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皇帝陛下と二人だけで
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茶会が始まってからどれくらいの時間が経ったのか正確にはわからなかった。周囲の賑やかな声と煌びやかな空気で盛り上がっているのが感じ取れただけ。
楽しげに笑う貴族たちの声がまるでお互いの会話を競うかのように響いている。そんな中、私は静かにただじっとしているだけだった。口を開くこともなく、視線を落としながら出席していること自体が不安で仕方ない。
庭園の奥から静かなざわめきが広がり、その場の空気が一変した。周りの人たちが一斉に姿勢を正し、敬意を示すために立ち上がる。それに合わせて私も同じように立ち上がり、正しい所作を守りながら目を向けた。
現れたのは短く整えられた銀色の髪を持つ男性。その男性の目は深い紫色。まるで紫水晶のように澄んだ瞳がまっすぐ前を見据えている。高貴で凛としたその姿からは圧倒的な王の気品が漂い、周囲の空気さえも彼のものとなっているように感じられる。
シオンハルト皇帝陛下が私たちの前に現れた。
「来てくれたか、ヴィクトル」
その一言が会場の空気をさらに一層緊張させた。ヴィクトル様が即座に立ち上がり、深々と頭を下げて礼をする。それに合わせて私も足を引き締め、礼をした。
陛下の存在は威圧的で圧倒されていたが私は動揺を隠して微笑みを浮かべることだけを心がけた。
「陛下、この度は茶会に招待していただきありがとうございます」
ヴィクトル様の言葉に続き、私もお辞儀をしながら自己紹介をする。
お姉様の話によると優秀で国民からも慕われていて、学生時代も首席だったようで上に立つために生まれてきたのかと思うような人だとか。
私はお会いするのは初めてなので皇帝陛下の印象はお姉様から聞いた話になる。もちろん、ヴィクトル様は何も教えてはくれなかった。
「……ミーティアの妹か?」
陛下の視線はヴィクトル様から私に移り、疑問を投げ掛けられ、私はその質問に答えるために礼をする。
「はい。ユミルリアと申します」
陛下の紫色の瞳が私の顔に向けられ、じっと見つめられる。その視線が何かを探るように鋭く、しかし冷静でどこか憂いを帯びているようにも感じられた。
「そうか、ミーティアの妹……茶会は楽しめたのか?」
私をヴィクトル様の妻でミーティアお姉様の妹だと認識をすると陛下は優しく問いかけてくれる。
それは心地よいものでヴィクトル様とは異なり、温かみを感じさせるものだった。陛下が笑うことで少しだけ緊張していた心がほぐれ、私は胸の奥で安堵の息を漏らす。
「はい、とても」
「顔色が悪いな」
嘘をついて答えると陛下は少し眉をひそめ、私の顔を真剣に見つめる。その紫の瞳には私の体調を気遣うような優しさが含まれていた。
しかし、私はそれに答えられなかった。お腹と頭が痛いということをどうしても口に出すことはできない。ヴィクトル様に迷惑を掛けてしまうから無理にでも笑顔を作り続けるしかなかった。
「緊張をしているだけです。今回が初めての参加なので」
私の様子を見かねてヴィクトル様がすかさずフォローを入れてくれた。しかし、陛下は首を横に振ると私の肩に手を置き、優しく撫でてくれた。陛下の手は温かく、その感触が心に染み入るようだ。
「無理はするな。いつでもやめていいんだぞ?」
その言葉に私は息を止める。
何を……?ヴィクトル様の妻を辞めてもいいってこと?
