NEVER☆AGAIN~それは運命の出会いから始まった~

ハルカ

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第20章『決戦』

2話

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 罠の可能性もゼロではないのだが、アスカをこちら側につかせるためには会いに行くほかはなかった。
 しかし、どうやってアスカが手紙を送ってきたのかは分からないが、彼らの能力も組織の力も計り知れない。
 心配なことは多々あるものの、タクヤたちは朝食を取った後、ハヤトとカイ、そしてリョウを残してアスカが待つという森へと向かって行った。


 そしてハヤトの家に残った3人は広い庭に出ていた。
「ハヤトさん、何するの?」
 きょとんとした顔でリョウが尋ねる。
「ただ待っているだけなのも退屈だからね。俺が教えてあげるって言ったろ?」
 そう言ってハヤトはにこりと笑うと2本の木刀を魔法で出した。
「えっ!? 稽古してくれるってこと?」
 突然現れた木刀に驚きながらも、リョウは目を輝かせながらハヤトを見上げる。
「そう。結局昨日は何もできなかったからね。今日はカイ君もいるし、集中してできるだろ。あ、でも、俺はタクヤと違って優しくないからね。辛くても途中で弱音を吐かないようにな」
 ふふっと笑いながらハヤトは持っていた木刀の1本をリョウに手渡した。
「えぇっ! ハヤトさんが厳しいのっ? めっちゃ優しそうなのに?」
 木刀を受け取りながらリョウは目をぱちぱちっと瞬きさせた。
 まだ会ったばかりではあるが、どう考えてもハヤトが厳しいタイプには見えない。
 いつもにこにこと優しく笑っている姿しか見ていないからかもしれないが。
「俺は厳しいよ? タクヤもアキラも何度も泣かせたことあるからね」
 楽しそうに笑いながらハヤトは持っている木刀を右手で持つと、ぽんぽんと自分の肩を木刀で叩く。
「そうなのっ? えぇー、怖いのは嫌だなぁ……」
 本当かどうかは分からないが、ハヤトの言葉に思わず口を尖らせた。
「そうだなぁ。あんまり厳しくしすぎると、君の従兄弟に怒られそうだからね。ほどほどにしておこうか」
 にこりと笑うとハヤトはちらりとカイの方を見た。
「そんなことはないですよ。リョウの為になることであれば。でも、もしもそうじゃない場合は、タクヤの師匠といえども容赦はしません」
 リョウの隣に立ち、腕を組んでふたりの会話を黙って聞いていたカイだったが、ハヤトの言葉に満面の笑みで返す。
 しかし、その笑みがそのままの意味ではないことをリョウはよく分かっていた。
「カイ兄、怖いって……」
 さすがにタクヤの師匠と喧嘩にでもなったらと、緊張しながらそっとカイの腕を掴む。
「そう?」
 先程と変わらない笑みを自分にも返された。
(うーん……カイ兄ってほんと何考えてるのか分かんないんだよな……)
 触らぬ神に祟りなしではないが、これ以上は何も言わない方がいいのだろう。
「えっと……ハヤトさん、今から稽古するの?」
 ぎゅっと木刀を持ったまま、今度はハヤトの方を見ながら尋ねる。
「もちろん。リョウの気持ち次第だけど、タクヤたちがいない方がやりやすいだろ」
 カイの言葉は特に気にしていないのか、それともただのポーカーフェイスなのか、ハヤトは変わらない笑顔で答えていた。
「え? なんで?」
 言われた意味が分からずにこてんと首を傾げる。
「あれ? 違ったかな。リョウはあまり他の人には自分の弱いところとか、見せたくないタイプかなって思ったんだけど」
「えっ! な、なんでっ?」
 不思議そうにハヤトに問われ、思わず動揺してしまった。
 当たっているともいないとも言える。
 確かにタクヤやイズミ、あと他の人たちにも失敗するところも弱いところも見られたくはない。
 ただ、カイだけは違う。
 カイには全部知っていてほしい自分がいる。
 弱いところも頑張っているところも全部見ていてほしい。
 そしてそんな自分を『頑張ったね』と褒めてほしい。
「…………」
 思わずじっとカイを見上げた。
「ん? どうかした? リョウ」
 すぐに視線に気が付いたカイがきょとんとした顔で見下ろしてきた。
「ははっ。当たってただろ? でも、他の人には見られたくなくても、カイには見ていてほしい、そんなところかな?」
 楽しそうに笑いながらハヤトがそんなことを言い出した。
「ちょっ! ハヤトさんっ!」
 恥ずかしくて真っ赤になって声を上げる。
「へぇ。そうなんだ」
 すかさずにこりと笑ってカイがじっと顔を覗き込んできた。
「もうっ! 違うってばっ!」
 知ってはほしいが、そういうことじゃないと慌ててカイの顔をぐいぐいと押しのける。
「分かりやすいよね、リョウは。そういうところはアキラによく似てる。甘えたいくせに意地っ張りだったり、強がりだったり。でも、ちゃんと素直なところもあって、言うことはよく聞くよね」
 にこりと笑いながら目の前まで来ると、ハヤトはリョウの頭を軽く撫でながら話した。
 すると、リョウの頭を撫でていたハヤトの腕をぐいっとカイが掴む。
「話はもうそれくらいでいいんじゃないですか?」
 ハヤトの腕をぐっと掴んだまま、カイはにこりと笑いながら問い掛けた。
 しかし、先程の笑顔よりも更に圧を感じるのは気のせいだろうか。
「そうだね。君に言われなくても」
 掴まれていた腕をぐっと動かしカイの手から逃れると、ハヤトも負けじとにこりと笑いながらカイを見つめ返した。
 なぜかふたりが笑顔のまま睨み合っているように見えて、リョウは間に立ちながらドキドキと緊張していたのだった。
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