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第18章『真実と別れ』
4話
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カオルと一緒に来た時と同じように、イズミに手を握られた次の瞬間、アキラが待つあの場所へと移動していた。
そして着いた瞬間、離れたところから爆発音が聞こえてきた。
「っ!」
ハッとして音がした方を見たが、この場所からは何も確認できない。
遠くの方に煙のようなものが上がっているのだけがちらりと見えていた。
「まさか……」
タクヤは呆然と煙が上がっている方を見つめる。
「博士っ!」
ルカが泣きながら叫び、その場に座り込んでしまった。
恐らく博士が研究所を爆破させたのだろう。
しかし、ユキノとタクミはあの後どうなったのか。
ふたりが無事に脱出しているのかどうかと気が気じゃなかった。
思わず研究所の方へと走り出そうとしたタクヤの腕を、誰かがぐっと掴んだ。
「っ!」
振り返ると掴んでいたのはカイであった。
そしてふるふると首を横に振っている。
「なんでっ――」
邪魔するんだと言おうとした時、カイが辛そうな顔でこちらを見つめながら言葉を返した。
「彼らはもういないよ」
「なっ!?」
悲しそうな顔で話したカイの言葉に怒りが爆発しそうになった。
バッと掴んでいるカイの手を振り払う。
「彼らから、機械音がしていた……あの爆破は博士だけのものじゃないだろう」
首を横に振りながらカイは苦しそうに続ける。
「どういう――」
「自爆、か」
問い返そうとした言葉を遮るようにイズミが話した。
「そんなっ! 制御装置を付けてるって言ってたから、その音かもしれないだろっ」
信じられない言葉に、今度はイズミを睨み付けながら声を上げる。
「いや、違うと思うよ。彼女は時間がないと言っていた。それは博士が爆破することを知った上で、自分たちのことも言っていたんだと思う」
深く息を吐くと、カイはじっとタクヤを見つめながら話す。
「それはっ、アオイを押さえていられないっていうことだろっ?」
絶対に違うと、タクヤはじっと睨み付けるようにしてカイに反論する。
「それもあると思うけど、あの機械音は時限装置のような音だった。恐らく、彼らも自分たちを含めてあの場所を破壊させたかったんだろう……」
カイは再び苦しそうな顔で答えた。
「そんな……」
博士だけでなく、ユキノやタクミまでそんなことを考えていたなんてと、ショックを受けた顔でその場にしゃがみ込んでしまった。
彼らのことを何も分かっていなかったのかもしれない。
全てが終わったら、もしかしたらまた会えるかもなんて、そんなことを考えていた自分が情けなくなっていた。
自分を騙したこと、嘘を付いていたことをユキノは謝っていたが、そんなことはどうでも良かった。
ただ、ユキノとタクミには生きていてほしかった。
幸せになってほしかった……。
「どうして……」
しゃがみ込んだまま、タクヤはぼそりと呟く。
彼らの気持ちが理解できないわけではないが、こんなことで命を落としてほしくはなかった。
すると、そっと横に誰かが座った。
黙ったまま、ぎゅっと膝を抱えて遠くに上がっている煙を見つめているのはイズミだった。
「…………」
イズミもまた、再会できたばかりのアスカを失ったのだ。
顔には出していないが、きっとイズミも心の中では辛い思いをしているのだろう。
「これで、終わったんかな……」
自分も膝を抱えて座ると、そっとイズミに寄り添うようにくっついた。
「まだ終わりじゃないぞ」
すると、後ろからカオルの声が聞こえてきた。
「え?」
ちらりと後ろを振り返ると、真剣な顔でカオルが見下ろしている。
「まだ終わりじゃないって……」
じっと見上げながら問い返すと、腰に手を当てながらカオルが溜め息を付いた。
「組織の本拠地はあの研究所じゃない。あそこはあくまでクローンを作っていた場所だからな。博士を失っても、まだ組織は諦めていないだろう……。ひとまずハヤトの所に帰るぞ。……そういえば、アキラはどこ行ったんだ?」
カオルはタクヤにそう説明をすると、ぐるりと辺りを見回した。
すると、どこからか「ここだ……」と何やら死にそうな男の声が聞こえてきた。
「ん? お? なんだ、お前まだそんなだったのか」
後ろを振り返ると、その声の主にカオルが声を掛ける。
気が付いていなかったが、近くに大きな木が1本立っていた。
沢山の葉を付けたその木の下に、カオルが魔法で出したシートの上に横たわるアキラの姿があった。
恐らく、木陰を作る為にカオルがこの木を出しておいたのだろう。
しかし、アキラは相変わらず青白い顔をして寝転んでいる。
どれだけ弱いんだとタクヤは呆れ返っていた。
散々泣いていたルカも、漸く泣き止んできょとんとした顔でアキラを見つめている。
カイも立ったまま、不思議そうに首を傾げている。
「……なんでこんなに人が増えてんだ……」
元気がない割に、アキラは不服そうに文句を言っている。
「これからまたハヤトの所に帰るが、お前、大丈夫か?」
木の近くまで歩いて行くと、カオルはじっとアキラを見下ろしながら声を掛ける。
「…………」
青白い顔のまま、無言でアキラはカオルを見上げている。
「はは、無理そうだな」
苦笑いしながらカオルが呟いた。
するとまたどこからか、よく知る声が聞こえてきた。
「いいものがあるわよ」
