考えて、生徒たちに強要させた。
私は意地でも行かないとその場で主張したら、「△△(私の名前)さんは心が貧しいのね」
と意味不明な哀れみを向けてきたのだ。この人と私は相容れない。だからこそ、もうこれ以上1秒でも一緒に居たくないと感じた私は嘘をつくことにした。
「・・・〇〇ちゃんと、喧嘩して・・・」
「そう喧嘩は良くないけど、正直に言ってくれて嬉しかった。△△さん、私に心を開いていないみたいだったから心配してたのよ。
でも、そんなこと私の思い過ごしだったみたいね。これからも仲良くしましょうね」

その後職員室を出て、私は敗北感に駆られた。
「今日のベルサイユは大変な人ですこと」と声をかけたマリー・アントワネットは、こんな気持ちだったのだろうかと私は思う。

卒業後、同窓会で聞いた話だが、その先生は八丈島の小学校に飛ばされたらしい。
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