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第12章『誘う森』
1話
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この町で宿を探す予定だったのだが、不機嫌になってしまったタクヤはこのまま町を出ると言って聞かなかった。
まるでいつもと逆である。
掴んでいたイズミの腕は離したものの、むすっとした顔で一言も喋らずに歩き続けている。
ちらりとタクヤを見ると、イズミは溜め息を付き鬱陶しそうな顔で話し掛けた。
「お前な……いつまで怒ってんだよ」
「…………」
しかしタクヤは反応することなく黙って歩いている。
本当に機嫌が悪い時はとことん無口になってしまうのだ。
「ねぇ、タクヤ? 怒ってるの? 俺が付いてきたから?」
後ろを歩いていたリョウがタクヤの横に並び、覗き込むようにして聞いてきた。
皆でタクヤを揶揄ったせいだとは思っていない。
「……そうじゃない」
ぼそりとリョウを見ることなくタクヤは漸く口を開いた。
しかし機嫌が直った訳ではないようだ。
どこか拗ねたような表情をしている。
「じゃあなんで? 犬に似てるなんて言われたくらいでそんなに怒んないでしょ? やっぱりイズミとふたりきりじゃなくなったから怒ってるんじゃないの?」
今度はリョウがむすっと口を尖らせていた。
すると、突然タクヤはぴたりと足を止めてリョウを見た。
驚いたリョウも足を止める。
「リョウはいいよ、リョウはっ! なんでアンタまでついて来てるんだよっ!」
そう言って後ろを振り返ると、カイを睨み付けながら指差す。
どうやらタクヤの不機嫌の原因はカイにあるようだ。
「うん? 俺か? 暇だからだよ」
タクヤのすぐそばまで来るとカイは足を止め、にこりと笑って答えた。
「はぁっ? 暇って……ふざけんなよっ! 俺たちは遊びで旅をしてるんじゃないっ! そんなふざけた理由なら今すぐ帰れっ!」
かぁっと顔を真っ赤にさせて、タクヤはカイを怒鳴り付けた。
ただでさえカイのことが気に入らなかったが、そんな理由で付いてきたことが許せなかった。
「やれやれ……本当に分かりやすいというか、単純というか……ただ、お前たちに興味があるだけだよ」
ふぅっと大きく溜め息を付き肩を竦めると、カイはくすっと笑みを浮かべる。
「へぇ、カイ兄、タクヤだけじゃなくってイズミにも興味あるの?」
カイの隣に並ぶと、リョウは不思議そうに首を傾げながらカイを見上げた。
すると、タクヤの隣で一緒に立ち止まっていたイズミがびくりと体を震わせる。
「なにっ? 絶対イズミに近付くなよっ」
じっとカイを睨み付けると、タクヤはそのまま前を向いて歩き出す。
「…………」
そして何も言わずにイズミも後を追った。
「随分と嫌われたものだな。……まぁ、俺のことは空気か何かと思って気にしないでくれ」
再びカイもタクヤ達の後ろを歩き始めると、爽やかな笑顔で話し掛けた。
「はぁ? 空気って……。じゃあ、空気なら話し掛けんなっ! 俺たちに関わるなっ」
振り返ってじろりとカイを睨み付けると、タクヤは嫌そうに声を荒げた。
そして再びふいっと前を向くと大股で歩いて行く。
隣を歩くイズミは大きく溜め息を付いていた。
まるで子供の喧嘩である。
「もう、カイ兄。なに怒らせてるんだよ」
呆れた顔でリョウがカイを見上げる。
「ん? そうだな」
しかし、カイは全く気にしていない様子であった。
「何考えてるの?」
今度は不思議そうにリョウが首を傾げる。
「ふふっ。まぁ、これからだよ」
にこりと笑ってカイは前を歩くふたりを見つめていた。
☆☆☆
町を出て少し歩いた所に小さな村があった。
この村はリョウとカイが住んでいる村である。
村の中に入るなり、リョウが暗い表情でぴたりと足を止めた。
「リョウ?」
すぐに気が付いたカイが自分も足を止め、リョウを見下ろした。
「……どうかしたのか?」
ふたりの前を歩いていたタクヤとイズミも気が付いた。
振り返ってタクヤが不思議そうに首を傾げながら声を掛ける。
「…………」
しかしリョウは俯くと、何も答える様子はなかった。
「……この村は、俺たちの村なんだ」
