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過去の恋
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空 蝉
作 杉 山 実
84-01
もう遠い昔、この場所で交通事故が、、、、、
落合麻結は今年もその場所にやって来た。
「もう12回目よ!伸ちゃんが突然この世から姿を消して、、、、」明るい太陽の光を背に受けて呆然と見上げながら呟いた。
花束を道沿いに置きながら「こんなの見つけたのよ!今の私の様でしょう?」
花束の花と一緒に蝉の抜け殻、空蝉をひとつ花の上に置いた。
空蝉を置くと同時に一瞬風が吹いて、空蝉を空に飛ばした。
「あっ、飛んじゃった!」空蝉は車が走って来て、もっと遠くに飛んで行った。
ロングの黒髪を風に靡かせて、空蝉の飛んだ方向に走った。
でも麻結の手の届かない場所に飛ばされてしまった。
当時17歳の少女は、今は行き交う人が振り返る様な美人に成っていた。
一歳年上の坂上伸一と高校時代に付き合って居た。
大學入学の祝いに、バイクを買って貰った伸一が嬉しそうに新品のバイクで、夏休みに友人達二人と旅行に出かけた。
伊豆半島一周の一泊二日の旅だった。
このバイクツーリングが終わると、明日一番に電車で実家に帰る予定に成っていた。
三台のバイクが縦列で走っていたが、不意に飛び出した子供を避け様と一人がハンドルを切った。
その煽りで後ろを走っていた伸一がまだバイクに不慣れで、ブレーキを一杯に縛った結果横転して対向車線に滑った。
運悪く対向車線に大型トラックが、、、、、、
伸一は跳ね飛ばされて、崖かから放り投げられて即死だった。
元々明石に住んでいた二人は、公立高校の二年生と三年生。
吹奏楽のクラブ活動で知り会って意気投合して付き合う様に成った。
伸一が転校して来たのが二年生の春。
九州の高校から兵庫県の高校に転校して来た。
父親の仕事の関係で、転校試験を受けて二年生からやって来た特殊な生徒だった。
九州でも吹奏楽のクラブに所属していた伸一。
トランペットを上手に演奏して、部員たちの喝采を浴びて入部が決まった。
伸一と麻結はその後、部員達が嫉妬する程の仲好しに成って行った。
伸一は第一希望の静岡の国立大学に入学して離れ離れに成ったが、麻結も頑張って伸一の大学に進学の為、猛勉強を始めた。
成績が上がり始めて担任の教師も、可能性が高く成ったと褒め称えた矢先の事故。
麻結は落胆で一気に成績も下降、関西の私立大学にぎりぎりで入学した。
大學時代も美しく成る一方の麻結に言い寄る男性は後を絶たない程だった。
それでも全く相手にしないで「私には彼氏が居ますので、、、、、」が断り文句。
大學を卒業して地元の市役所に就職して現在も勤務しているが、男性の誘いは消えていた。
麻結の家族は両親と弟、そして祖父母の6人家族。
敷地に祖父母の住居が別棟で並んでいる。
父の智光は銀行の支店長、弟の智康も去年から大阪で働き始めた。
最近流行りのAI関係の会社に勤めて居る。
弟も端正な顔立ちで美男子と呼べる。
伊豆から帰ると母の浅子が「麻結も来年で大台よ!結婚しないの?お父さんも心配しているのよ!」
「結婚なんて考えられないわ!」
「もう十二年も前に亡くなった人を偲んで生きられないのよ!」
最近は一週間にニ、三度は結婚の話に成る。
先月は父の智光が取引先の会社の専務の息子との縁談を持ち帰ったが、麻結は全く相手にせず写真も見なかった。
伸一の亡くなった場所に行く事で頭が一杯で、耳を貸さなかったのだ。
そして誕生日が来て二十九歳に成った娘に両親はやきもきしている。
そのさなか伊豆に出かけてしまった麻結を見て、再び怒り始めた智光。
両親が見ても美しい娘が全く男性を寄せ付けないので、将来が心配に成っている。
「麻結は一生結婚しないのか?」
「そうね!伸一さんより良い人か、好きに成れる人が現われたら考えるわ!」
「馬鹿な!誰とも会わないのにどうして好きに成れるのだ!」
「私はお父さんの知り合いとか、紹介の人とは見合いもしませんからね!」
「どう云う事だ!」
「その様な繋がりが兎に角嫌なの!」そう言うと自分の部屋に駆け上がってしまった。
「麻結は貴方の仕事に利用されていると考えているのかも知れませんね!」母の浅子が言った。
「わ、私は娘の幸せを祈っているだけだ!仕事に利用なんて考えられない!」
「麻結はまだ伸一君の事が忘れられないのですよ!」
「もう12年も前の事だぞ!子供の恋愛ごっこで一生を台無しにするのか?」
「少なくともお父さんの仕事関係の人は麻結には無理だと思いますよ!」
「それじゃ、何処かの結婚相談所にでも申し込め!麻結程の美しい娘だ!申し込みが殺到する筈だ!その中から選べば良い!きっと気に要る男が居る筈だ!」
「判りましたわ!一度探して見ましょう!」
「成るべく大きな処に頼め!麻結が困る程にな!」
「はい、はい!」
浅子は智光が自分の聞いて来た縁談に麻結が眼も向けないので、怒って言い始めたと思った。
だが、翌日も同じ事を言って怒る智光に「本気なのね!」
「当たり前だ!本気だ!冗談だと思っていたのか?」と怒った。
