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尼寺へ
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84-084
「お父さん!何も髪の話は触れなかったけれど、良かったのかしら?お金持ちとの結婚を断る為に坊主にした事にお礼を言えば良かったのかしら?」久代が車を見送りながら言った。
「今更、触れられたくないだろう?彼女にとっては清水の舞台よりも高い所から飛び降りた心境だったのだからな!」
「そうですよ!あの綺麗なロングの黒髪、結婚式で日本髪を結うのが夢だったのに、切ったのではなく剃髪してしまったのですよ!」
「武史が病気に成ってなかったら、駆け落ちに成るのか?それはそれで大変だったよ!」
「破談に成った麻生家の結納金1千万だったらしいわ!」
「武史なら精々百万だな!今度は我々が挨拶に行く事に成るのだな!」
「まだまだ無理ですよ!先方は今、ショックで結婚何て考えられませんよ!私達の事を泥棒だと思っているかも知れませんよ!」
「そうか?泥棒に成ったのか?兄貴が生きて居たら怒るだろうな?」
「由緒ある家系ですか?」
その頃、明後日の結納をドタキャンされた祐樹は、送られて来たlineの写真を穴が空く程見ていた。
「この写真は合成では?」
「祐樹‼未練たらしいわよ!」母が嗜めるが、祐樹には麻結のあの綺麗な黒髪が無くなった事実が信じられない。
「そんなに気に成るなら、尼寺に行けば確認出来るでしょう?」
「尼寺に彼女は居るのか?」
「その為に頭を丸めたのでしょう?尼寺以外にその様な事をしないでしょう?」
「何処に在るのだ!」
「三田の山奥、龍王寺の別院,花龍庵って書いて有ったでしょう!」
「よし、一度見て来てやろう!信じられない!明日にでも行くよ!」
「気が済む様に!でもこれ以上麻生家に恥をかかさないでよ!」
武史は自転車を置いている魚住駅前に麻結を降ろした。
麻結は車を降りると、いつも行く美容院に森山明子を尋ねた。
当分来ない理由を説明する為だった。
明子は入って来た麻結の頭を見て直ぐに変だと思ったが、黙って説明を聞いた。
「もの凄い事をしたのね!もしも彼が受け止めてくれなかったらどうする予定だったの?」
「その時は尼さんに成る!成ろうと決めて居ました!」
「でもその決断が両親を動かしたのね!」
「はい!まだ結婚までは進みませんが、少なくともお金持ちとの結婚は破談に成りました!当分来る事は出来ませんが、またお世話に成りますので、その時はよろしくお願いします!と頭を下げた麻結。
以前の半分程の長さの鬘なので、もの凄く軽く見える。
明子は「二人の結婚を待って居るわ!」そう言って麻結を見送った。
明子は結婚式の時、麻結の日本髪を結う約束をしていた。
密かに練習もしていたのだが「無駄に成ったわ!」小さく呟く。
美容院の奥には練習用の人形が置いて在った。
翌日、武史は麻結を迎えに近くの空き地に車を止めた。
約束の11時に麻結は老人の男性とやって来た。
武史はもしかして麻結の祖父では?そう思い車を急いで降りた。
「こんにちは、初めまして大森武史と申します!麻結さんのお爺さんでしょうか?」
「君が鯖寿司の?」身体の動きで直ぐに判った智樹。
「は、はい!そうです」
「あの鯖寿司は絶品だったよ!本当は家に入ってお茶の一杯でもなのだが、今から尼寺に行くとか?麻結の事よろしく頼むよ!麻結の両親が来て挨拶をするのが常識なのだが、まだ現実が理解出来ない様だ!もう少し時間をやって貰えないか?」
「はい!何年でも待ちます!僕は麻結さんと一緒に成れるなら、いつまででも待ちます!」
