日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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ソ連戦車の学ぶ。

使わねば武器は使えない。

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 「そういえば、君っ、ソ連戦車で訓練してたよね。」と、戦車隊員へ主任の久野が聞いた。 「え、え、まあ・・」「で、どんなだったんだい。」「どう?」「つまり、違いだよ。」「我が戦車と、ヤツらのとですか。」「そう、それだよ。」「本音を聞かせてくれ。」「お世辞じゃなくて、ですか?」 「そうだ、マジな本音が聞きたい。」「じゃあ、まず無限軌道の連結ピンが、よく外れるじゃないですか。」「あ、あ、あれか。」「露スケは戦車の側面に斜めにピンを常に押す、トンガリがあるんですよ。」「ヘーっ。」「それで、無限軌道の履帯が外れないんですよ。」「いいアイデアと思います。」「うむ、知らなかった。」と久野君だ。 ナンカ、メモってるな。 「そして、いい加減な造りなんですが。」「うむ。」「ここは正確じゃないと、というところは固く作ってるんですよ。」「つまり、肝心なところは正確なんだな。」「そうです。」「ふむ。」「そして、照準器はガラスが曇ったりして、使えませんよ。」「えっ、そうなのか。」「そうです、露スケは照準器はダメですね。」「我が方がいいか。」「露スケのよりは・・」 それは、知らなかったと、久野は、またメモるのだ。 「それに、ヤツらの戦車は無線がないのは痛いですね。」「そうか、そこは我が軍の利点だな。」「満州平原は広いですからね。」 「エンジンはどうだ?」 「そうですね、エンジンは変わらないですかね。」「ヤツらと、我が方とか?」「え、え、まあ。」 ソ連は侮れんな、と思う久野だ。 エンジンに苦労しているからだ。 「戦車砲は、どうだった?」と、聞いた久野だ。 「砲塔が鋳造で、ソ連は造ってるんですよ。」「そうだな。」「我が軍は、リベットを使ってるじゃないですか。」「あ、あ、あれか。」「やはり、砲撃でリベットが飛ぶんですよ。」「まるで、銃弾ですよ。」「なるべく少なくしてるんだが・・」と、言い訳の久野技師であった。 鋳造技術はソ連というか、露スケが1歩先んじてるようである。 「あっ、気を悪くしないでくださいよ。」と隊員だ。 「決して、我が軍の戦車が悪いとは思いませんので。」と、言い訳の戦車隊員である。 しかし、聞いてみてよかったと、マジ思うのだ。 それで、「大変に役立ったよ、生かせるかわからんが・・・」と、だけ答えたのだ。 その日の、技師連中の反省会(カラオケ会ではない。)で、言ってみたら。 履帯のピン外れ防止は、次の日に溶接して取り付けたのだ。 できることは、ヤルのである。 砲塔の鋳造などは、まだ先の話であるが・・・ 
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