「茶会はもういいから休むといい」
ああ、そっち……か……
その言葉にようやく胸をなでおろしたけど同時に少し残念な気持ちが湧いてきた。
「え……?」
突然陛下が私の手を取ると、周囲の貴族たちのざわついた声が私の耳に入る。手袋越しなのに陛下の手の温もりはしっかりと伝わってきて、まるで優しさに包まれているような安心を感じた。
「陛下、ユミルは帰らせます」
ヴィクトル様が焦りながら言うと陛下は静かに答える。
「ミーティアのことで話がしたかったんだ。少しだけユミルリアを借りていくぞ」
その言葉とともに再び会場がざわつく。初めは私にとって理解できない状況だったけどお姉様のことで陛下は私に会いたかったことはわかった。
皇帝陛下のご命令だから無下にはできない。それに本当はこの場から、ヴィクトル様の隣から逃げたい。だから私は黙って頷き、陛下に手を引かれて会場を後にした。
◆
庭園の奥へと引かれていく中、心臓が鼓動を打つように感じながら、私は不安と期待の入り混じった気持ちで陛下に従っていた。静かな足音だけが響く中で、私たちは一際美しいガゼボの前で足を止める。
精緻な細工が施された木製の構造で、白く塗られた柱が天井へと高く伸び、屋根は薄い藤色で覆われ、微かな光を透かして柔らかな輝きを放っていた。視界に広がる優雅な空間に私は驚きの気持ちを隠せなかった。
花に囲まれたガゼボの中に案内されて席に着くと目の前に座る陛下の存在が私の視線を引きつける。彼の顔は想像以上に若々しくて、でもその紫の瞳はどこか深みを持っていて、ただの若さを感じさせない。
皇帝陛下と会うことはとても光栄なことだけど二人きりになるなんて普通だったらありえない状況だ。
「ヴィクトルとの結婚生活はどうだ?」
その言葉が空気を切り裂き、私の胸の中でざわめきが広がる。
私は無理に笑顔を作り、陛下の目をしっかりと見つめながら冷静を装って答える。不安が広がり、どんなに抑えようとしても体が小さく震えていく。
「ヴィクトル様はお優しい方です。ミーティアお姉様の代わりに嫁いだ私を気遣ってくれています」
陛下の質問に対して私はまた首を縦に振り、笑顔を作って嘘をついた。今度はバレないようにしないと。嘘を見破られないように緊張で体が震えて手にも力が入らなくなってきた。
対して陛下は少しだけ眉をひそめるものの、すぐに穏やかな笑顔を浮かべる。
「それならいいが……報酬にヴィクトルがミーティアと結婚をしたいと申し出たから心配だったんだ」
戦争で英雄となったヴィクトル様がお姉様を望み、それを王命で了承させたという話は有名な話。それを改めて聞かされると複雑な気持ちでいっぱいになる。ヴィクトル様の隣にいるはずだったのは私じゃなくて……
死んだお姉様の代わりに私と結婚したことを陛下がどう感じているんだろう?私はその思いを言葉にすることができず、ただ黙って首を垂れる。
「ミーティアが死に……妹と結婚をすると聞いた時は投げやりになってしまったのではないかと思ってな。だがユミルリアが酷い扱いを受けていないならいいんだ」
「お姉様の代わりは勤まらないと思いますが、誠心誠意ヴィクトル様に尽くさせて頂きます」
酷い扱いなのかはわからないけど居心地の悪さは感じている。ミーティアお姉様と比較されて、比べられているんじゃないかと不安になるのも確かだ。
「仕事に関してはよく働く男なんだが人付き合いは苦手でな。上手くやっていけているか心配だった」
「そう、ですね……いつも気難しいお顔をしていますから……」
私は心の中でミーティアお姉様のことを思い出しながら答える。お姉様は社交的で誰とでもすぐに打ち解けてしまうような明るい性格の人だったからヴィクトル様がそんなお姉様を好きだったのはよくわかる。
「お姉様が生きていたら……もっと上手くいったと思います……」
その言葉が気づけば口から漏れてしまっていた。言葉が出た瞬間、後悔の念が胸を占める。しかし、陛下はその言葉に驚くことなく、むしろ優しく微笑んで答えてくれた。
「ミーティアは素敵な女性だった。昔から誰からも慕われていて、愛想の悪いヴィクトルにとってはいい相手だと思ったよ。ただ……運が悪かった……」
陛下の表情にほんの少しだけ悲しみが滲む。それは私が思っていた以上に深い感情が込められた言葉だった。目の奥に過去の辛い記憶がよぎっているようで、その姿を見て私の胸も締めつけられる。