何も答えないリョウの代わりに、カイが説明をした。
理由は分からないが、リョウがタクヤ達について行くと言ったことが関係しているのだろうとカイは考えていた。
「そうなんだ。って、そういえば、俺たちについて来るんだったら家族に言わなくていいのか?」
なんだ、と明るく答えたタクヤは、思い出したように問い掛けた。
もちろんリョウに対して。
カイの同行に関してはまだ認めてはいなかった。
とはいえ、話し掛けるなと言った割にはカイの言葉に反応していたのだが。
「そうだね。リョウ、おばさんとイツキにちゃんと話した方がいい」
リョウの顔を覗き込むようにしてカイがそう話した。
すると、びくっとリョウの体が震えた。
「……言わない」
そしてぼそりとだけ話す。
「え? 黙って行くつもり? ダメだよ、リョウ」
ぐっと両肩を掴むと、カイは初めて厳しい顔でリョウを叱る。
その顔はまるでリョウの兄のようだった。
「でも……」
「リョウ? 何があったのかは知らないけど、心配させたらダメだよ? 手紙でもいいからちゃんと伝えよう?」
泣きそうな顔でじっと俯いたままのリョウに、今度は優しい顔でカイが言い聞かせる。
「そうだな、リョウ。行って来いよ。ちゃんと待ってるから」
ふたりのやり取りを見ていたタクヤが両手を腰に当てながらリョウに話し掛ける。
「っ! ほんとに待っててくれる?」
タクヤの言葉でパッと顔を上げたリョウは、じっと訴えるようにタクヤを見つめる。
「あぁ、当たり前だろ?」
タクヤはにやりと笑って答える。
「分かった。手紙置いて来るっ」
今までになく何かを決意したような目付きになると、リョウはそのまま村の中へと走って行った。
「やれやれ……ほんと困った子だ」
自分が言っても聞かなかったリョウが、タクヤの一言で聞いたことに少しだけショックを受けていたカイは、肩を竦めながらぼそりと呟いた。
「……アンタはいいのかよ?」
認めてはいないが、どうせ勝手について来ることが分かっていた為、なんとなくタクヤはカイにも問い掛けたのだった。
「何? 心配してくれるのか?」
ふふっと嬉しそうな顔でカイが問い返した。
「違うわっ! もう知らんっ!」
かぁっと顔を赤くさせると、タクヤは慌てて横を向いた。
黙ってやり取りを見ていただけのイズミは、再び大きく溜め息を付いていた。
まるでいつもと逆である。
掴んでいたイズミの腕は離したものの、むすっとした顔で一言も喋らずに歩き続けている。
ちらりとタクヤを見ると、イズミは溜め息を付き鬱陶しそうな顔で話し掛けた。
「お前な……いつまで怒ってんだよ」
「…………」
しかしタクヤは反応することなく黙って歩いている。
本当に機嫌が悪い時はとことん無口になってしまうのだ。
「ねぇ、タクヤ? 怒ってるの? 俺が付いてきたから?」
後ろを歩いていたリョウがタクヤの横に並び、覗き込むようにして聞いてきた。
皆でタクヤを揶揄ったせいだとは思っていない。
「……そうじゃない」
ぼそりとリョウを見ることなくタクヤは漸く口を開いた。
しかし機嫌が直った訳ではないようだ。
どこか拗ねたような表情をしている。
「じゃあなんで? 犬に似てるなんて言われたくらいでそんなに怒んないでしょ? やっぱりイズミとふたりきりじゃなくなったから怒ってるんじゃないの?」
今度はリョウがむすっと口を尖らせていた。
すると、突然タクヤはぴたりと足を止めてリョウを見た。
驚いたリョウも足を止める。
「リョウはいいよ、リョウはっ! なんでアンタまでついて来てるんだよっ!」
そう言って後ろを振り返ると、カイを睨み付けながら指差す。
どうやらタクヤの不機嫌の原因はカイにあるようだ。
「うん? 俺か? 暇だからだよ」
タクヤのすぐそばまで来るとカイは足を止め、にこりと笑って答えた。
「はぁっ? 暇って……ふざけんなよっ! 俺たちは遊びで旅をしてるんじゃないっ! そんなふざけた理由なら今すぐ帰れっ!」
かぁっと顔を真っ赤にさせて、タクヤはカイを怒鳴り付けた。
ただでさえカイのことが気に入らなかったが、そんな理由で付いてきたことが許せなかった。
「やれやれ……本当に分かりやすいというか、単純というか……ただ、お前たちに興味があるだけだよ」