いつからいたのか、タクヤとイズミの後ろにはにこりと笑っているレナの姿があった。
「レナっ?」
驚いて思わず声を上げた。
そして着いた瞬間、離れたところから爆発音が聞こえてきた。
「っ!」
ハッとして音がした方を見たが、この場所からは何も確認できない。
遠くの方に煙のようなものが上がっているのだけがちらりと見えていた。
「まさか……」
タクヤは呆然と煙が上がっている方を見つめる。
「博士っ!」
ルカが泣きながら叫び、その場に座り込んでしまった。
恐らく博士が研究所を爆破させたのだろう。
しかし、ユキノとタクミはあの後どうなったのか。
ふたりが無事に脱出しているのかどうかと気が気じゃなかった。
思わず研究所の方へと走り出そうとしたタクヤの腕を、誰かがぐっと掴んだ。
「っ!」
振り返ると掴んでいたのはカイであった。
そしてふるふると首を横に振っている。
「なんでっ――」
邪魔するんだと言おうとした時、カイが辛そうな顔でこちらを見つめながら言葉を返した。
「彼らはもういないよ」
「なっ!?」
悲しそうな顔で話したカイの言葉に怒りが爆発しそうになった。
バッと掴んでいるカイの手を振り払う。
「彼らから、機械音がしていた……あの爆破は博士だけのものじゃないだろう」
首を横に振りながらカイは苦しそうに続ける。
「どういう――」
「自爆、か」
問い返そうとした言葉を遮るようにイズミが話した。
「そんなっ! 制御装置を付けてるって言ってたから、その音かもしれないだろっ」
信じられない言葉に、今度はイズミを睨み付けながら声を上げる。
「いや、違うと思うよ。彼女は時間がないと言っていた。それは博士が爆破することを知った上で、自分たちのことも言っていたんだと思う」
深く息を吐くと、カイはじっとタクヤを見つめながら話す。
「それはっ、アオイを押さえていられないっていうことだろっ?」
絶対に違うと、タクヤはじっと睨み付けるようにしてカイに反論する。
「それもあると思うけど、あの機械音は時限装置のような音だった。恐らく、彼らも自分たちを含めてあの場所を破壊させたかったんだろう……」
カイは再び苦しそうな顔で答えた。
「そんな……」
博士だけでなく、ユキノやタクミまでそんなことを考えていたなんてと、ショックを受けた顔でその場にしゃがみ込んでしまった。
彼らのことを何も分かっていなかったのかもしれない。
全てが終わったら、もしかしたらまた会えるかもなんて、そんなことを考えていた自分が情けなくなっていた。
自分を騙したこと、嘘を付いていたことをユキノは謝っていたが、そんなことはどうでも良かった。
ただ、ユキノとタクミには生きていてほしかった。
幸せになってほしかった……。
「どうして……」
しゃがみ込んだまま、タクヤはぼそりと呟く。
彼らの気持ちが理解できないわけではないが、こんなことで命を落としてほしくはなかった。
すると、そっと横に誰かが座った。
黙ったまま、ぎゅっと膝を抱えて遠くに上がっている煙を見つめているのはイズミだった。
「…………」
イズミもまた、再会できたばかりのアスカを失ったのだ。
顔には出していないが、きっとイズミも心の中では辛い思いをしているのだろう。
「これで、終わったんかな……」
自分も膝を抱えて座ると、そっとイズミに寄り添うようにくっついた。
「まだ終わりじゃないぞ」
すると、後ろからカオルの声が聞こえてきた。
「え?」
ちらりと後ろを振り返ると、真剣な顔でカオルが見下ろしている。
「まだ終わりじゃないって……」
じっと見上げながら問い返すと、腰に手を当てながらカオルが溜め息を付いた。
「組織の本拠地はあの研究所じゃない。あそこはあくまでクローンを作っていた場所だからな。博士を失っても、まだ組織は諦めていないだろう……。ひとまずハヤトの所に帰るぞ。……そういえば、アキラはどこ行ったんだ?」
カオルはタクヤにそう説明をすると、ぐるりと辺りを見回した。
すると、どこからか「ここだ……」と何やら死にそうな男の声が聞こえてきた。
「ん? お? なんだ、お前まだそんなだったのか」
後ろを振り返ると、その声の主にカオルが声を掛ける。
気が付いていなかったが、近くに大きな木が1本立っていた。
沢山の葉を付けたその木の下に、カオルが魔法で出したシートの上に横たわるアキラの姿があった。
恐らく、木陰を作る為にカオルがこの木を出しておいたのだろう。
しかし、アキラは相変わらず青白い顔をして寝転んでいる。
どれだけ弱いんだとタクヤは呆れ返っていた。
散々泣いていたルカも、漸く泣き止んできょとんとした顔でアキラを見つめている。
カイも立ったまま、不思議そうに首を傾げている。
「……なんでこんなに人が増えてんだ……」
元気がない割に、アキラは不服そうに文句を言っている。
「これからまたハヤトの所に帰るが、お前、大丈夫か?」
木の近くまで歩いて行くと、カオルはじっとアキラを見下ろしながら声を掛ける。
「…………」
青白い顔のまま、無言でアキラはカオルを見上げている。
「はは、無理そうだな」
苦笑いしながらカオルが呟いた。
するとまたどこからか、よく知る声が聞こえてきた。
「いいものがあるわよ」
いつからいたのか、タクヤとイズミの後ろにはにこりと笑っているレナの姿があった。
「レナっ?」
驚いて思わず声を上げた。
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