「よう、言ってくれた!これからも麻結を頼むよ!今回の様な事が二度とない様に守って下さいよ!」そう言うと武史に近付き握手を求める智樹。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「そうじゃ、一番の説得材料は子供!子供が出来る事だよ!頑張ってな!」
顔を赤くする麻結が「お爺ちゃんたら、昼間から変な事を言わないでよ!」
微笑みながら見送られて、車は三田の龍王寺へ向けて走り出した。
「良いお爺さんですね!麻結さんの事を一番心配されている」
「でも両親はまだ私達の事を許してくれた訳では無いのですよ!以前より大人しく成っただけです!」
「気長に待ちましょう!僕は麻結さんしか居ないから、、、、、、」
「あ、り、が、とう」甘えた声で言う麻結。
しばらくして「もうお昼ですね!何処かで何か食べてから行きましょうか?」
「向こうにお城の様な建物が見えますよ!和食の店でしょうか?」
徐々に近づくと、それはラブホテルの様で二人は言葉に詰まった。
「ち、違いましたね!」
「え、ええー見間違えましたねーー」
通り過ぎて「三田城だって」ミラーを見て言う武史。
二人の頭に湯布院の光景が蘇って、言葉に詰まる沈黙の時間。
「一週間なのに、もの凄く時間が過ぎた気がしますね!」
「そうね!先週は湯布院でしたね!」
「本当に綺麗だった!」
「何が?」
「、、、、、、、、麻結さんの身体!」
「運転気を付けて下さいよ!」
「本当だ!運転中だった!」笑う二人。
大きな声で笑い合える喜びの麻結。
「あそこにレストランが有りますよ!」
「行きましょう!」
二人はレストランに入った。
その頃、麻生祐樹の外車が龍王寺の駐車場に到着した。
本堂の方に行くと「尼寺は何処に行けば良いのですか?」
掃除をしていた女性が「花龍庵ですか?」
「多分そんな名前だったな!麻結って尼を呼んで欲しい!」
偉そうに言う祐樹。
「麻結って尼さんですか?」女性は不思議そうな顔をした。
「お父さん!何も髪の話は触れなかったけれど、良かったのかしら?お金持ちとの結婚を断る為に坊主にした事にお礼を言えば良かったのかしら?」久代が車を見送りながら言った。
「今更、触れられたくないだろう?彼女にとっては清水の舞台よりも高い所から飛び降りた心境だったのだからな!」
「そうですよ!あの綺麗なロングの黒髪、結婚式で日本髪を結うのが夢だったのに、切ったのではなく剃髪してしまったのですよ!」
「武史が病気に成ってなかったら、駆け落ちに成るのか?それはそれで大変だったよ!」
「破談に成った麻生家の結納金1千万だったらしいわ!」
「武史なら精々百万だな!今度は我々が挨拶に行く事に成るのだな!」
「まだまだ無理ですよ!先方は今、ショックで結婚何て考えられませんよ!私達の事を泥棒だと思っているかも知れませんよ!」
「そうか?泥棒に成ったのか?兄貴が生きて居たら怒るだろうな?」
「由緒ある家系ですか?」
その頃、明後日の結納をドタキャンされた祐樹は、送られて来たlineの写真を穴が空く程見ていた。
「この写真は合成では?」
「祐樹‼未練たらしいわよ!」母が嗜めるが、祐樹には麻結のあの綺麗な黒髪が無くなった事実が信じられない。
「そんなに気に成るなら、尼寺に行けば確認出来るでしょう?」
「尼寺に彼女は居るのか?」
「その為に頭を丸めたのでしょう?尼寺以外にその様な事をしないでしょう?」
「何処に在るのだ!」
「三田の山奥、龍王寺の別院,花龍庵って書いて有ったでしょう!」
「よし、一度見て来てやろう!信じられない!明日にでも行くよ!」
「気が済む様に!でもこれ以上麻生家に恥をかかさないでよ!」
武史は自転車を置いている魚住駅前に麻結を降ろした。
麻結は車を降りると、いつも行く美容院に森山明子を尋ねた。