ふぅっと大きく溜め息を付き肩を竦めると、カイはくすっと笑みを浮かべる。
「へぇ、カイ兄、タクヤだけじゃなくってイズミにも興味あるの?」
カイの隣に並ぶと、リョウは不思議そうに首を傾げながらカイを見上げた。
すると、タクヤの隣で一緒に立ち止まっていたイズミがびくりと体を震わせる。
「なにっ? 絶対イズミに近付くなよっ」
じっとカイを睨み付けると、タクヤはそのまま前を向いて歩き出す。
「…………」
そして何も言わずにイズミも後を追った。
「随分と嫌われたものだな。……まぁ、俺のことは空気か何かと思って気にしないでくれ」
再びカイもタクヤ達の後ろを歩き始めると、爽やかな笑顔で話し掛けた。
「はぁ? 空気って……。じゃあ、空気なら話し掛けんなっ! 俺たちに関わるなっ」
振り返ってじろりとカイを睨み付けると、タクヤは嫌そうに声を荒げた。
そして再びふいっと前を向くと大股で歩いて行く。
隣を歩くイズミは大きく溜め息を付いていた。
まるで子供の喧嘩である。
「もう、カイ兄。なに怒らせてるんだよ」
呆れた顔でリョウがカイを見上げる。
「ん? そうだな」
しかし、カイは全く気にしていない様子であった。
「何考えてるの?」
今度は不思議そうにリョウが首を傾げる。
「ふふっ。まぁ、これからだよ」
にこりと笑ってカイは前を歩くふたりを見つめていた。
☆☆☆
町を出て少し歩いた所に小さな村があった。
この村はリョウとカイが住んでいる村である。
村の中に入るなり、リョウが暗い表情でぴたりと足を止めた。
「リョウ?」
すぐに気が付いたカイが自分も足を止め、リョウを見下ろした。
「……どうかしたのか?」
ふたりの前を歩いていたタクヤとイズミも気が付いた。
振り返ってタクヤが不思議そうに首を傾げながら声を掛ける。
「…………」
しかしリョウは俯くと、何も答える様子はなかった。
「……この村は、俺たちの村なんだ」
何も答えないリョウの代わりに、カイが説明をした。
理由は分からないが、リョウがタクヤ達について行くと言ったことが関係しているのだろうとカイは考えていた。
「そうなんだ。って、そういえば、俺たちについて来るんだったら家族に言わなくていいのか?」
なんだ、と明るく答えたタクヤは、思い出したように問い掛けた。
もちろんリョウに対して。
カイの同行に関してはまだ認めてはいなかった。
とはいえ、話し掛けるなと言った割にはカイの言葉に反応していたのだが。
「そうだね。リョウ、おばさんとイツキにちゃんと話した方がいい」
リョウの顔を覗き込むようにしてカイがそう話した。
すると、びくっとリョウの体が震えた。
「……言わない」
そしてぼそりとだけ話す。
「え? 黙って行くつもり? ダメだよ、リョウ」
ぐっと両肩を掴むと、カイは初めて厳しい顔でリョウを叱る。
その顔はまるでリョウの兄のようだった。
「でも……」
「リョウ? 何があったのかは知らないけど、心配させたらダメだよ? 手紙でもいいからちゃんと伝えよう?」
泣きそうな顔でじっと俯いたままのリョウに、今度は優しい顔でカイが言い聞かせる。
「そうだな、リョウ。行って来いよ。ちゃんと待ってるから」
ふたりのやり取りを見ていたタクヤが両手を腰に当てながらリョウに話し掛ける。
「っ! ほんとに待っててくれる?」
タクヤの言葉でパッと顔を上げたリョウは、じっと訴えるようにタクヤを見つめる。
「あぁ、当たり前だろ?」
タクヤはにやりと笑って答える。
「分かった。手紙置いて来るっ」
今までになく何かを決意したような目付きになると、リョウはそのまま村の中へと走って行った。
「やれやれ……ほんと困った子だ」
自分が言っても聞かなかったリョウが、タクヤの一言で聞いたことに少しだけショックを受けていたカイは、肩を竦めながらぼそりと呟いた。
「……アンタはいいのかよ?」
認めてはいないが、どうせ勝手について来ることが分かっていた為、なんとなくタクヤはカイにも問い掛けたのだった。
「何? 心配してくれるのか?」
ふふっと嬉しそうな顔でカイが問い返した。
「違うわっ! もう知らんっ!」
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