鉄巨人、異世界を往く

銀髭

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第8話 技能

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泉から上がり、謎の声が聞こえた後俺は、あれから黒い板の内容を調べていた。

結果として、以下のことが分かった。

  ○経験値… 自身のこれまでの経験を数値化したものであり、一定の値を超えると成長し、各能力値が上昇する。

  ○生命力… 体力を数値化したものであり、0になると死亡する。

  ○魔力… 体内の魔素を数値化したものであり、魔力を用いた動作等を行うことで減少する。

  ○SP… スキルポイントの略称。 消費することで様々な技能スキルを習得することが可能。

  ○称号… 自身の行いによって、与えられる肩書き。称号によっては、能力値に補正が掛かる。
           
         ・〈 転移者 〉… ここではないどこかの世界から、
                   転移してきた者に与えられる称号。
  
  ○巨人騎士ギガントナイトの鎧… ミスリルや
  オリハルコン等を使用して作成された巨大な全身鎧。特殊な製法により、外部からの魔力を
  通さない性質を持つ。
  ( 防御+850、魔法無効 )


これらは、偶然板の文字に触れた際に、詳細な情報が
出てきたことによって分かったものだ。

この板自体も、頭の中でステータス と念じれば現れる
ようで、消す際も同様だ。

名前や年齢こそ不明ではあったが、実際今はそこまで、
記憶を取り戻したいという気も無い。

しばらくはこの森で、ゆっくりと隠れ過ごしながら
今後について考えていこうと思っている。

空を見上げると、日が沈み始めていた。

   ( 今日のところは、もう寝るか )

追手が来ないとも限らないし、念のため泉の中に
隠れておこう。

そうして俺は、朝目覚めた時と同様に泉の底で目を
閉じ、眠りについた。


____________________



その頃、とある城では1人の男が年老いた男に質問を受けていた。

「…では、行っていた調査の方に問題は無かった
  のだな?」

老いた男が鋭く目を光らせる。

「はっ、その通りでございます!」

「…ふむ、…下がるがよい。 先日の火事での働き、
   ご苦労であった」

「はっ、では失礼します!」

そう言って呼び出されていた男は、部屋から出て行く。

豪奢な部屋に静けさが戻り、老いた男の脇に控えていた
小太りの男が声を掛ける。

「ゲドウィン伯、この度の件以下がなさいましょう?」

「…大方盗賊の仕業であろう。捨て置けい、
   邪魔なガラクタが無くなっただけのことよ」

ゲドウィン伯と呼ばれた男が、実に面倒といったように答える。

「しかし、城の中で巨大な人影を見たという者も
   おるのですぞ。そのまま壁を破壊したとも…」

「あの鎧が動いたとでも言うのか、バカバカしい…」

「ですが、実際に足跡なども見つかっておりますし…」

「…であればマルコよ、今回の件は其方に一任する。
   後は任せたぞ。儂は執務で忙しい」

「…分かりました。近いうちにいくらか兵を派遣し、
  調査に向かわせましょう」

ゲドウィン伯は、うむ、とだけ言って部屋から出て行く。

マルコと呼ばれた男もまた、厄介事を押し付けられたと
面倒な顔をして、呟く。

「はあ…、こっちもやる事あるのに…」

マルコは、伯爵の意見に食い下がってしまったことを
後悔して、その場を後にした。


____________________


翌日、目を覚まして再び、泉の底から立ち上がる。

多分昼前くらいだろうか、と太陽の位置を見ると
太陽がほぼ真上に来ていたことから、自分の体内時計が割と正しいことが分かる。

水から上がって泉の側に座り込み、これから何をしようか考える。

  ( そう言えば、鎧って脱げるんだろうか? )

疑問を浮かべ、試しに兜を引っ張ってみると、軽い手応えを感じて兜が取れた。

何故か視界が兜と共に動いており、試してみるとどうやら頭としての機能は兜部分にあるようだ。

兜を小脇に抱え、泉に自分を写してみると、首の上には
何も無かった。

何となく分かっていたことではあったが、この鎧はであると同時に、自身の肉体でもあるということなのだろう。

無言で兜を付け直し、再び座り込む。

ふと、自分の腕を見ると傷だらけな事に気が付いた。
ステータスを見ると生命力は全快だった為、鎧の傷
とは関係が無いようだ。

  ( となると…、鎧は壊れたら直さないといけない訳か )

そこで、ふっと閃く。

  ( 物を直す技能スキルとかあったりするのか? )
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