当分来ない理由を説明する為だった。
明子は入って来た麻結の頭を見て直ぐに変だと思ったが、黙って説明を聞いた。
「もの凄い事をしたのね!もしも彼が受け止めてくれなかったらどうする予定だったの?」
「その時は尼さんに成る!成ろうと決めて居ました!」
「でもその決断が両親を動かしたのね!」
「はい!まだ結婚までは進みませんが、少なくともお金持ちとの結婚は破談に成りました!当分来る事は出来ませんが、またお世話に成りますので、その時はよろしくお願いします!と頭を下げた麻結。
以前の半分程の長さの鬘なので、もの凄く軽く見える。
明子は「二人の結婚を待って居るわ!」そう言って麻結を見送った。
明子は結婚式の時、麻結の日本髪を結う約束をしていた。
密かに練習もしていたのだが「無駄に成ったわ!」小さく呟く。
美容院の奥には練習用の人形が置いて在った。
翌日、武史は麻結を迎えに近くの空き地に車を止めた。
約束の11時に麻結は老人の男性とやって来た。
武史はもしかして麻結の祖父では?そう思い車を急いで降りた。
「こんにちは、初めまして大森武史と申します!麻結さんのお爺さんでしょうか?」
「君が鯖寿司の?」身体の動きで直ぐに判った智樹。
「は、はい!そうです」
「あの鯖寿司は絶品だったよ!本当は家に入ってお茶の一杯でもなのだが、今から尼寺に行くとか?麻結の事よろしく頼むよ!麻結の両親が来て挨拶をするのが常識なのだが、まだ現実が理解出来ない様だ!もう少し時間をやって貰えないか?」
「はい!何年でも待ちます!僕は麻結さんと一緒に成れるなら、いつまででも待ちます!」
「よう、言ってくれた!これからも麻結を頼むよ!今回の様な事が二度とない様に守って下さいよ!」そう言うと武史に近付き握手を求める智樹。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「そうじゃ、一番の説得材料は子供!子供が出来る事だよ!頑張ってな!」
顔を赤くする麻結が「お爺ちゃんたら、昼間から変な事を言わないでよ!」
微笑みながら見送られて、車は三田の龍王寺へ向けて走り出した。
「良いお爺さんですね!麻結さんの事を一番心配されている」
「でも両親はまだ私達の事を許してくれた訳では無いのですよ!以前より大人しく成っただけです!」
「気長に待ちましょう!僕は麻結さんしか居ないから、、、、、、」
「あ、り、が、とう」甘えた声で言う麻結。
しばらくして「もうお昼ですね!何処かで何か食べてから行きましょうか?」
「向こうにお城の様な建物が見えますよ!和食の店でしょうか?」
徐々に近づくと、それはラブホテルの様で二人は言葉に詰まった。
「ち、違いましたね!」
「え、ええー見間違えましたねーー」
通り過ぎて「三田城だって」ミラーを見て言う武史。
二人の頭に湯布院の光景が蘇って、言葉に詰まる沈黙の時間。
「一週間なのに、もの凄く時間が過ぎた気がしますね!」
「そうね!先週は湯布院でしたね!」
「本当に綺麗だった!」
「何が?」
「、、、、、、、、麻結さんの身体!」
「運転気を付けて下さいよ!」
「本当だ!運転中だった!」笑う二人。
大きな声で笑い合える喜びの麻結。
「あそこにレストランが有りますよ!」
「行きましょう!」
二人はレストランに入った。
その頃、麻生祐樹の外車が龍王寺の駐車場に到着した。
本堂の方に行くと「尼寺は何処に行けば良いのですか?」
掃除をしていた女性が「花龍庵ですか?」
「多分そんな名前だったな!麻結って尼を呼んで欲しい!」
偉そうに言う祐樹。
「麻結って尼さんですか?」女性は不思議そうな顔をした。
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