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哀しみの末に
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半ば説得を諦めた様に思わせて、千絵はまだ諦めては居なかった。
頭を剃ると急に不安に成って止める女性も沢山居たからだ。
シェービングカップを泡立てる様子を麻結に見せる千絵。
再び髪を持ち上げて髪クリップで留める。
「少し俯いて貰えるかな?」
麻結は前に頭を落として後頭部を蛍光灯の光に晒した。
千絵はシェービングカップを持って、刷毛でクリームを掬い取ると麻結の後頭部に落とした。
刷毛で広げると、白いクリームが麻結の短い毛を白く染めた。
「じゃあ、剃りますから動かないで下さいよ!」
「ジョリ、ジョリ」左手で頭を押さえて「ジョリ、ジョリ」と剃り始めた。
俯いた麻結の目頭が熱く成って、涙が一滴零れ落ちていた。
武史は麻結の携帯に電話を何度もかけているが、繋がらないので再び浅子にかけた。
「また貴方なの?麻結は元気で仕事をしています!心配しなくても良いです!他人の家の中に首を入れないで!」
「ほ、本当に大丈夫ですよね!話をされましたか?」
「話はしてないけれど、仕事の相手の人に確かめました!もういいでしょう!人騒がせな人ね!」そう言うと電話を切った。
それでも胸騒ぎが収まらない武史。
「今度は頭を右にして下さい!」
同じ様にシェービングカップからクリームを掬い取ると、耳の上に塗り始める。
既に後頭部は青白くつるつるに剃り上げられて、昔の面影は無く成っている。
再び頭を押さえながら「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」と右の耳の上を剃って行く。
同じ様に左の耳の上も剃り終わると、正面を向かせる千絵。
「この様に成るのよ!」
驚きの表情に成る麻結だが、次の瞬間千絵が髪クリップを外すと弾力の有る髪が剃り上げられた部分を覆い尽くして惨い姿が消えた。
「この様にすればまだ大丈夫でしょう?中止にする?」
「もう気を使って頂かなくても大丈夫です!出家する以外私が助かる術は無いのです!時間も無いのです!今日木曜日でしょう?月曜日が、、、、、、、」
切羽詰まった様子に千絵も撮影している二人の尼も諦め顔に成る。
千絵が二人に手で(もう無理!)と合図を送ると、二人も頷いて納得した。
既に床には麻結の髪が散乱して、二人か三人の散髪の跡の様だ。
「判ったわ!」
千絵は再びハサミを持つと、麻結の髪の毛を無造作に持って「ジョキ、ジョキ」「ジョキ、ジョキ」と切り始めた。
一気に長い髪が切り裂かれて床に流れ落ちる。
前髪を持つと「ジョキ、ジョキ」「ジョキ、ジョキ」とハサミを入れて切り落とす。
白いカットクロスに見る見る、麻結の黒髪が重なって落ちて来る。
「あっ、おわりね、、、」ぼそっと言う麻結。
頭は既に無残な状態に成って、昔の面影は皆無に成った。
千絵が今度は電気バリカンを手に「ガーガー」「ガーガー」と動かし始める。
一気に残って居た麻結の髪が刈り取られて床に、カットクロスに溢れる。
「ガーガー」「ガー、ガー」頭頂部から側頭部に動いて、僅かに残って居た髪が全て刈り取られた。
「さっぱりしたわね!」千絵はイガグリ頭を触って言うが、麻結は今にも泣きそうな表情で鏡を見つめていた。
「後は剃り上げて終わりよ!」
再びシェービングカップを泡立てる千絵。
少年の様な頭にクリームを塗り始めるが、既に麻結の表情は悲痛。
「椅子を倒しますよ!」
頭が白く成ると、蒸しタオルを持って来て麻結の頭に巻き付ける。
「だから、言ったでしょう?辞めなさいって!」
