妖精に嫌われた姫と妖精が隠す妖精の愛し姫

暖夢 由

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34.姿を表したのは

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「あれは」「ああ、間違いない」

王たちのつぶやきとともに聞こえてくるギラン陛下の声。

「衛兵、その男の身柄を確保しろ!
それからクレヴァ王にも話しを聞く必要がある。丁重に身柄を確保するように」

兵士に身柄を拘束されるクレヴァ王とダリアン王子は必死に抵抗するが、身体を鍛えている兵士数人に取り囲まれれば成す術はない。


「ギラン王!!いくら主催国とはいえ、こんな横暴が許されると思っているのか!!
私は何も知らん!!なぜここにこ奴の姿が映っているのかも知らんのだ!今すぐ私の拘束を解け!!」

クレヴァ王はそう口にするも、それに賛同するものはダリアン王子以外にはいない。
なぜかこんな状況なのに回りの王たちは動揺することなく、まるで納得でもするかのようにクレヴァ王たちを見つめている。

「クレヴァ王、あなたの言い訳はこれから聞きましょう。ただし納得できるものがない限り拘束が解かれることはありません。
衛兵、彼女をここへ」

国際会議の場に兵士に連れてこられたのはパーティー会場でみたリズリラの容姿をしたシャルルだった。

「なんでお前がここに………」



この国際会議の場で、トレアール国国王たちはあのパーティでの出来事を挽回しようと考えたのだ。

この会議で認められさえすれば、ビビド王子の証言があろうと挽回することができる。王と王子の信頼性、それは天と地ほどの違いがある。だからこの国際会議の他の王が認めてさえくれればそれでいいのだ。

そう思ってこの会議のために準備をした。

ばれるはずなどない。

シャルルは何十年と他人を騙し続けたのだ。たった1日。その1日を乗り切ればいいだけだった。

だが誤算があった。それはこの会場にビビド王子とナターシャがいたこと。

本来、王以外は足を踏み入れることができない国際会議の場。それなのに主催国であるギラン王が認めている。そしてそのことに対して他の王たちが誰も何の声もあげない。

それに対してクレヴァ王が声をあげることなどできなかった。

だがそれでもここ以上の挽回の場は見つからない。

それにビビド王子たちも自分たちを見てなんの変化も示さなかった。

だから大丈夫だと思ったのだ。見つかるはずがないと。

それなのに………


この国に彼らが入ったときにはすでに彼らの計画はばれていたのだ。
ナターシャと共にジャッカル国にきた妖精たち。だが全員が一緒にきたわけではなかった。
その一部はトレアール国に残り、闇堕ちの子とその娘の様子を監視しておくと言った。

だからあのパーティーの後の様子も全部見ていたのだ。
そしてその様子を仲間を通じてナターシャに伝えていた。

ビビド王子もギラン陛下もこうなることを予測できていたのだ。
そして到着した王たちにも詳細を説明していた。
もし本当にこのような手を使ってくるのならば、国際会議への、そしてジャッカル国への宣戦布告として、その身柄を拘束すると宣言していた。
しかし、クレヴァ王が思いとどまったのならば、闇堕ちの子の件のみ審議すると。

結果、クレヴァ王は思いとどまるどころか、この件はダリアン王子のみで考え、実行したことであり、自分は関係ないと言った。

この時、未来は決まった。
こうして国際会議にて異例の捕縛騒動となったのだ。
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