満州国馬賊討伐飛行隊

ゆみすけ

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草原分校。

女子高の分校だけだ。

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 満州の草原は広大だ。 一面の草原だ。 地平線まで草原だ。 山や河は見当たらない。 ただ、草が生えてる地面があるだけだ。 そこに、女子高の分校が建てられた。 各、村から距離が平均になる位置だ。 どうしてというと、村どうしが話あって位置を決めたのだ。 馬車で、生徒が通う距離を同じにすることで、通学時間の平等を示したのだ。  それで、なんも無い、草原に女子高の分校が建築となる。 もちろん、警備の退役軍人は居た。 生徒が15人で、校長兼センセイが1人、給食まかない婆さんが1人、事務員は1人、そして警備の退役軍人が1人だ。 しかし、退役軍人は早々に馬賊の連発モーゼル銃で、校舎まで追い込まれてしまっていた。 事務員が緊急の無線で、討伐隊へ通信を送ることができただけだ。 しかし、ここまで討伐隊の戦闘機が飛来するのに、時間がかかる。 テレビドラマではないのだ。 ジェット戦闘機ではない、プロペラ機の97式では、30分はかかるのだ。 それを、馬賊どもは知ってるからか、動きに余裕が感じられるのだ。 「くそっ、おい討伐隊へは知らせたんだな。」 と退役軍人が確認する。 「まちがいなく、知らせた。」 「なら、いい。」 と言って三八式を構える。 ここは、草原の分校だ。 田舎だ。 それで、突撃銃が配備されていなかったのだ。 馬賊は馬で、校舎を囲んで、モーゼル銃で退役軍人に集中銃撃をかける。 頭が鉄カブトだから、生きてるが、以前の軍帽では即死だ。 清楚で可憐な満州生娘らは、震えて15人が校舎の奥に固まって隠れている。 「まだか、まだ来んか。」 と警備の軍人は言葉が出る。 自分がヤラれれば、娘らはシナへの献女だ。 そして、自分の戦死の後は婆やセンセイらは、殺されて終わりだろう。 武器なぞ、オレの銃しかないのだ。 それも、三八式の旧式銃だ。 残りの弾丸が10発を切る。 まだ、馬賊は10騎は居るのだ。 まだ、けん制しかできない警備兵である。 なぜなら、馬賊はモーゼル機関銃だ。 下手に頭を出せば、機関銃で一撃で終わりだ。 それで、無理な銃撃はできない退役兵である。 「相手はひとりだぞ。」 「何してる、突撃しろ。」 馬賊の頭目が叫んでいる。 突撃されたら、まず助からないだろう。 おそらく、馬賊を2騎ほどやっつけるののが、せいぜいだ。 馬賊も命は惜しいはずだ。 なかなか、突撃してこないからだ。 朝鮮馬賊で、それなりに使えるヤツは、街の襲撃にまわされているのだ。 それで、女子分校の襲撃は、ショボイやつらばかりなのだ。 それで、なかなか命をかけて突撃してこないのである。 それで、まだ命がある退役軍人だ。 さあ、倉田は新型97式を飛ばして、間に合うか。 なんせ、操縦は海軍からの派遣搭乗員である。 倉田は補助席で、補佐するのみだ。 ここは、坂井海曹に期待するしかないのだ。  エンジンスロットを最大に引いて、最大馬力で飛ぶ新型97式戦闘機だが、間に合うか。 それとも、すでに生娘らが誘拐された後の校舎に・・・・・
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