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新しい家族編
あなたと感じる未来
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その日の夜、静寂に包まれた部屋でアステルはステラを寝かしつけると、シリウスと二人きりの時間が訪れた。
灯りの少ない部屋に窓からは薄い月明かりが差し込んで、柔らかな光が二人の影をゆっくりと伸ばしていった。
アステルはソファに腰を下ろし、シリウスも隣に座った。普段は賑やかな家の中で、ふたりきりの静かな時間は特別なものだ。
「今日ね。ラーシェルドさんに会ったの」
アステルがゆっくりと口を開くと、シリウスはその名前を聞いた瞬間、ほんのわずかに眉をひそめた。微妙な空気が二人の間に流れる。シリウスは腕を組み、冷静を装いながらも、その表情にはわずかな不快感が滲んでいた。
「ラーシェルド? あの吟遊詩人のエルフか?」
彼の声には感情を抑え込もうとする微かな緊張が含まれていた。アステルはそんなシリウスの反応に気づきつつも、穏やかに続けた。
「うん、久しぶりだったけど、相変わらずだったわ。ステラは覚えてなかったけど……ああ、それで、ラティーナも今は……」
アステルが懐かしそうに話しながら微笑むと、シリウスはその言葉を黙って聞いていた。しかし、内心では少しずつ嫉妬の感情が膨らんでいくのを感じていた。
ラーシェルドという男はエルフとしての美しさや知識、そして魅力を持ち合わせている。アステルとも親しくしていたことを知っているシリウスにとって、その存在はどうしても不安を掻き立てる。
彼の助けもあって、アステルを助け出せたこともあったので、その恩義も感じているが
(そもそも、あの男があの場にいなければ俺は引き返さなかった)
今にして思えばあの時、ラーシェルドがアステルとステラと一緒にいる現場を見なければシリウスは勘違いをすることなく、アステルと再会することができた。そのことがシリウスにはどうしても納得がいかなかった。
アステルを助けるために彼の手を借りたことには感謝しているが、それでも心の中で何かが引っかかっている。
「どうしたの?急に不機嫌になって」
アステルが不安げにシリウスを見つめる。シリウスはその問いに少し戸惑い、そして目を逸らした。彼は何とか感情を抑えようとし、少しだけ気まずそうに息をついた。
「いや……」
その沈黙が続く中、アステルは話題を変えようとした。
「ステラったら、絶対に妹がいいって拘っているのよね。男の子だったら、あの子ががっかりするのかしら?」
その言葉に、シリウスは少し考え込んだ後、静かに答えた。
「まあ……兄弟は同じ性別の方が何かと都合がいいかもしれないな」
兄弟に居ないシリウスにとって、ステラの気持ちを完全には理解しきれなかった。それでも、元気に生まれてくれるなら性別なんてどちらでもいいと思っている。
「あ、動いた」
その瞬間、アステルの表情がふっと明るくなり、お腹に手を当てた。
驚いた表情でその感触を確かめるアステルの顔をシリウスはじっと見つめていた。しばらくそのまま見守っていたが、アステルがシリウスの手を取る。
「ここ……わかる?」
アステルは微笑みながらシリウスの手を自分のお腹に導いた。シリウスは何も言わず、ただ頷いた。その瞬間、再びお腹の中で小さな命が動いたことを感じる。
「……動いて、る……」
シリウスの声が震えて、表情には深い感動が浮かんでいた。その指先を伝わるわずかな震え、言葉にできないほどの喜びが全身を包み込んでいく。
目を閉じ、深い息を吸い込んだ。その感触をもっと感じたくて、そっと手を動かして、動きを確かめるように触れ続けた。
「これが……俺たちの子供……」
シリウスの声は柔らかな優しさを帯びていた。彼の瞳には温かい光が灯り、アステルを見つめるその眼差しに、深い感謝と喜びが溢れていた。
「一緒に感じられてよかった」
アステルはシリウスに優しく微笑みかけ、彼の手を包み込むように握り返す。二人の指が絡み合い、まるで心と心がひとつになるような感覚を共有していた。
シリウスは再び視線をアステルのお腹に戻し、慎重にもう一度触れた。彼はその小さな命が確かに存在していることを感じ取りながら、静かな言葉を口にした。
「アステル」
彼は愛おしそうに彼女の名前を呼び、目を閉じた。心の中ではすでに確信していた。自分たちの子供が、確かにここにいるということを。彼女から生まれる命が育ち続けているその事実に、ただただ感謝の気持ちが湧いてきた。
「……アステル、ありがとう」
シリウスは、アステルの手を取るとそっと唇を落とす。彼の瞳はまるで神に祈りを捧げるかのように、深い慈愛と感謝の気持ちで満たされていた。その仕草と言葉にアステルの胸が高鳴る。
「そんな、大げさよ。シリウス」
アステルは少し恥ずかしそうに微笑んだが、その顔には確かな幸福感が浮かんでいた。 シリウスは再び目を閉じ、その温もりと命の鼓動を全身で感じ取っていた。
