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ダークエルフの誘惑編
ダークエルフの影
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アステルは工房の中で道具屋から依頼された薬の調合に取り掛かっていた。手際よく薬草を選び、慎重に計量する。
嗅ぎ慣れたが空気に漂い、彼女の心を穏やかにさせる。彼女は日常の作業に没頭することで今の緊張した状況を少しでも和らげようとしていた。
工房の窓から外を見るとシリウスが雇った護衛の兵たちが近辺を見回りしている姿が見えた。彼らは真剣な表情で周囲を警戒し、不安を抱える家族を守るために尽力している。
「ケルヴィン、話があるのだけれど」
「はい」
アステルは自分の作業に区切りをつけると、弟子のケルヴィンを呼んだ。彼は工房の片隅で彼女の手伝いをしていたが、今日は何かいつもと様子が違うことを感じていた。
「…………それで申し訳ないけど、しばらくここに来ない方がいいわ。安全を考えて、長期休暇を与えたいの」
アステルは深呼吸をし、心を落ち着けながら昨日話し合ったことを説明をして心から彼を思っての言葉を口にした。
「大丈夫です」
ケルヴィンは即座に反応し、首を振る。
「ヴェラと言う人は何もしないと約束をしたのでしょう?それにこの国で何かしようものなら、国王が黙っていませんよ」
ケルヴィンには自信があった。この国の国王は違法行為やテロを厳しく取り締まっていた。だから、あのヴェラも簡単には手を出せないはずだ。
「それに僕は一日でも早く薬師として独り立ちして両親やアステルさんやのお役に立ちたいんです。
彼は真っ直ぐにアステルの目を見つめ、決意を込めた声ではっきりと言った。しかしアステルはその真剣さに心を痛め、不安な表情を崩さなかった。
「わかったわ。でも本当に無理はしないでね。何か困ったことがあったらいつでも言って」
「はい。ところで、シリウスさんは休みを取ったそうですが家に居ないのですか?」
ケルヴィンが少し考え込んでから尋ねた。今日はアステルとキャロラインとしか会っていないのだ。
「今はステラの学校の送り迎えと、近くの警戒をしているの」
しばらくの間、シリウスはヴェラがステラに危害を与えるのを警戒する為に、学校への送り迎えと近くの見回りをしている。
ステラとしては父と過ごせる時間が増えて送り迎えをしてくれると喜んでいるが、騎士団の同僚は早く職場に復帰して欲しいと不平を漏らしていたそうだ。
「それは……大変ですね。早く解決策が見つかるといいのですが」
「ええ、ありがとう、ケルヴィン」
アステルは優しく微笑み、彼の優しさに感謝をしてから。再び調合に戻った。シリウスのことが気がかりだったが今は自分ができることをするだけだと考えていた。
◆
シリウスはステラを無事に送り届けた後、学校の近辺に立ち、周囲を見守っていた。
賑やかな通りでは子供たちの無邪気な声が響き渡り、楽しそうな会話が交わされている。
彼はその光景に安堵感を覚えた。たとえ自分の状況が不安定であっても娘の成長を見守れる時間があるだけで十分だと思えた。
ステラが学校で安全に過ごしていることを心の中でそう祈りながら、緊張を持って待機を続けた。
しかし、油断はできない。あのヴェラというダークエルフがアステルやステラを狙っている可能性があるのだ。家族の安全を第一に考えるべきだと自分を戒める。
「考え直してくれましたか?」
その時、静かな朝の雰囲気を破るように足音が近づいてきた。シリウスは鋭い視線を向け、その足音の持ち主を確認する。
黒いローブをまとったヴェラがゆっくりとこちらに歩いてくる姿が見えた。彼女の目は冷たく、笑顔を浮かべることもなく、感情を持たない彫像のような存在感を放っている。
