大東亜戦争を回避する方法

ゆみすけ

文字の大きさ
上 下
204 / 497
水中宙返り。

これは、飛行機ではないはずだ。

しおりを挟む
 「う、う、っ。」 艦長は、頭のタンコブに、独逸陸軍の鉄カブトの必要を感じたのだ。 発令所は金属の機械からパイフやら、ハンドルやらで、うっかり転ぶなら怪我のおそれがあるのだ。 他の人員らは、同じくコブができたヤツとか、まだ倒れたままのヤツが居るのだ。 無事なのは、操縦席のヤツだけだ。 シートベルトをしていたからだ。 シートベルトをしないと、警告ランプが点灯するのだ。 運のイイやつらだ。 艦長は、次回からは、メットを全員に配ることとしたのだ。 もちろん、独逸帝国陸軍のすぐれモノだ。 魚雷室や機関室も、怪我人多数がでたのだ。 とりあえず、治療のために帰還するUボートだ。 極秘に出航して、よかったと艦長は思う。 水中宙返りで、けが人多数で、帰還しました・・・ではバカ丸出しである。 初めての経験は酷いありさまであったのだ。 いきなり、日本潜水艦の洗礼を浴びたのだ。 グルップ重工の、技師らも、洗礼を浴びた被害者だった。 もう、二度とゴメンだ、らしい・・・ それほど、インパクトが宙返りにはあったのだ。 旅客機で、ベルトもしないで、通路に立ったままでの宙返りとおなじであるのだ。 それ以来、独逸海軍潜水艦乗りは、陸軍の戦車乗りと同じ服装となったのだ。 独逸陸軍の戦車は室内の鉄壁に頭をぶつけるヤツのためにプロテクターを装備していた。 頭や胸やひざなどだ。 まあ、スワット部隊の突撃のスタイルと同じだ。 顔面まで、透明アクリル防弾なのだ。 潜水艦用は透明プロテクターが無いだけだ。 それほど、新型Uボートの水中能力はあがったのである。 つまり、日本のイ号は海中の戦闘機ばりなのだ。 そして、数日後のことだ。 とつぜん、フローラ様の新型Uボートへの激励訪問となる。 フローラ様は帝国親衛隊の女性隊員の警備服に華麗な襟章をつけてあらわれた。 やる気、満々だ。 まさか、海中宙返りを・・・ 艦長はヒヤヒヤだ。 いくら、警備服でも、怪我でもされたらと思うと、ヘタすると、オレは粛清されかねん?  フローラ様お付きの女性士官に、まさかと思い聞いたら、「それは、それは、宙返りを楽しみにされています。」 と・・・ いかん、これでは、オレの、オレの妻や子が路頭に迷いかねん。 「イヤ、それは危険ですから・・・」 「いえ、やってもらいますから。」 まあ、どうにでもなれだ。 艦長は腹をくくった。 ところが、フローラ様は水深50を過ぎたころから、潜望鏡の支柱から離れなかった。 えっ、なんで? お付きの女性士官が4人ほどフローラ様を囲んでいるから、わからないが。 「艦長、そろそろいいですか。」 艦長は帽子型ヘルの留め金を確認してから、「水中宙返りだーっ。」 操船員は速度をMAXにしながら操船幹を引いた。 新型Uボートは速度50で、華麗に宙返りだ。 フローラ様は? あれっ。 フローラ様は潜望鏡支柱にかぶりついて、お付きに士官もかぶりついて無事だ。 てかっ、慣れてないか、ヤツらは・・・ そうなのだ、フローラ様らは、日本のイ号潜で、何度も体験していたのだ。 独逸Uボートができるか?、それを確認したかったのだ。 でないと、潜水艦比べで、負けることは必定なのである。 
しおりを挟む

処理中です...