「何事もなく無事に生まれて欲しい」
その言葉には、彼の心からの願いが込められていた。彼はこの幸せを守り続けるためにもっと強くならなければならないと心に誓うのだ。
灯りの少ない部屋に窓からは薄い月明かりが差し込んで、柔らかな光が二人の影をゆっくりと伸ばしていった。
アステルはソファに腰を下ろし、シリウスも隣に座った。普段は賑やかな家の中で、ふたりきりの静かな時間は特別なものだ。
「今日ね。ラーシェルドさんに会ったの」
アステルがゆっくりと口を開くと、シリウスはその名前を聞いた瞬間、ほんのわずかに眉をひそめた。微妙な空気が二人の間に流れる。シリウスは腕を組み、冷静を装いながらも、その表情にはわずかな不快感が滲んでいた。
「ラーシェルド? あの吟遊詩人のエルフか?」
彼の声には感情を抑え込もうとする微かな緊張が含まれていた。アステルはそんなシリウスの反応に気づきつつも、穏やかに続けた。
「うん、久しぶりだったけど、相変わらずだったわ。ステラは覚えてなかったけど……ああ、それで、ラティーナも今は……」
アステルが懐かしそうに話しながら微笑むと、シリウスはその言葉を黙って聞いていた。しかし、内心では少しずつ嫉妬の感情が膨らんでいくのを感じていた。
ラーシェルドという男はエルフとしての美しさや知識、そして魅力を持ち合わせている。アステルとも親しくしていたことを知っているシリウスにとって、その存在はどうしても不安を掻き立てる。
彼の助けもあって、アステルを助け出せたこともあったので、その恩義も感じているが
(そもそも、あの男があの場にいなければ俺は引き返さなかった)
今にして思えばあの時、ラーシェルドがアステルとステラと一緒にいる現場を見なければシリウスは勘違いをすることなく、アステルと再会することができた。そのことがシリウスにはどうしても納得がいかなかった。
アステルを助けるために彼の手を借りたことには感謝しているが、それでも心の中で何かが引っかかっている。
「どうしたの?急に不機嫌になって」
アステルが不安げにシリウスを見つめる。シリウスはその問いに少し戸惑い、そして目を逸らした。彼は何とか感情を抑えようとし、少しだけ気まずそうに息をついた。
「いや……」
その沈黙が続く中、アステルは話題を変えようとした。
「ステラったら、絶対に妹がいいって拘っているのよね。男の子だったら、あの子ががっかりするのかしら?」
その言葉に、シリウスは少し考え込んだ後、静かに答えた。
「まあ……兄弟は同じ性別の方が何かと都合がいいかもしれないな」
兄弟に居ないシリウスにとって、ステラの気持ちを完全には理解しきれなかった。それでも、元気に生まれてくれるなら性別なんてどちらでもいいと思っている。
「あ、動いた」
その瞬間、アステルの表情がふっと明るくなり、お腹に手を当てた。
驚いた表情でその感触を確かめるアステルの顔をシリウスはじっと見つめていた。しばらくそのまま見守っていたが、アステルがシリウスの手を取る。
「ここ……わかる?」
アステルは微笑みながらシリウスの手を自分のお腹に導いた。シリウスは何も言わず、ただ頷いた。その瞬間、再びお腹の中で小さな命が動いたことを感じる。
「……動いて、る……」
シリウスの声が震えて、表情には深い感動が浮かんでいた。その指先を伝わるわずかな震え、言葉にできないほどの喜びが全身を包み込んでいく。
目を閉じ、深い息を吸い込んだ。その感触をもっと感じたくて、そっと手を動かして、動きを確かめるように触れ続けた。
「これが……俺たちの子供……」
シリウスの声は柔らかな優しさを帯びていた。彼の瞳には温かい光が灯り、アステルを見つめるその眼差しに、深い感謝と喜びが溢れていた。
「一緒に感じられてよかった」
アステルはシリウスに優しく微笑みかけ、彼の手を包み込むように握り返す。二人の指が絡み合い、まるで心と心がひとつになるような感覚を共有していた。
シリウスは再び視線をアステルのお腹に戻し、慎重にもう一度触れた。彼はその小さな命が確かに存在していることを感じ取りながら、静かな言葉を口にした。
「アステル」
彼は愛おしそうに彼女の名前を呼び、目を閉じた。心の中ではすでに確信していた。自分たちの子供が、確かにここにいるということを。彼女から生まれる命が育ち続けているその事実に、ただただ感謝の気持ちが湧いてきた。
「……アステル、ありがとう」
シリウスは、アステルの手を取るとそっと唇を落とす。彼の瞳はまるで神に祈りを捧げるかのように、深い慈愛と感謝の気持ちで満たされていた。その仕草と言葉にアステルの胸が高鳴る。
「そんな、大げさよ。シリウス」
アステルは少し恥ずかしそうに微笑んだが、その顔には確かな幸福感が浮かんでいた。 シリウスは再び目を閉じ、その温もりと命の鼓動を全身で感じ取っていた。
「何事もなく無事に生まれて欲しい」
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