夕食の時、祖父母も交えて麻結に智光は宣言した。
「30歳までに結婚をしなさい!広く日本国中の男性から選んでな!」それは智光の嫌みも含まれていた。
作 杉 山 実
84-01
もう遠い昔、この場所で交通事故が、、、、、
落合麻結は今年もその場所にやって来た。
「もう12回目よ!伸ちゃんが突然この世から姿を消して、、、、」明るい太陽の光を背に受けて呆然と見上げながら呟いた。
花束を道沿いに置きながら「こんなの見つけたのよ!今の私の様でしょう?」
花束の花と一緒に蝉の抜け殻、空蝉をひとつ花の上に置いた。
空蝉を置くと同時に一瞬風が吹いて、空蝉を空に飛ばした。
「あっ、飛んじゃった!」空蝉は車が走って来て、もっと遠くに飛んで行った。
ロングの黒髪を風に靡かせて、空蝉の飛んだ方向に走った。
でも麻結の手の届かない場所に飛ばされてしまった。
当時17歳の少女は、今は行き交う人が振り返る様な美人に成っていた。
一歳年上の坂上伸一と高校時代に付き合って居た。
大學入学の祝いに、バイクを買って貰った伸一が嬉しそうに新品のバイクで、夏休みに友人達二人と旅行に出かけた。
伊豆半島一周の一泊二日の旅だった。
このバイクツーリングが終わると、明日一番に電車で実家に帰る予定に成っていた。
三台のバイクが縦列で走っていたが、不意に飛び出した子供を避け様と一人がハンドルを切った。
その煽りで後ろを走っていた伸一がまだバイクに不慣れで、ブレーキを一杯に縛った結果横転して対向車線に滑った。
運悪く対向車線に大型トラックが、、、、、、
伸一は跳ね飛ばされて、崖かから放り投げられて即死だった。
元々明石に住んでいた二人は、公立高校の二年生と三年生。
吹奏楽のクラブ活動で知り会って意気投合して付き合う様に成った。
伸一が転校して来たのが二年生の春。
九州の高校から兵庫県の高校に転校して来た。
父親の仕事の関係で、転校試験を受けて二年生からやって来た特殊な生徒だった。
九州でも吹奏楽のクラブに所属していた伸一。
トランペットを上手に演奏して、部員たちの喝采を浴びて入部が決まった。
伸一と麻結はその後、部員達が嫉妬する程の仲好しに成って行った。
伸一は第一希望の静岡の国立大学に入学して離れ離れに成ったが、麻結も頑張って伸一の大学に進学の為、猛勉強を始めた。
成績が上がり始めて担任の教師も、可能性が高く成ったと褒め称えた矢先の事故。
麻結は落胆で一気に成績も下降、関西の私立大学にぎりぎりで入学した。
大學時代も美しく成る一方の麻結に言い寄る男性は後を絶たない程だった。
それでも全く相手にしないで「私には彼氏が居ますので、、、、、」が断り文句。
大學を卒業して地元の市役所に就職して現在も勤務しているが、男性の誘いは消えていた。
麻結の家族は両親と弟、そして祖父母の6人家族。
敷地に祖父母の住居が別棟で並んでいる。
父の智光は銀行の支店長、弟の智康も去年から大阪で働き始めた。
最近流行りのAI関係の会社に勤めて居る。
弟も端正な顔立ちで美男子と呼べる。
伊豆から帰ると母の浅子が「麻結も来年で大台よ!結婚しないの?お父さんも心配しているのよ!」
「結婚なんて考えられないわ!」
「もう十二年も前に亡くなった人を偲んで生きられないのよ!」
最近は一週間にニ、三度は結婚の話に成る。
先月は父の智光が取引先の会社の専務の息子との縁談を持ち帰ったが、麻結は全く相手にせず写真も見なかった。
伸一の亡くなった場所に行く事で頭が一杯で、耳を貸さなかったのだ。
そして誕生日が来て二十九歳に成った娘に両親はやきもきしている。
そのさなか伊豆に出かけてしまった麻結を見て、再び怒り始めた智光。
両親が見ても美しい娘が全く男性を寄せ付けないので、将来が心配に成っている。
「麻結は一生結婚しないのか?」
「そうね!伸一さんより良い人か、好きに成れる人が現われたら考えるわ!」
「馬鹿な!誰とも会わないのにどうして好きに成れるのだ!」
「私はお父さんの知り合いとか、紹介の人とは見合いもしませんからね!」
「どう云う事だ!」
「その様な繋がりが兎に角嫌なの!」そう言うと自分の部屋に駆け上がってしまった。
「麻結は貴方の仕事に利用されていると考えているのかも知れませんね!」母の浅子が言った。
「わ、私は娘の幸せを祈っているだけだ!仕事に利用なんて考えられない!」
「麻結はまだ伸一君の事が忘れられないのですよ!」
「もう12年も前の事だぞ!子供の恋愛ごっこで一生を台無しにするのか?」
「少なくともお父さんの仕事関係の人は麻結には無理だと思いますよ!」
「それじゃ、何処かの結婚相談所にでも申し込め!麻結程の美しい娘だ!申し込みが殺到する筈だ!その中から選べば良い!きっと気に要る男が居る筈だ!」
「判りましたわ!一度探して見ましょう!」
「成るべく大きな処に頼め!麻結が困る程にな!」
「はい、はい!」
浅子は智光が自分の聞いて来た縁談に麻結が眼も向けないので、怒って言い始めたと思った。
だが、翌日も同じ事を言って怒る智光に「本気なのね!」
「当たり前だ!本気だ!冗談だと思っていたのか?」と怒った。
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