選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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22.許したくはない

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今まで私の家族は父しかいないと思っていた。病を抱えているのにずっと治療をしてくれているたった1人の身内、そう考えていた。だからこそたまにであれ、父が私の部屋に、私のためだけに足を運んできてくれる時は嬉しかった。
でもそれは愛情からかと聞かれると頷くことはできなかった。だって…私の大好きなお母様は…………

きっと私は依存していたのだと思う。すがっていたのだと思う。たった1人の身内、その人が私のことを見捨ててはいないと言うことに、ただただすがっていたかったんだと思う。

でもここにきて私の身内は1人ではないと言うことを知った。私を愛してくれている人もいるのだとしった。それどころかこんなにもたくさんいると教えてくれた。もしも、もしも死ぬんだとしても寂しくはない。

だから……………


「正直愛していると言うものが私にはわかりません。今まで抱えていた感情が愛情なのかと言われれば疑問が残るし。

でも私の大好きな大好きなお母様を奪ったのがあの人ならば私は許したくはありません。私が父親を愛していたとしても、母に生きて欲しかった。今も隣で笑っていて欲しかった。そう思うから。」

私は整理されていない頭で、でも正直な気持ちを伝えた。


「ナタリー……

そうだな。私も、私たちも、マリアを殺した奴を許せない。それと同じだけナタリーを今このような状況にしている奴らを許せないんだ。だからこれから先、あの男とあの女たちには罰が下るだろう。

だがそれは何一つとしてナタリーのせいではない。それだけは覚えておいてくれ」

祖父が私にそう語りかけ、みんながそれに頷いてくれる。

今までは何かが起こっても、理不尽なことがあっても自分のせいだと思っていた。病に侵された私が悪い。身体が弱い私が悪いと。

でも私はきっともう大丈夫。

もう自分のせいだとは思わない。思わないようにしなければ。

だって私がそう思うとみんなが悲しんでしまうと思うから。



それから1ヶ月、私たちは穏やかに暮らした。
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