満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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7人対20人

軍隊の武器では・・・

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 爆走する特別急行列車。 ハルピンで、停車して、石炭や水(蒸気動力に使うのだ。)食糧を列車に補給した。 汽笛が鳴る。 動輪が空転する。 少しづつ列車は動き出した。 ピストンがあえいで、蒸気であふれる。 さあ、モスクワまで、ノンストップだ。 機関士がノブに気合をいれて、切り替える。 速度が上がる。 レールの継ぎ目の音が心地よい。 カタン、カタン、カタン、カク、カク、カク、・・・・・順調だ。 もうすぐ、分岐点だ。 汽笛を鳴らして、ポイント切り替え所に知らせる。  でないと、退避線に列車が入ってしまうからだ。 アレ、おかしいぞ。 「おい、退避線だぞ。」 「ブレーキを掛けろ。」 「ベルを鳴らせ。」 緊急時に車掌に知らせるベルだ。 500メートルほど退避線に入って、列車はやっと止まった。 「どうしたんだ。」 列車の車掌が飛んで来た。 「切れ替えが、おかしい、ひょっとして、おい、警備員に知らせろ。」 機関士が叫んだ。 と同時に、銃声だ。 見ると、機関車の前に賊だ。 馬賊だ。 それも、20人あまりいる。 「おい、手を上げろ。」 機関士らに銃を突きつけている馬賊だ。 「抵抗しなければ殺しはしない。」 といって銃で、機関車から降りろの合図だ。  手を上げて機関車から降りる機関士らだ。 どうみても人質に見えるか、列車からは反撃はない。 1両に1人は警備員がいるはずだ、計7人だ。 どうする、警備員。 米国トンプソン探偵社から遠く満州鉄道警備に派遣された、ガンマンのリチャードは機関車が速度を落としてブレーキを掛けると、おかしいと思った。 即、車掌に問い合わせる。 他の車両の警備員も同様だ。 列車が止まる。 「おい、おかしいぞ、やばいぞ。」 窓から機関車を見ていたリチャードだ。 「馬賊だ、やられた、機関士が人質だ。」 機関士がいないと列車が走らない。 「おい、ヤツラとんでもない武器を持ってるぞ。」 機関士をマシンガンで追い立てている。 「どこから、マシンガンなぞ。」 「どうする。」 他の警備員が集まってきた。 「ひとりは、列車から脱出して危機を本社に知らせろ。」 「乗客が人質になると、最悪だ。」 「まずは、乗客を避難させろ。」 車掌に指示だ。 「オレ達は、電源車の後ろの客車で馬賊と対峙する。」 「そのスキに2人で、機関士を奪還しろ。」 1人が助けを呼びに。 2人が機関士の奪還だ。 4人が馬賊から乗客を守ることとなった。 「弾を余分に持ってけ。」 車掌が隠してあった銃弾の箱を配る。 「相手はマシンガンがある、弾込めで、遅れを取るなよ。」 最後尾の展望車に乗客を避難させて、展望車を4人で守ることとなる。 車掌が、騒ぐ乗客を落ち着かせて避難させていた。 「よし、予備の弾は持ったな。」 ガンマン達は4ケ所にわかれて、乗客を守る。 馬賊がやってくる前に、ひとりが助けを求める電信を打ちに、500メートル戻り、退避線の切り替え所まで走る。 そして、機関士らを助けるために2人が、隠れながら大回りして賊の背後にまわる。 馬賊対ガンマン、馬賊との銃撃戦が始まろうとしていた。 
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