伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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アランは、まさか?

こいつ、ツェツペルンを見たのか!!

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 まさか、アランはドイツの大型飛行船のツェツペルンを見たのかよ・・・
あれは、ドイツの切り札のはずでは・・・
 それも、格納庫だと・・・飛行してるのを、たまたま見かけたならわかるが・・・
「おい、格納庫って・・・」と、マツモト君が聞く。
 「あ、あ、オレの妻の身内がいるからな。」
「えっ、アランの奥さんの実家って・・・ツェツペルン伯爵家か?」
 「そうだよ。」
唖然だ、まさか・・・
 「アラン、君は英国情報部かよ。」
「フ、フ、秘密だ。」と、内緒の話だそうだ・・・
 「まあ、本家ではないがね。」と、言い訳をするアラン君だ。
「さては、ワザと狙ったな!」と、いうマツモト君だ。
 「いや、偶然だよ偶然。」と、アランだ。
普段、アランと一緒だが・・・意外な面も・・・
 間違いなく、アランは嫁さんを軍事機密関連で狙ったな・・・と、確信するマツモト君だ。
「いやあ、君もクラリスを嫁さんにしたじゃないか。」と、言われるマツモト君だ。
 「いや、オレはそんなんじゃぁ。」と、まさか、サド・マゾ関係だ!なんて口が裂けても言えないわ!!!
「まあ、オレの身内を押し付けたからな・・・」と、笑って済ますアランである。
 どこの、王室も婚姻は利害関係が存在するのは、仕方が無いことだが。
愛だけでは、婚姻は成り立たないことは、そこまでガキではないマツモト君は承知だ。
 やはり、結婚は金銭が関係するのだ。
愛が、すべてなんて・・・お子ちゃまのセリフだからだ。

 「それで、どこに救助用の潜水艇をぶら下げるのですか。」と、マツモト君が聞いた?
「えっ、我が社はエンジンの交換だけと・・・」と、主任技師がいうのだ。
 「でも、救助潜航艇を空輸する飛行艇のはずでは・・・」と、繰り返す。
アランがマツモトをツツイタ。
 「おい、まだ潜水艇が完成してないし、図面もできてないんだ。」と、小声だ。
つまり、形ができないことには、機体の改造はエンジンくらいということらしい。
 スツキ(巣月)機長が、「エンジン改造で機体重量は36トンを運べますか。」と、いきなり聞いた。
「えっ、そんな、無理ですよ・・・せいぜい9トンくらいまでですよ。」と、ロールス社の技師がワメク。
 まあ、爆撃機のB29が、そんなものだ。
「26トンなんて、6発でも無理ですよ。」と、技師連中だ。
 「では、どこまでなら詰めるんですか。」と、アランが結論だ。
「そうですねぇ~2段揚力フラップがありますからねえ。」と、考え込む技師連中だ。
 「12トンまでなら、なんとか飛べますかねえ・・・」
「なら、救助潜水艇は12トンで。」と、アランがいう。
 「12トンなら、6名ほどは乗せられるんじゃないか。」と、スツキ君も言う。
「あっ、いい忘れましたが、燃料は満タンでは12トンは無理かと。」
 「せいぜい、今の半分までなら。」
「航続距離が短くなるということですか。」と、スツキ君が技師へ・・・ 
 「そうです、補助タンクは無しですよ。」と、翼の下に2個ついてるタンクを示した。
「では、大西洋横断は無理ですね。」と、アランがいう。
 「飛行艇だから、海上で給油だな。」と、スツキが参考意見だ。
「なんとか、なりそうだな。」が、マツモト君の総評だった。

 ここは、潜水艦設計工房だ。
ポーツマス軍港の付近の某所だ。(軍事機密だ。)
 スツキ機長が設計技師らへ、説明だ。
もちろん、通訳つきである。
 専門用語は、さすが英語では無理だからだ。
「船体重量は10トンで、救助者は6名ということで。」
 「全備重量は12トンまでで。」
「そして、これが日本の救助艇の図面です。」と、潜水母艦の救助潜水艇しんかいの図面を渡した。
 「ふむ、つまり、これを軽く造るということですね。」
「スクリューは4ヶ所ですか。」
 「まるで、昆虫ですな。」
「この腕はマニュプレーターですか。」
 「そうだ。」「それで、事故潜水艦へ救助艇を固定するんだ。」
「あ、あ、例のヤツですな。」
 「でも、あれは重いですから。」と、技師がいう。
確かに、2本で4トンくらいある。
 モーターや歯車や防水カバーも・・・そして、そのための蓄電池までもあるからだ。
「これが無いと、いいんですが。」
 「なんとか電磁石のスカートだけで、できないかと・・・」
「それに、窓とサートライトがあればアクテブソナーや水中聴音器は無くせるかも。」
 と、軽くするために機材を減らす設計陣だ。
マツモト君がたまりかねて、いう。
 「いいですか、外すのはカンタンですよ、でもパッシブソナーだけは必要です。」
「それに、事故潜水艦と通信はどうするんです。」
 はたと、固まった技師らだ。
「そうだった、船体を叩いてのモールス信号しか・・・」
 そうなのだ、1本の腕は事故潜水艦の船体を叩く道具なのだ。
そして、パッシブソナーでモールス信号を聴くのだ。
 「それに、サートライトが照らせない部分もアクテブソナーなら事故潜水艦を探せるんですよ。」
「いいですか、日本の救助潜水艇から外していい装置なんて、ないんです。」と、豪語するマツモト君だ。

 設計技師の主任が、「なら、運ぶ飛行艇を8発エンジンにしてくださいよ。」と、要求だ。
6発機なら試作されたらしいが・・・8発なんて・・・
 確か、以前に飛行艇で18基のエンジンを載せたヤツが試作されたが・・・試作でおわったとか・・・
「救助潜水艇を運ぶ飛行艇は、2機か3機しか造らないはずですから。」
 「最低25トン、これが当方のギリギリです。」と、日本の図面を見ていう技師らであった。
ポーツマス軍港付近の潜水艦設計工房とロールス社を往復すること、3ヶ月のスツキ艦長だった。
 ロールス社は8発と聞いて、技師が、「倍かよ!」だ。
翼を伸ばすことは無理だ。
 重量が重くなるからだ。
それで、エンジンを2個、縦に並べて・・・無理やり8発に、まるで怪物ができあがったのだ。
 どうみても、空中戦艦にしか見えない。
ステンレスの薄い板を張り付けた機体は銀色に輝き・・・
 爆弾搭載重量が30トンを超えるかも・・・
つまり、救助潜水艇は蓄電池は半分にして30トンに重さを押さえたのだ。
 なぜなら、潜水母艦からの捜索より、飛行艇で事故潜水艦の近辺に降ろさるからの蓄電池の半減なのである。
あとは、日本のパクリだ。
 あとは、救助活動ができるか試験だ。
 

 

 
 
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