「あんなことが無ければヴィクトルとミーティアは幸せな家庭を築けただろうに……」
「はい……事故が無ければ今頃……」
その言葉を続けようとした瞬間、陛下の目が鋭く私に注がれ、驚きの表情を浮かべる。まるで何も知らない人間を見たかのような目で。
「……ミーティアの死因をユミルリアは知っているのか?」
「はい……事故で亡くなったと……」
馬車で戻る途中、落石事故があったと聞かされた。それ以上、誰も詳しく教えてくれなかったから私もそれしか知らない。陛下は黙って考えるように私を見つめ、その顔には疑念と悲しみが交じったような表情が浮かぶ。
「ああ……不幸な事故だった」
陛下の目が痛みと悲しみを隠しきれずに浮かんでいる。そのまま顔を下げ、静かにため息をつく。
「皆の心の傷は大きい。だからこそ夫婦で支え合ってくれないとな。ユミルリア、ヴィクトルを頼んだぞ」
「ヴィクトル様を支えられるように、頑張ります」
「遅くなったが……ヴィクトルの妻になってくれてありがとう」
その優しい言葉に涙が込み上げそうになる。陛下の温かさがどんなに冷たい世界にあっても私の心に光を灯してくれるようだった。その言葉は、私を勇気づけ、もう少しだけ頑張ろうという力を与えてくれる。
ミーティアお姉様の代わりには程遠いかもしれないけどここに来てよかったと心から思った瞬間だった。
楽しげに笑う貴族たちの声がまるでお互いの会話を競うかのように響いている。そんな中、私は静かにただじっとしているだけだった。口を開くこともなく、視線を落としながら出席していること自体が不安で仕方ない。
庭園の奥から静かなざわめきが広がり、その場の空気が一変した。周りの人たちが一斉に姿勢を正し、敬意を示すために立ち上がる。それに合わせて私も同じように立ち上がり、正しい所作を守りながら目を向けた。
現れたのは短く整えられた銀色の髪を持つ男性。その男性の目は深い紫色。まるで紫水晶のように澄んだ瞳がまっすぐ前を見据えている。高貴で凛としたその姿からは圧倒的な王の気品が漂い、周囲の空気さえも彼のものとなっているように感じられる。
シオンハルト皇帝陛下が私たちの前に現れた。
「来てくれたか、ヴィクトル」
その一言が会場の空気をさらに一層緊張させた。ヴィクトル様が即座に立ち上がり、深々と頭を下げて礼をする。それに合わせて私も足を引き締め、礼をした。
陛下の存在は威圧的で圧倒されていたが私は動揺を隠して微笑みを浮かべることだけを心がけた。
「陛下、この度は茶会に招待していただきありがとうございます」
ヴィクトル様の言葉に続き、私もお辞儀をしながら自己紹介をする。
お姉様の話によると優秀で国民からも慕われていて、学生時代も首席だったようで上に立つために生まれてきたのかと思うような人だとか。
私はお会いするのは初めてなので皇帝陛下の印象はお姉様から聞いた話になる。もちろん、ヴィクトル様は何も教えてはくれなかった。
「……ミーティアの妹か?」
陛下の視線はヴィクトル様から私に移り、疑問を投げ掛けられ、私はその質問に答えるために礼をする。
「はい。ユミルリアと申します」
陛下の紫色の瞳が私の顔に向けられ、じっと見つめられる。その視線が何かを探るように鋭く、しかし冷静でどこか憂いを帯びているようにも感じられた。
「そうか、ミーティアの妹……茶会は楽しめたのか?」
私をヴィクトル様の妻でミーティアお姉様の妹だと認識をすると陛下は優しく問いかけてくれる。
それは心地よいものでヴィクトル様とは異なり、温かみを感じさせるものだった。陛下が笑うことで少しだけ緊張していた心がほぐれ、私は胸の奥で安堵の息を漏らす。
「はい、とても」
「顔色が悪いな」
嘘をついて答えると陛下は少し眉をひそめ、私の顔を真剣に見つめる。その紫の瞳には私の体調を気遣うような優しさが含まれていた。
しかし、私はそれに答えられなかった。お腹と頭が痛いということをどうしても口に出すことはできない。ヴィクトル様に迷惑を掛けてしまうから無理にでも笑顔を作り続けるしかなかった。
「緊張をしているだけです。今回が初めての参加なので」
私の様子を見かねてヴィクトル様がすかさずフォローを入れてくれた。しかし、陛下は首を横に振ると私の肩に手を置き、優しく撫でてくれた。陛下の手は温かく、その感触が心に染み入るようだ。
「無理はするな。いつでもやめていいんだぞ?」
その言葉に私は息を止める。
何を……?ヴィクトル様の妻を辞めてもいいってこと?
