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鉱山の生活(ダレン視点)
しおりを挟むどうして俺がこんなところで毎日毎日働いているんだ。
俺は伯爵家の次男で、侯爵家の当主になるはずだったのに。
それなのに…………
どこで間違えたんだ?
どこからやり直したら正解だったんだ……………
俺は伯爵家の次男で生まれた時点で当主にはなれないと決まっていた。
兄になにかあれば当主になることはできるかもしれないが、兄は成績優秀で、観察力にも優れていた。
兄は憧れの存在だった。それと同時にとても苦手な人だった。
あの兄に変わって伯爵家の当主になれることはない。
そんなことを思っていたら俺の婚約が決まった。親が決めた政略結婚で相手は侯爵家の跡取りだという。
悪くない。俺が兄より爵位の高い当主になる!
そんな優越感を頂きながら婚約相手に会った。
兄と同じような目をしていた。
俺の苦手な目だ。あの目の奴はすぐに相手の揚げ足を取って注意をしてくる。
綺麗な子だったが、苦手な子だった。
侯爵家当主になるにはシャロンと結婚するしかないから、俺が教えてやればいい。
「女は黙って男に従え!俺が当主になってやるんだ!おまえはにこにことだけしていればいいんだ」
そんな簡単な事を教えてやった。
それなのにあいつはいつもよりも冷めた目で俺を見てきた。
それからは毎月の侯爵家での両家の食事会くらいしか顔をあわさなかった。
いつまでたっても俺のご機嫌を伺おうともしないシャロンに苛立っていたそんなある日、シャロンの妹ミカリーナが相談があるとお茶会に誘ってきた。
しかも人に聞かれては困るとミカリーナの部屋でというではないか。
これはただ事ではないと、すぐにミカリーナの部屋に行った。
ミカリーナは姉にいじめられていると言った。平民生まれだからと馬鹿にされ、作法ができていないとひどいしつけをしてくると。
やっぱりあの目の奴は嫌なやつだ!
妹に対して優しくなれないなんて。
そして言った
「お姉さまはずるい…こんな素敵な婚約者がいるなんて…」と。
うるうるとした目で見つめられ、その目が閉じられると引き込まれるように唇が合わさった。
初めての経験だった。
甘くて、柔らかい感覚に堕ちていくのは簡単だった。
それからは時間を見つけてはミカリーナの元へ行った。侯爵家に行くのにシャロンに会うことはなく、ミカリーナとその両親と何度も食事を共にした。
そしてある日告げられた。
「ダレン様、私のお腹にあなたの赤ちゃんがいるの…………お母様が、お姉様ではなく私とダレン様で侯爵家を引き継げるようにしてはどうかとお父様に話すと言っていたの…でもそんなことをしたらお姉様が……」
そうか!
そんな方法があったのか!!
「ミカリーナ、俺と結婚しよう。そして侯爵家を盛り立てていこう!」
「あぁ、ダレン様。わたし嬉しい…ほんとは不安だったの。ダレン様はお姉様をお選びになるんじゃないかって。ダレン様ならきっといいご当主になれるわ」
そうだ!
ミカリーナとなら揚げ足を取ってくることもないし、いつも俺の気分を上げてくれる。そして俺が当主になって、兄上よりも上の爵位に就くことができる!
こんな簡単なことに今まで気づかなかったなんて!
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