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閑話(敵対者サイド、少しだけざまぁあり)
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ロレンツィテェ家sideーー
「我が家からあんな出来損ないが排出するなど!」
ロレンツィテェ家当主は机を叩く。積んである書類が床に散らばった。それを執事が拾う。
「魔力0を産んだなんて恥ずかしくて茶会にも出られませんわ! どうしてくれるのですか?」
レティシアを産んだ母親が嘆いた。
「ふん! 腹が悪かったのだろう! 儂のせいでない!」
「何ですって!? 種が悪かったに決まってるでしょ!?」
お互いを罵り合う。それを執事はうんざりした様子で眺めていた。
「それより第2王子の婚約者をどうするかだ。アレと同い年だったからアレとと思って教育してきたというのに」
ロレンツィテェ家は王妃が産んだ第2王子派で側妃が産んだ第1王子派と争っている。レティシアの教育が早かったのも将来は王妃にするつもりでいたからだ。
「マリーアンナがいるではないですか?」
レティシアの2歳上の姉は貴族令嬢といった感じの娘で傲慢なところがある。
「マリーアンナは王妃の器でない」
「それを言うなら第2王子も王の器ではありませんわ」
第2王子も我儘で少しでも思い通りにならなければ癇癪をおこした。そして権力欲も強くまだ5歳というのに将来は王になると豪語している。
「ふん! 王は少しばかり脳が足りない方が操りやすくていい」
「なら王妃も多少問題ありでも大丈夫でしょう」
「……それもそうか。知恵が回るより可愛い気もあろう」
マリーアンナを王妃に据えて栄華を極める算段を2人をし始めた。
そこへ50代半ばのドレスを着た女性が入ってくる。
「は、母上」
女性はソファーに座り扇子を広げた。入ってきたのはレティシアの祖母だった。
「レティシアを追放したと耳にしたのですが、どういうことですか?」
「母上、アレは魔力0でして我が家には必要ありません」
公爵が弁明したが、女性は大きく溜め息をつく。
「なんと愚かなことを……。魔力0なんてありえないこと。そんな事も知らないなんて……」
「私はこの目で確かに見たのです」
「それは小さな丸が2つ並んでいたのではないですか?」
女性はまるで見てきたかのように言った。
「そうです! 0です。神官長もそう言いました」
「はぁー。わたくしは貴方を厳しく育ててきたつもりですが、どうしてこのように愚かで欲深い人間になったのかしら?」
「母上、言葉が過ぎますよ!」
「我が子を捨てるような貴方には言われたくありませんわ。例え魔力が0でも守るのが親というものでしょう」
幼子に言い聞かすように言うが、公爵は聞く耳を持たなかった。魔力0は公爵家に必要ないと。夫人もそれに頷いてる。
「貴方たちに何を言っても無意味なのですね。レティシアはわたくしが見つけ出し育てますわ」
レティシアの祖母はそれだけ告げると出ていった。
「母上は自分と似てるからってレティシアを溺愛してるんだ」
レティシアの白銀色の髪と金の瞳は祖母譲りで容姿も似ている。レティシアが生まれた時は大喜びで月に1度は会いに来ていた。
「元王女だからって傲慢よ」
「あれでも才女と言われたらしい。本当に才女ならば他国に嫁いでるはずだがな」
レティシアの祖母が才女であったのは事実だ。祖母の父であり当時の国王が他国に嫁がせるのは国の損害になるという表向きの理由を述べて公爵家に嫁がせた。実の所はたた単に可愛い娘を遠くにやりたくなかったからだ。
そんなことを知らない公爵たちはレティシアの祖母の悪口を言い合ってる。
公爵家から出たレティシアの祖母は侍従に命じる。
「神殿長に苦情を出しなさい。そしてレティシアを捜しだしなさい」