「茶会はもういいから休むといい」
ああ、そっち……か……
その言葉にようやく胸をなでおろしたけど同時に少し残念な気持ちが湧いてきた。
「え……?」
突然陛下が私の手を取ると、周囲の貴族たちのざわついた声が私の耳に入る。手袋越しなのに陛下の手の温もりはしっかりと伝わってきて、まるで優しさに包まれているような安心を感じた。
「陛下、ユミルは帰らせます」
ヴィクトル様が焦りながら言うと陛下は静かに答える。
「ミーティアのことで話がしたかったんだ。少しだけユミルリアを借りていくぞ」
その言葉とともに再び会場がざわつく。初めは私にとって理解できない状況だったけどお姉様のことで陛下は私に会いたかったことはわかった。
皇帝陛下のご命令だから無下にはできない。それに本当はこの場から、ヴィクトル様の隣から逃げたい。だから私は黙って頷き、陛下に手を引かれて会場を後にした。
◆
庭園の奥へと引かれていく中、心臓が鼓動を打つように感じながら、私は不安と期待の入り混じった気持ちで陛下に従っていた。静かな足音だけが響く中で、私たちは一際美しいガゼボの前で足を止める。
精緻な細工が施された木製の構造で、白く塗られた柱が天井へと高く伸び、屋根は薄い藤色で覆われ、微かな光を透かして柔らかな輝きを放っていた。視界に広がる優雅な空間に私は驚きの気持ちを隠せなかった。
花に囲まれたガゼボの中に案内されて席に着くと目の前に座る陛下の存在が私の視線を引きつける。彼の顔は想像以上に若々しくて、でもその紫の瞳はどこか深みを持っていて、ただの若さを感じさせない。
皇帝陛下と会うことはとても光栄なことだけど二人きりになるなんて普通だったらありえない状況だ。
「ヴィクトルとの結婚生活はどうだ?」
その言葉が空気を切り裂き、私の胸の中でざわめきが広がる。
私は無理に笑顔を作り、陛下の目をしっかりと見つめながら冷静を装って答える。不安が広がり、どんなに抑えようとしても体が小さく震えていく。
「ヴィクトル様はお優しい方です。ミーティアお姉様の代わりに嫁いだ私を気遣ってくれています」
陛下の質問に対して私はまた首を縦に振り、笑顔を作って嘘をついた。今度はバレないようにしないと。嘘を見破られないように緊張で体が震えて手にも力が入らなくなってきた。
対して陛下は少しだけ眉をひそめるものの、すぐに穏やかな笑顔を浮かべる。
「それならいいが……報酬にヴィクトルがミーティアと結婚をしたいと申し出たから心配だったんだ」
戦争で英雄となったヴィクトル様がお姉様を望み、それを王命で了承させたという話は有名な話。それを改めて聞かされると複雑な気持ちでいっぱいになる。ヴィクトル様の隣にいるはずだったのは私じゃなくて……
死んだお姉様の代わりに私と結婚したことを陛下がどう感じているんだろう?私はその思いを言葉にすることができず、ただ黙って首を垂れる。
「ミーティアが死に……妹と結婚をすると聞いた時は投げやりになってしまったのではないかと思ってな。だがユミルリアが酷い扱いを受けていないならいいんだ」
「お姉様の代わりは勤まらないと思いますが、誠心誠意ヴィクトル様に尽くさせて頂きます」
酷い扱いなのかはわからないけど居心地の悪さは感じている。ミーティアお姉様と比較されて、比べられているんじゃないかと不安になるのも確かだ。
「仕事に関してはよく働く男なんだが人付き合いは苦手でな。上手くやっていけているか心配だった」
「そう、ですね……いつも気難しいお顔をしていますから……」
私は心の中でミーティアお姉様のことを思い出しながら答える。お姉様は社交的で誰とでもすぐに打ち解けてしまうような明るい性格の人だったからヴィクトル様がそんなお姉様を好きだったのはよくわかる。
「お姉様が生きていたら……もっと上手くいったと思います……」
その言葉が気づけば口から漏れてしまっていた。言葉が出た瞬間、後悔の念が胸を占める。しかし、陛下はその言葉に驚くことなく、むしろ優しく微笑んで答えてくれた。
「ミーティアは素敵な女性だった。昔から誰からも慕われていて、愛想の悪いヴィクトルにとってはいい相手だと思ったよ。ただ……運が悪かった……」
陛下の表情にほんの少しだけ悲しみが滲む。それは私が思っていた以上に深い感情が込められた言葉だった。目の奥に過去の辛い記憶がよぎっているようで、その姿を見て私の胸も締めつけられる。
「あんなことが無ければヴィクトルとミーティアは幸せな家庭を築けただろうに……」
「はい……事故が無ければ今頃……」
その言葉を続けようとした瞬間、陛下の目が鋭く私に注がれ、驚きの表情を浮かべる。まるで何も知らない人間を見たかのような目で。
「……ミーティアの死因をユミルリアは知っているのか?」
「はい……事故で亡くなったと……」
馬車で戻る途中、落石事故があったと聞かされた。それ以上、誰も詳しく教えてくれなかったから私もそれしか知らない。陛下は黙って考えるように私を見つめ、その顔には疑念と悲しみが交じったような表情が浮かぶ。
「ああ……不幸な事故だった」
陛下の目が痛みと悲しみを隠しきれずに浮かんでいる。そのまま顔を下げ、静かにため息をつく。
「皆の心の傷は大きい。だからこそ夫婦で支え合ってくれないとな。ユミルリア、ヴィクトルを頼んだぞ」
「ヴィクトル様を支えられるように、頑張ります」
「遅くなったが……ヴィクトルの妻になってくれてありがとう」
その優しい言葉に涙が込み上げそうになる。陛下の温かさがどんなに冷たい世界にあっても私の心に光を灯してくれるようだった。その言葉は、私を勇気づけ、もう少しだけ頑張ろうという力を与えてくれる。
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