「俺には家族も仲間もいる。お前の里に行くことはできない」
シリウスは冷静に、毅然とした態度を崩さなかった。
「捨てる必要はありません。ただ、少しの間だけ、あなたの力を受け入れるために私たちの里に来ていただければいいのです」
「それは妻を裏切ることになる。俺は彼女を裏切ることはしない」
シリウスはきっぱりと断った。
「裏切りではありません。家族が増えるだけで、全てが終われば貴方は貴方のまま、貴方の大切な家族と一緒にいられます」
彼女の提案は一部の社会では受け入れられているものだ。
一夫多妻制を採用する部族や、王族においては血統を重視するために複数の妻を持つことが常識となっている。
しかし、シリウスの価値観ではどうしても受け入れがたいことだった。
他人がそうするなら別に構わない。だが、シリウスの家族は一人の夫に一人の妻、そして二人の子供だけで十分。
それにダークエルフの血を守るためにシリウスがそんなことをする必要が無い。血を守りたい人が守ればいいし、そうでないものは自分の生きたいように生きればいい。そう考えている。
「お前たちの価値観に俺を巻き込むな。俺にとっての家族はアステルとステラだけなんだ」
シリウスの言葉が空気を震わせたその瞬間、ヴェラの表情に微かに変化が見えた。冷静さを保っていた彼女の顔に初めて苛立ちが浮かんだ。
「なぜそこまでエルフの妻に拘るのですか?」
彼女の声には明らかに感情がこもっていた。目の奥に宿る怒りが彼女の冷淡さを一瞬で溶かしている。彼女の声と言葉には長い間続いた対立の影が色濃く残っている。
シリウスは深く息を吸い、ヴェラの目をしっかりと見据えた。
「俺がアステルを愛しているのは彼女がエルフだからではない。彼女自身の人柄、優しさ、そして家族への思いが俺の心を捉えている。それに種族は関係ない。俺はアステルの全てを愛しているんだ」
その言葉が真摯に発せられた瞬間、ヴェラの表情に一瞬の戸惑いが走った。彼女はその思いが何を意味するのか、理解しようと必死に考えているようだった。
「エルフとダークエルフの対立は長い間続いてきたものなのは知っている。だが、俺はそんな価値観に縛られるつもりはない。俺はアステルと共に歩んでいく。彼女とステラを愛し、守ることが俺の使命だ」
一方でシリウスの心の中でアステルへの愛が揺るぎないものであることが確認された。彼女の存在がどれほど大切か、言葉にすることでより一層強く感じられた。
「……ダークエルフとしての誇りはないのですか?」
「その誇りは他人を傷つける理由にはならないだろう」
ヴェラが冷ややかな声で尋ねるとシリウスは毅然とした態度で応じた。
二人のダークエルフは互いに鋭い視線を交わし合い、周囲の空気が再び張り詰めた。
シリウスの心中には怒りと守るべきものへの強い決意が渦巻いていたが、ヴェラもまたその強さを試すかのように立ち尽くしていた。その時、遠くから聞き慣れた声が響いてきた。
「シリウス!」
シリウスがその方向に目を向けると彼の同僚である騎士のアルムが部下を連れてこちらにやってくる姿が見えた。
「気が変わったら私に声を掛けてください。それでは」
ヴェラは素早くそう言い、その場から去ることを選んだ。シリウスは一瞬、その背中を見つめたが、もう彼女の姿は遠くに消えていた。
「シリウス、何があった?」
アルムが近寄り、険しい表情で尋ねてきた。彼は周囲の様子を見回しながらも状況を掴もうとしているようだった。
「娘を送りに来ただけだ。俺たち家族の問題に巻き込んですまなかった」
シリウスは素直に謝罪したが、アルムの表情は不審そうだった。
「もうこれ以上俺たちに関わらないように言っておいた」
シリウスはアルムの目をしっかりと見据え、確固たる意志を示した。
アルムはその目を見つめ返し、何かを感じ取ったのか、小さく頷いた。
「……わかった。でも何かあったら俺やガレット団長にすぐに言ってくれ」
