空蝉

杉山 実

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撮影モデル

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  84-059
藪内卓也に薬を飲まされて、もう少しで強姦される寸前だった麻結。
その光景を思い出すと背中に汗が噴き出る気分に成った。
でもこの人達が何故知っているの?
もしかして、、、、、、と考えながら否定する麻結。
「これから末永くお付き合いを致しましょう!」そう言って笑う麻生大吾。
しばらくの談笑の後、麻結は半ば強制的に来週の成人の日デートの約束をさせられた。

帰りの車の中で浅子は興奮気味に「凄い人と知り合いに成ったのね‼お父さんも今月から重役待遇の支店長!この見合いは必ず成功させましょう!」上機嫌の浅子。
「私は気が重いわ!」
「何故?大金持ちじゃないの?」
「俺は一瞬怖く成ったな!薮内の事調べていたのだな!あの話から察すると、上層部の行員は全て調べているのだよ!麻結の事もそれで白羽の矢なのだよ!」
「でも卓也さんの事まで調べたのね!付き合って居た彼女が、、、、、怖いわね!でも卓也さんと結ばれなくて良かったのよ!」浅子は既に麻生祐樹の嫁に娘が成った様な気分だ。
「そんなに出世がしたいの!」怒った様に言う麻結。
「当たり前でしょう!麻結がまだ断らないあの障害者の人の方が良い筈無いでしょう?今日の麻生さんとニ三度会って、悪い処が無ければ直ぐに梅宮さんに伝えて断るのよ!ペナルティは我が家で払いますって言ってね!」
「そんな事、直ぐには出来ないわ!」
麻結の脳裏には昼間三人で楽しく湊川神社に参拝した事が蘇る。
(お見合いどうでしたか?今日は本当にありがとうございました!初めて着物を着せて貰って嬉しかったです!先ずはお礼まで!)睦からのlineだった。
「誰から?」
「女友達よ!」
「本当なの?あの障害の人では?」
「違うわよ!」怒る様に言う麻結。
今は返信出来ない状況だ!横で浅子が目を光らせている。
着物を着た事がなかったのか?成人式も有ったのに、、、、、、

「私、着物着たくないからね!」睦は母の「成人式の着物どうするの?」の問いに強い調子で答えていた。
武史の治療費と大学の学費で生活が苦しいのを知って居るから、睦は自分の希望を押し殺して言ったのだ。
父の武男も60歳を過ぎていて、給料が大きく減少している時だったので、とても言えなかった。
今の両親は年金暮らし、兄も一応は働いているので生活には困らない。
睦の夢は兄の結婚と子供が産まれる事、それが実現されるなら何も望まないと湊川神社でもお祈りをしていた。

「あの娘さんの事、祐樹さんは気に要ったの?」母親が帰りの車で尋ねる。
「モデルとしては最高の部類だな!前にも言ったけれど髪が綺麗なのが一番だよ!結婚したらヌードでも撮影するかな?」
「祐樹さんの頭にはカメラしかないの?」
「まあ、ヌードでも何でも良いから、早く結婚をして孫の顔が見たい!お前が気に要る女を探すのがこんなに大変だとは夢にも思わなかった!」父がぼやく様に言った。
「少し脅したので、あの支店長震えていましたね!」
「薮内支店長とは仲が良かったらしいからな!あの話は堪えただろう!」
「児玉の話もすれば良かったのに!」祐樹が言う。
「あそこで児玉の話をすれば、怯えるだろう?そうなれば逆効果だぞ!」
「大阪金属にお爺さんの知り合いが居て助かったよ!」
「お爺さんはお前には優しいからな!でも早くしなければもう直ぐ90歳で長くは無い!」
「大丈夫だよ!元気溌剌!祐樹!お前の嫁を見るまでは元気で頑張る!と張り切っていたよ!」
「年寄りは急なのだよ!まあ、早く嫁を見せてやれ!」
「今日の感じなら、あの子に決めるかも、、、、、」
「そ、そうなの?梅宮さんに言わなければ駄目ね!」母の久美子は声が裏返って喜ぶ。

麻生の家では梅宮にこの縁談が決まれば、ボーナスとして規定の金額に上乗せ百万を個人的にお支払いしますから、頑張って下さい!と見合いの数日前に伝えて居た久美子。
とは言え、相手の思いはともかく祐樹が気に要るか?それが最大の焦点だった。
過去にも良いと言って見合いをさせて、駄目に成ったのは度々なのだ。

「苦しかったわ!」自宅に帰ると開口一番に言う麻結。
「少し待って、そのままお爺さんの所へ行って来なさい!着物姿が見たいって言ったわ!」
「そうなの?じゃあ、行って来るわ!」
麻結が隣の家に行った時電話が鳴って、梅宮が先方のご家族が大いに気に要られた様ですと話して縁談を早急に進めると言った。
電話が終わると智光が「余りにも早いのではないか?」と驚きの表情で言った。
浅子は「それ程麻結を気に要ったって事だわ!貴方の今以上の出世も間違い無いわね!」
「私は今でも充分満足しているよ!余り急がせえると帰って反発するよ!」
「放って置いたら、またあの様な男と付き合うわよ!どう解決するの?」
「兎に角、あの男は問題外だが、麻結の気持ちが固まるまで急ぐのは良くない!」
「貴方はいつもそう言って失敗をするのよ!薮内さんの事も大失敗でしょう?」
「あれは全く予想出来なかった!」

麻結が智樹の処に行くと「お婆さん!麻結の着物姿最高に綺麗だよ!」
「本当ね!智康はアメリカに行って正月も帰らなかったから、麻結が着物姿を見せてくれて嬉しいわ!」
「半導体の仕事は大変らしいわ!」
「ところで、着物姿を鯖寿司の彼には見せてあげたのか?」
「うん!一緒に湊川神社に初詣に行ったわ!」
「それは良かった!今日の見合いの相手はお金持ちらしいな!着付け代とかを出してくれたと聞いたな!」
「おかげで私はモデルの様に扱われたわ!」
「モデル?」
「カメラの撮影モデルの様に、ポーズをして次々と写すのよ!ヌードに成れと言いそうな位だったわ!」
「カメラマンか?」首を振る麻結。

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