まだ5歳の孫だ。1人で生きていけるはずはない。祖母の顔には心配だと書かれていた。
白銀色の髪に金の瞳は珍しいから、すぐに見つかるだろうと思われた。だが王都を出るところまでの目撃情報はあったがそれ以降の足取りを掴むことは出来なくて難航した。
ロレンツィテェ家side終わりーー
◆
神殿sideーー
「シャルロッテ様から苦情が来たがどういうことだ!」
神殿長は神官長を呼び出し怒鳴りつけた。
「シャルロッテ様とは……?」
「この国にいながらシャルロッテ様をご存知ないのか!」
神官長は誰のことか分からず悩む。
「シャルロッテ・ロレンツィテェ様だ! 元王女様なのな!」
ロレンツィテェと言われて神官長は先日の魔力0の少女のことを思い出した。
「公爵令嬢様とはいえ魔力量を誤魔化すことは禁じられてます」
神官長はレティシアが祖母に泣きついたんだろうと予測する。
「お前は魔力0だと言ったと書いてあったが?」
「間違いありません」
「魔力0とはありえない。生きとするもの全てに魔力がある」
基礎とも言える基礎のことを神殿長は神官長に告げた。
「だが、しかし……、現実には……」
「お前が見たのはこれではないか?」
神殿長は紙に∞と書いて神官長に見せる。
「これです。完全に0と書いてあります」
「これは今は失われた記号で無限を意味してる。神官長でありながら知らないとは……」
無限と聞いて神官長が青ざめた。それが事実だとすれば魔力0と告げてしまった己の身がどうなることか考えただけで震えが止まらない。
「どうすれば……」
「シャルロッテ様は公爵様には教えるなと言われてきた」
公爵に知られなけば何とかなると神官長は胸を撫で下ろした。
「だが! お前の処分は別だ」
そんな神官長を見て神殿長は言い放った。神官長は下級神官に落とされ2度と上になれないよう処置される。
神官長side終わりーー
◆
サーシャsideーー
「何で私がランロワを去らないといけないのよ!」
サーシャは隣国の小さな街に飛ばされていた。そこの拠点は小さく風呂もない。男たちの容姿は平凡以下で能力も劣っていた。
「いい男もいないし! 汚いばかりじゃない!」
不満を口にしながらベッドでジタバタしている。
「私はSランクになって、いい男を侍らすのよ! それが世のためになるんだから!」
己の欲望だけで実力はそれほどない。周りが女だから魔術師だからとチヤホヤしていただけだ。
「あの子のせいよ! あの子が現れたからこうなったのよ!」
サーシャの言動は幹部では問題とされていてティナがいなくてもいずれは同じ道を歩んでいる。それに気が付かないサーシャはティナに対しての怨みを募らせた。
サーシャside終わりーー
◆
犯罪者になった少年冒険者sideーー
ミーアに叱責され怖くなった少年たちは、護衛をしてた商会の荷物を奪い逃げ出した。
「ねぇ、これからどうするの?」
犯罪者になった彼らを受けて入れてくれる街はない。
「俺たちはこれから盗賊になる!」
彼らの思考はどうなってるのか、襲ってきた盗賊の仲間になると決意しだした。
「盗賊?」
「そうだ! 盗賊になれば怖いものはなくなる!」
盗賊になれば冒険者や騎士に命を狙われる。そういった考えには至らないようだ。
「そうよね。盗賊になれば豪華な生活が出来るわよね」
「そうだ! 今までみたいな毎日が漸く食べていける生活とはおさらばだ!」
おおー! 彼らは声をあげて盗賊の隠れ家を探す。森の中を適当に歩いてるだけ、普通はそんな簡単に見つからない。それなのにどのような運が働いたのか彼らはあっさりと住処に辿り着いた。
「何だ? 貴様らは冒険者か?」
「違う! 俺らは盗賊の仲間になりにきた!」
男の問いかけに少年が堂々と告げた。ゾロゾロと男たちが出てくる。その顔はニヤケていた。
「ほお? 俺たちの仲間になりたいと?」