「だ、だって、、、、どうする、、、事も、、、、できない、、、、」遂に泣き出した麻結。
「彼氏は連絡来ないの?」
「お、おとう、さん、、がおいだした、、、、、のよ!」
「何故、そんなに彼氏は嫌われているの??」
「し、しょうがいがあるの、、、、、、」
「それでなの?凄い差別ね!娘が好きなら許してあげればいいのにね!それで違う男性と結婚させ様としているの?」
「は、はい!」
蒸しタオルを取り除くと、再びクリームを刷毛で塗る千絵。
「もう止めても一緒だから、綺麗に成って帰りなさい!両親に貴女の決意を見せて、それでも駄目ならここへ来なさい!庵主様は喜んで受け入れて下さいますよ!」
「は、はい!」涙が止まらない麻結。
千絵が予想はしていたが、あれ程綺麗で長い髪を剃り上げる勇気は相当な覚悟だったと思った。
「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」残った部分を剃り始めた。
クスンクスンとまだ泣き止まない麻結。
しばらくして剃り上がると、椅子が起こされてカットクロスが取り払われた。
床には足の踏み場も無い程の髪の毛が散乱して、惨い時間の残骸と成って広がっている。
それも撮影をしている尼。
「お願している写真を一緒に撮って貰えませんか?」
麻結は携帯を探しに紙袋から取り出して、千絵に渡して撮影の手順を伝えた。
「正面、横、後ろ各二枚、三人で並んで二枚写して貰えますか?」
千絵は携帯を受け取ると、先ず三人の写真を写そうと言った。
そして、麻結の写真を写し始めた。
数枚写した時「電話よ!」と着信の振動音に麻結に伝えた。
麻結は「お母さん?」と言いながら携帯を耳に持って行く。
「いまごろーーーーおそいわよーーー無くなっちゃった!」
「何が?」相手は武史の声だった。
「髪が全て―――――――無くなったーー」そのまま大きな声で泣き崩れた麻結。
その場の三人は声を掛けられずに呆然としていた。
半ば説得を諦めた様に思わせて、千絵はまだ諦めては居なかった。
頭を剃ると急に不安に成って止める女性も沢山居たからだ。
シェービングカップを泡立てる様子を麻結に見せる千絵。
再び髪を持ち上げて髪クリップで留める。
「少し俯いて貰えるかな?」
麻結は前に頭を落として後頭部を蛍光灯の光に晒した。
千絵はシェービングカップを持って、刷毛でクリームを掬い取ると麻結の後頭部に落とした。
刷毛で広げると、白いクリームが麻結の短い毛を白く染めた。
「じゃあ、剃りますから動かないで下さいよ!」
「ジョリ、ジョリ」左手で頭を押さえて「ジョリ、ジョリ」と剃り始めた。
俯いた麻結の目頭が熱く成って、涙が一滴零れ落ちていた。
武史は麻結の携帯に電話を何度もかけているが、繋がらないので再び浅子にかけた。
「また貴方なの?麻結は元気で仕事をしています!心配しなくても良いです!他人の家の中に首を入れないで!」
「ほ、本当に大丈夫ですよね!話をされましたか?」
「話はしてないけれど、仕事の相手の人に確かめました!もういいでしょう!人騒がせな人ね!」そう言うと電話を切った。
それでも胸騒ぎが収まらない武史。
「今度は頭を右にして下さい!」
同じ様にシェービングカップからクリームを掬い取ると、耳の上に塗り始める。
既に後頭部は青白くつるつるに剃り上げられて、昔の面影は無く成っている。
再び頭を押さえながら「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」と右の耳の上を剃って行く。
同じ様に左の耳の上も剃り終わると、正面を向かせる千絵。
「この様に成るのよ!」
驚きの表情に成る麻結だが、次の瞬間千絵が髪クリップを外すと弾力の有る髪が剃り上げられた部分を覆い尽くして惨い姿が消えた。