アルムはそう言い残し、踵を返した。そして部下に合図を送り、そのまま去っていった。
シリウスは彼の後ろ姿を見つめ、額に手をやって深く息をついた。
嗅ぎ慣れたが空気に漂い、彼女の心を穏やかにさせる。彼女は日常の作業に没頭することで今の緊張した状況を少しでも和らげようとしていた。
工房の窓から外を見るとシリウスが雇った護衛の兵たちが近辺を見回りしている姿が見えた。彼らは真剣な表情で周囲を警戒し、不安を抱える家族を守るために尽力している。
「ケルヴィン、話があるのだけれど」
「はい」
アステルは自分の作業に区切りをつけると、弟子のケルヴィンを呼んだ。彼は工房の片隅で彼女の手伝いをしていたが、今日は何かいつもと様子が違うことを感じていた。
「…………それで申し訳ないけど、しばらくここに来ない方がいいわ。安全を考えて、長期休暇を与えたいの」
アステルは深呼吸をし、心を落ち着けながら昨日話し合ったことを説明をして心から彼を思っての言葉を口にした。
「大丈夫です」
ケルヴィンは即座に反応し、首を振る。
「ヴェラと言う人は何もしないと約束をしたのでしょう?それにこの国で何かしようものなら、国王が黙っていませんよ」
ケルヴィンには自信があった。この国の国王は違法行為やテロを厳しく取り締まっていた。だから、あのヴェラも簡単には手を出せないはずだ。
「それに僕は一日でも早く薬師として独り立ちして両親やアステルさんやのお役に立ちたいんです。
彼は真っ直ぐにアステルの目を見つめ、決意を込めた声ではっきりと言った。しかしアステルはその真剣さに心を痛め、不安な表情を崩さなかった。
「わかったわ。でも本当に無理はしないでね。何か困ったことがあったらいつでも言って」
「はい。ところで、シリウスさんは休みを取ったそうですが家に居ないのですか?」
ケルヴィンが少し考え込んでから尋ねた。今日はアステルとキャロラインとしか会っていないのだ。
「今はステラの学校の送り迎えと、近くの警戒をしているの」
しばらくの間、シリウスはヴェラがステラに危害を与えるのを警戒する為に、学校への送り迎えと近くの見回りをしている。
ステラとしては父と過ごせる時間が増えて送り迎えをしてくれると喜んでいるが、騎士団の同僚は早く職場に復帰して欲しいと不平を漏らしていたそうだ。
「それは……大変ですね。早く解決策が見つかるといいのですが」
「ええ、ありがとう、ケルヴィン」
アステルは優しく微笑み、彼の優しさに感謝をしてから。再び調合に戻った。シリウスのことが気がかりだったが今は自分ができることをするだけだと考えていた。
◆
シリウスはステラを無事に送り届けた後、学校の近辺に立ち、周囲を見守っていた。
賑やかな通りでは子供たちの無邪気な声が響き渡り、楽しそうな会話が交わされている。
彼はその光景に安堵感を覚えた。たとえ自分の状況が不安定であっても娘の成長を見守れる時間があるだけで十分だと思えた。
ステラが学校で安全に過ごしていることを心の中でそう祈りながら、緊張を持って待機を続けた。
しかし、油断はできない。あのヴェラというダークエルフがアステルやステラを狙っている可能性があるのだ。家族の安全を第一に考えるべきだと自分を戒める。
「考え直してくれましたか?」
その時、静かな朝の雰囲気を破るように足音が近づいてきた。シリウスは鋭い視線を向け、その足音の持ち主を確認する。
黒いローブをまとったヴェラがゆっくりとこちらに歩いてくる姿が見えた。彼女の目は冷たく、笑顔を浮かべることもなく、感情を持たない彫像のような存在感を放っている。
「俺には家族も仲間もいる。お前の里に行くことはできない」
シリウスは冷静に、毅然とした態度を崩さなかった。
「捨てる必要はありません。ただ、少しの間だけ、あなたの力を受け入れるために私たちの里に来ていただければいいのです」
