大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ

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逃げられない!

どこまでも追尾してくる。

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 シナ潜水艦、(独逸帝国の輸出用Uボートだ。)は独逸帝国製である。 つまり、なかなか侮りがたい性能である。 そのシナ潜水艦のソナー員が、「附けてくる、イヤ違う。」 「これは、魚雷だ。」 「まっすぐに向かってくる。」 「なにっ。」 「急速、潜航だ。」 「いや、取り舵だ。」 水深が200くらいだ、潜航してもすぐに海底だ。 ソナー員は、「だめです、相手も舵を切ってます。」 「誘導魚雷か。」 ベトナム海軍は、まさか誘導魚雷まで・・・ 信じられん。 あのショボイベトナム海軍が・・・ 副官はあわてる。 こんなとき、一日艦長の王大なぞ役にはたたない。 、口から泡を吹いて仰け反る王大艦長だ。 「くそっ、面舵だ。」 「浮上できるように、メインタンクの用意だ。」 「魚雷は、どうだ。」 ソナー員は、「あれっ、聞こえない、どうやら迷いたようです。」 「ふうっ。」 冷や汗を拭く、副官だ。 「現在の深度は?」 「深度200で変わらずです。」 「どこから撃ってきたんだ?」 ソナー員、「わかりません、艦の後方とは思いますが・・・  「ヤツら、あわてているな。」 「どうやら命拾いしたと思ってるんでは。」 ことらは、ベトナム潜水艦だ。 コバンザメの遠隔操作で、魚雷が向かっているように操作したのである。 「もう一度いきますか?」 「えっ、いいんですか。」 「いままで、散々バカにされていたんだ、これくらい安いものだ。」 「まあ、外洋に出るまでからかってやろう。」 「では、再度音波操作しろ。」 コバンザメ操作盤を副操縦士がニヤニヤしながらセットした。 ・・・ 「あっ、また撃ちました。」 「またか。」 「誘導魚雷と思われます、同じ推進音です。」 「くそっ、面舵90度だ。」 潜水艦は急速な舵で傾く。 何かにしがみ付かないと倒れるくらいではすまない。 王大艦長は艦内を転げまわった。 もう、誰も助けはしない、自分がしがみ付くだけで精いっぱいなのだ。 「まっすぐに、向かってくる。」 「だめだ。」 ソナー員は、イヤフォンを外す。 でないと爆発音で耳をヤラれるのだ。 「うわーっ。」 とうとう王大艦長が、どこへやら逃げ出した。 しかし、ここは海中だ。 逃げるところなんて無い。 副官は耳をフサイで衝撃にそなえる。 ・・・ なんもない。 「どうしたんだ、まだか。」 ソナー員はイヤフォンを附ける。 「魚雷は、はずれたようです。」 「たぶん、誘導装置が故障したんでしょう。」 安易に結論だ。 「ふうっ。」 副官は。また冷や汗を拭う。 艦長は、どこへいったんだ。 まあ、いい。 そのころ、艦長の王大は潜水艦のトイレに隠れていたらしい。 、怖がる自分を兵らに見せられないからだ。 あと、少しで領海を出る。 それまで、なんとか、このまま行けたら・・・ ソナー員が、「また、です。」 「もう勘弁してくれ。」 と叫ぶ副官だが、ここは海中だ、相手は聞いてはくれないのだ。  ソナー員は、「また背後からです、速度速い、ぶつかりそうです。」 「だめだ、あ、あ、あ。」 「ゴン。」 と衝撃音だ。 副官やソナー員や操縦士ら、指令所の全員が泡吹いて意識が飛んだ。 ・・・ 「コバンザメをヤツから離脱させろ。」 「もうすぐ、領海を出る。」 「コバンザメ、離れました。」 「リモコンで回収しろ。」 コバンザメは安くない。 ベトナム海軍に1基しか装備していないのだ。 回収といっても、自身の潜水艦にくっつけるだけだから簡単だ。 「どうだ、シナのヤツらは。」 「まだ、推進音がしないから気絶でもしてるんじゃあ。」 「すこし、イタズラが過ぎたかな。」 「イイヤ、まだ足りんわ。」 倍返しどころか3倍返しか、なかなかベトナムも根が深いな。 そう思った退役艦長だった。 
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