選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

文字の大きさ
43 / 88

45.舞台裏の謝罪

しおりを挟む
「おじ様、やめてください。マリアは私の親友でした。その親友がもし本当に殺されたのならその相手を私は絶対に許さない。そして何よりナタリーに毒を盛った人を、虐げた人を私は許せないそれだけです。

だから逆に手伝わせてくれたことに感謝申し上げますわ。ナタリアは本当に私の娘のような存在なんです。きっとマリアが生きていたらもっともっと家族のような付き合いをしていたでしょう。だからお礼なんて言わないでください」

そういって優しそうに微笑むアミおば様。

私は本当にここにくるまで知らなかったんだ。こんなに愛してくれている人たちがたくさんいたと言うことを。

「父さん、今は感謝を言うのも謝罪を言うのもやめておこう。
お互い同じ気持ちだったんだ。これから何かする時は必ず協力していくと言うことで気持ちを示していこう」

ルー伯父様がそう言ってくれた。
それに皆が納得したように頷いた。

「そうそう。このぐらいにしておきましょう。ナタリアのためにこれからたくさん協力しあえば良いのだから。

それはそうとあの女たちは本当に何なの?見ていて何度殴りかかりたくなったことか」

その言葉に反応したのはフランク祖父様とイサベル祖母様だった。
突然みんなの前に出てきて頭を下げた。

「皆様、今宵は、、、いや、12年間にわたり私たちは何も知らなかった。
それが言い訳になるなど思ってはいない。間違いなく私たちが責任の一端だ。だがそれでも私たちは今何かすぐに償うことができない。いくら私たちが謝罪を口にしたところでマリアさんを生き返らせることもできない………

だが謝らせてほしい。本当に私たちの息子が申し訳ないことをした」

そう言って深々と頭を下げ続ける。その隣でイサベル祖母様もまた深く頭を下げている。

「何よりナタリア、今まで…今まで…ずっと気づいてやれなくて本当に申し訳ない。君はマリアさんの大切な大切な一人娘なのに。私たちの大切な大切な孫なのに…………
私たちが守ってやらなければならなかったんだ。それなのに、それなのに………」

そう言って涙を流した。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!

さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」 「はい、愛しています」 「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」 「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」 「え……?」 「さようなら、どうかお元気で」  愛しているから身を引きます。 *全22話【執筆済み】です( .ˬ.)" ホットランキング入りありがとうございます 2021/09/12 ※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください! 2021/09/20  

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの
恋愛
好きな人ができたんだ。 婚約者であるフェリクスが切々と語ってくる。 でもどうすれば振り向いてくれるか分からないんだ。なぜかいつも相談を受ける プレゼントを渡したいんだ。 それならばこちらはいかがですか?王都で流行っていますよ? 甘いものが好きらしいんだよ それならば次回のお茶会で、こちらのスイーツをお出ししましょう。

ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね

さこの
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。 私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。 全17話です。 執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ​ ̇ ) ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+* 2021/10/04

真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう

さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」 殿下にそう告げられる 「応援いたします」 だって真実の愛ですのよ? 見つける方が奇跡です! 婚約破棄の書類ご用意いたします。 わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。 さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます! なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか… 私の真実の愛とは誠の愛であったのか… 気の迷いであったのでは… 葛藤するが、すでに時遅し…

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

処理中です...