「それは妻を裏切ることになる。俺は彼女を裏切ることはしない」
シリウスはきっぱりと断った。
「裏切りではありません。家族が増えるだけで、全てが終われば貴方は貴方のまま、貴方の大切な家族と一緒にいられます」
彼女の提案は一部の社会では受け入れられているものだ。
一夫多妻制を採用する部族や、王族においては血統を重視するために複数の妻を持つことが常識となっている。
しかし、シリウスの価値観ではどうしても受け入れがたいことだった。
他人がそうするなら別に構わない。だが、シリウスの家族は一人の夫に一人の妻、そして二人の子供だけで十分。
それにダークエルフの血を守るためにシリウスがそんなことをする必要が無い。血を守りたい人が守ればいいし、そうでないものは自分の生きたいように生きればいい。そう考えている。
「お前たちの価値観に俺を巻き込むな。俺にとっての家族はアステルとステラだけなんだ」
シリウスの言葉が空気を震わせたその瞬間、ヴェラの表情に微かに変化が見えた。冷静さを保っていた彼女の顔に初めて苛立ちが浮かんだ。
「なぜそこまでエルフの妻に拘るのですか?」
彼女の声には明らかに感情がこもっていた。目の奥に宿る怒りが彼女の冷淡さを一瞬で溶かしている。彼女の声と言葉には長い間続いた対立の影が色濃く残っている。
シリウスは深く息を吸い、ヴェラの目をしっかりと見据えた。
「俺がアステルを愛しているのは彼女がエルフだからではない。彼女自身の人柄、優しさ、そして家族への思いが俺の心を捉えている。それに種族は関係ない。俺はアステルの全てを愛しているんだ」
その言葉が真摯に発せられた瞬間、ヴェラの表情に一瞬の戸惑いが走った。彼女はその思いが何を意味するのか、理解しようと必死に考えているようだった。
「エルフとダークエルフの対立は長い間続いてきたものなのは知っている。だが、俺はそんな価値観に縛られるつもりはない。俺はアステルと共に歩んでいく。彼女とステラを愛し、守ることが俺の使命だ」
一方でシリウスの心の中でアステルへの愛が揺るぎないものであることが確認された。彼女の存在がどれほど大切か、言葉にすることでより一層強く感じられた。
「……ダークエルフとしての誇りはないのですか?」
「その誇りは他人を傷つける理由にはならないだろう」
ヴェラが冷ややかな声で尋ねるとシリウスは毅然とした態度で応じた。
二人のダークエルフは互いに鋭い視線を交わし合い、周囲の空気が再び張り詰めた。
シリウスの心中には怒りと守るべきものへの強い決意が渦巻いていたが、ヴェラもまたその強さを試すかのように立ち尽くしていた。その時、遠くから聞き慣れた声が響いてきた。
「シリウス!」
シリウスがその方向に目を向けると彼の同僚である騎士のアルムが部下を連れてこちらにやってくる姿が見えた。
「気が変わったら私に声を掛けてください。それでは」
ヴェラは素早くそう言い、その場から去ることを選んだ。シリウスは一瞬、その背中を見つめたが、もう彼女の姿は遠くに消えていた。
「シリウス、何があった?」
アルムが近寄り、険しい表情で尋ねてきた。彼は周囲の様子を見回しながらも状況を掴もうとしているようだった。
「娘を送りに来ただけだ。俺たち家族の問題に巻き込んですまなかった」
シリウスは素直に謝罪したが、アルムの表情は不審そうだった。
「もうこれ以上俺たちに関わらないように言っておいた」
シリウスはアルムの目をしっかりと見据え、確固たる意志を示した。
アルムはその目を見つめ返し、何かを感じ取ったのか、小さく頷いた。
「……わかった。でも何かあったら俺やガレット団長にすぐに言ってくれ」
アルムはそう言い残し、踵を返した。そして部下に合図を送り、そのまま去っていった。
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