冒険者の学校。

ゆみすけ

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討伐人をヤメて、教官だな。

なり手が無い。

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 しかしだ、しかし、教官のなり手が無いのだ。 
つまり、オレしかいないのだ。 役所にも張り紙をだしたし、高札も立てたがだ。 
誰も、募集には応じなかったのだ。 
ライラいわく、「そんな年になる前に、冒険者や討伐人は討伐でケガやエサとして喰われたりして、オッサンになる前に死んでしまうからよ。」らしいのだ。 
そういえば、オッサンの冒険者や討伐人はオレ以外、見たことなのだ。 
つまり、ヒトに教えられるまで、生きてないのだ。 
それほど、危険な職業なのだ。 
しかし、この世界では野獣の被害はめずらしくない。 
病死より、喰われる方が多いくらいだ。
 恐竜こそいないが、ドラゴンのウワサも無くは無いのだ。 
この街の付近には生息していないだけである。 
一度見てみたいと言ったら、それがお前の最後だろう、と言われたのだ。 
だから、オトコの人口はオナゴの半分ほどなのだ。 
それで、婆さんは多いが、爺さんはいないのである。 
そういえば、オトコの高齢者を見たことないが・・・ まあ、深堀はしないでおこう。 
それで、いよいよ生徒募集である。 
討伐で死にたくなければ学校へ、のポスタが貼られたのだ。 
年齢10才から16才までと注意書きもいれた。 
そして、学費は無料で、食事を支給とも入れたのだ。 
ライラ様の貴族の御威光で、多々の入学生が・・・ところが、10日たっても、・・・だ。 オナゴはそれなりなんだが、オトコが誰も来ないんだ。 
つい、フーボーにこぼしてしまった。 
「どうして、オトコは誰もこないんだろう。」と、だ。 
すると、フーボーが、「私のような貧困者は、書いてある学費無料とか食事支給と書いてあると、疑いますからね、そんなうまい話など無いと。」 「騙されて貧困になった者も多いですからね。」 「しかし、ライラの役所が音頭とりなんだが。」「まあ、そうですが、ただより高い物はないともいいますよ。」 「ここは、強制的に数人入れてみてはどうですか。」と、助言である。 
以前、貧困者だったフーボーの言葉は軽くないのである。 
「それに、オナゴの教官が魔法職の院長とルイザですから、嘘はありませんからですよ。」ともいう。 
なんせ、オトコの教官はオレひとりだ。 
数ヶ月前まで無名だったオッサンだ。 フーボーの言葉に納得のオレだった。 
「仕方が無いが、ここはオナゴだけで開校するしかないな。」と、結論である。 
いっそ、女子校でもいいが・・・ もちろん、男子禁制だ。 
オナゴの世界である。 
フーボーいわく、「討伐で名をあげれば、いつか開校できますよ。」と、慰めてくれたのだった。 
そして、学校は女子部が開校したのである。 
人数は40名ほどだ。 やはり、魔法職はオナゴにとり、羨望のまなざしらしい。 
そして、その魔法使いが教官なのだ。
 生徒が集まらないわけがないのだ。 
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