「この様にすればまだ大丈夫でしょう?中止にする?」
「もう気を使って頂かなくても大丈夫です!出家する以外私が助かる術は無いのです!時間も無いのです!今日木曜日でしょう?月曜日が、、、、、、、」
切羽詰まった様子に千絵も撮影している二人の尼も諦め顔に成る。
千絵が二人に手で(もう無理!)と合図を送ると、二人も頷いて納得した。
既に床には麻結の髪が散乱して、二人か三人の散髪の跡の様だ。
「判ったわ!」
千絵は再びハサミを持つと、麻結の髪の毛を無造作に持って「ジョキ、ジョキ」「ジョキ、ジョキ」と切り始めた。
一気に長い髪が切り裂かれて床に流れ落ちる。
前髪を持つと「ジョキ、ジョキ」「ジョキ、ジョキ」とハサミを入れて切り落とす。
白いカットクロスに見る見る、麻結の黒髪が重なって落ちて来る。
「あっ、おわりね、、、」ぼそっと言う麻結。
頭は既に無残な状態に成って、昔の面影は皆無に成った。
千絵が今度は電気バリカンを手に「ガーガー」「ガーガー」と動かし始める。
一気に残って居た麻結の髪が刈り取られて床に、カットクロスに溢れる。
「ガーガー」「ガー、ガー」頭頂部から側頭部に動いて、僅かに残って居た髪が全て刈り取られた。
「さっぱりしたわね!」千絵はイガグリ頭を触って言うが、麻結は今にも泣きそうな表情で鏡を見つめていた。
「後は剃り上げて終わりよ!」
再びシェービングカップを泡立てる千絵。
少年の様な頭にクリームを塗り始めるが、既に麻結の表情は悲痛。
「椅子を倒しますよ!」
頭が白く成ると、蒸しタオルを持って来て麻結の頭に巻き付ける。
「だから、言ったでしょう?辞めなさいって!」
「だ、だって、、、、どうする、、、事も、、、、できない、、、、」遂に泣き出した麻結。
「彼氏は連絡来ないの?」
「お、おとう、さん、、がおいだした、、、、、のよ!」
「何故、そんなに彼氏は嫌われているの??」
「し、しょうがいがあるの、、、、、、」
「それでなの?凄い差別ね!娘が好きなら許してあげればいいのにね!それで違う男性と結婚させ様としているの?」
「は、はい!」
蒸しタオルを取り除くと、再びクリームを刷毛で塗る千絵。
「もう止めても一緒だから、綺麗に成って帰りなさい!両親に貴女の決意を見せて、それでも駄目ならここへ来なさい!庵主様は喜んで受け入れて下さいますよ!」
「は、はい!」涙が止まらない麻結。
千絵が予想はしていたが、あれ程綺麗で長い髪を剃り上げる勇気は相当な覚悟だったと思った。
「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」残った部分を剃り始めた。
クスンクスンとまだ泣き止まない麻結。
しばらくして剃り上がると、椅子が起こされてカットクロスが取り払われた。
床には足の踏み場も無い程の髪の毛が散乱して、惨い時間の残骸と成って広がっている。
それも撮影をしている尼。
「お願している写真を一緒に撮って貰えませんか?」
麻結は携帯を探しに紙袋から取り出して、千絵に渡して撮影の手順を伝えた。
「正面、横、後ろ各二枚、三人で並んで二枚写して貰えますか?」
千絵は携帯を受け取ると、先ず三人の写真を写そうと言った。
そして、麻結の写真を写し始めた。
数枚写した時「電話よ!」と着信の振動音に麻結に伝えた。
麻結は「お母さん?」と言いながら携帯を耳に持って行く。
「いまごろーーーーおそいわよーーー無くなっちゃった!」
「何が?」相手は武史の声だった。
「髪が全て―――――――無くなったーー」そのまま大きな声で泣き崩れた麻結。
その場の三人は声を掛けられずに呆然としていた。
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