満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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偵察は2人でないと・・・

やはり、偵察員は操縦士では、ダメだ。

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 討伐隊に帰還する編隊があった。 「一人では、地上を偵察するのに、操縦が負担となるので。」 つまり、偵察員を乗せろだった。 97式は、空中勤務員(操縦士)の座席の後ろに補助の人員を一人、女子高生なら2人まで、乗せることができる。 そして、補助員用の窓もあるのだ。 (窓は以前には無かったが、補助員を乗せる機会が増えたので造られたのだ。) そして、馬車の屋根の番号を確認するのに、操縦が妨げられるから、別の偵察員を乗せようというのである。 「わかった、では2機編隊ではなく、新たに参集した者も加えて、偵察要員を乗せて、再度捜索だ。」 「了解です。」 いままで、効率が悪かった観測が、操縦と別に偵察するので、馬車の屋根に描かれている番号も判別しやすくなった。 そう、馬車の発見は時間の問題であった。 そして、新型増槽を装備して、半島の中ほどまでも偵察ができるのである。  なお、この新型は外せないのだ、なぜか? それは、空戦時に、以前の増槽を落とさずに空戦して、そのまま帰還した97式が多かったからだ。 まあ、ほどんど動きに差がなかったのだ。 数値的には、5分も変化はないからね。 引き込み脚が1割くらいだ。 そして、荒れ地に着陸を想定している、97式は脚のカバー(スパッツ)も外している。 先の大戦で、独逸のティーガーが誘導輪の前の外側が土が詰まるから外していたのと同じだ。 カリウスのティーガーも、そうだった。 前線での96式や97式も車輪カバーを外している写真を見るのだ。 さて、ふたたび偵察に出る、97式だ。 1回目は、馬車を発見できなかった。 それには、理由があったのだ。 今回の馬賊は、一筋縄ではいかない。 御者が入れ替わりったあとの事だ。 「いいか、しばらく馬車ごと生娘らを隠すぞ。」 「どうしてニダ。」 「おそらく、いまの風船で、誘拐したことを知らせてのだ。」 「まさか、ニダ。」 「おまえは、日本軍の恐ろしさを知らんのだ。」 「う、う、ニダ・・」 「まずは、飛行機で馬車をさがすだろう、その時間を避けるのだ。」 「なかなかの、軍師ニダ。」 「さすがに、両班貴族様の部下は違うニダ。」 だから、馬車を発見できなかったこともあるのだ。 そして、偵察員を乗せての再度の偵察だ。 97式戦闘機は偵察機として、捜索範囲を分割して、効率的に偵察したのである。 それは、偵察員が操縦者とは違うからだ。 やはり、地図を確認しながらの偵察は効率がいいのだ。 とても、操縦しながらでは無理な話である。 そして、時間差をつくり隠れていた馬賊が生娘らを乗せた馬車を、半島逃避コースに戻した。 そして、偵察員を乗せた97式に発見されたのは、言うまでもないのだ。 「こちら、4番機、逃走馬車を発見した。」 「場所は、満州国境まで、2キロ地点、半島への道は・・・」 刻々と馬車の逃走経路が判明する。 それを、討伐隊は無線で他の機に伝達する。 そして、討伐隊本部で、救出計画が練られたのだ。 満州国境まで、2キロだ。 先回りして、待ち構える作戦しかない。 各地に偵察で、飛んでいた97式が、続々と集まってきた。 その数は6機だ。 「本部より、救出計画を送信するから、偵察員は、間違いなく聞き取ること。」 さあ、準備は整った。 
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