「これが手土産だ!」
商会から奪った物を盗賊たちに渡す。まだ交渉は設立してないというのに。
「大した物はねぇな? その前に……」
男たちが少年たちを取り囲んだ。大の大人に囲まれ少年たちは震える。
「お、俺たちは、な、仲間に……」
「あぁ。分かってるよ。でもその前に洗礼が必要だ」
男たちに捕まった少年たちは薬を飲まされ、犯され暴力を振るわれた。やられ尽くされボロボロにされる。そんな状態だというのに男の子たちは盗賊に傾倒していった。女の子は奴隷とされ闇市場に売られていく。その事を聞いた男の子たちは仲間だったいうのに怒ることはなく、逆に当然だと納得した。
「これでお前たちは立派な俺たちの仲間だな」
「うん。これからもよろしくな!」
犯罪者になった少年冒険者side終わりーー
「我が家からあんな出来損ないが排出するなど!」
ロレンツィテェ家当主は机を叩く。積んである書類が床に散らばった。それを執事が拾う。
「魔力0を産んだなんて恥ずかしくて茶会にも出られませんわ! どうしてくれるのですか?」
レティシアを産んだ母親が嘆いた。
「ふん! 腹が悪かったのだろう! 儂のせいでない!」
「何ですって!? 種が悪かったに決まってるでしょ!?」
お互いを罵り合う。それを執事はうんざりした様子で眺めていた。
「それより第2王子の婚約者をどうするかだ。アレと同い年だったからアレとと思って教育してきたというのに」
ロレンツィテェ家は王妃が産んだ第2王子派で側妃が産んだ第1王子派と争っている。レティシアの教育が早かったのも将来は王妃にするつもりでいたからだ。
「マリーアンナがいるではないですか?」
レティシアの2歳上の姉は貴族令嬢といった感じの娘で傲慢なところがある。
「マリーアンナは王妃の器でない」
「それを言うなら第2王子も王の器ではありませんわ」
第2王子も我儘で少しでも思い通りにならなければ癇癪をおこした。そして権力欲も強くまだ5歳というのに将来は王になると豪語している。
「ふん! 王は少しばかり脳が足りない方が操りやすくていい」
「なら王妃も多少問題ありでも大丈夫でしょう」
「……それもそうか。知恵が回るより可愛い気もあろう」
マリーアンナを王妃に据えて栄華を極める算段を2人をし始めた。
そこへ50代半ばのドレスを着た女性が入ってくる。
「は、母上」
女性はソファーに座り扇子を広げた。入ってきたのはレティシアの祖母だった。
「レティシアを追放したと耳にしたのですが、どういうことですか?」
「母上、アレは魔力0でして我が家には必要ありません」
公爵が弁明したが、女性は大きく溜め息をつく。
「なんと愚かなことを……。魔力0なんてありえないこと。そんな事も知らないなんて……」
「私はこの目で確かに見たのです」
「それは小さな丸が2つ並んでいたのではないですか?」
女性はまるで見てきたかのように言った。
「そうです! 0です。神官長もそう言いました」
「はぁー。わたくしは貴方を厳しく育ててきたつもりですが、どうしてこのように愚かで欲深い人間になったのかしら?」
「母上、言葉が過ぎますよ!」
「我が子を捨てるような貴方には言われたくありませんわ。例え魔力が0でも守るのが親というものでしょう」
幼子に言い聞かすように言うが、公爵は聞く耳を持たなかった。魔力0は公爵家に必要ないと。夫人もそれに頷いてる。
「貴方たちに何を言っても無意味なのですね。レティシアはわたくしが見つけ出し育てますわ」
レティシアの祖母はそれだけ告げると出ていった。
「母上は自分と似てるからってレティシアを溺愛してるんだ」
レティシアの白銀色の髪と金の瞳は祖母譲りで容姿も似ている。レティシアが生まれた時は大喜びで月に1度は会いに来ていた。
「元王女だからって傲慢よ」
「あれでも才女と言われたらしい。本当に才女ならば他国に嫁いでるはずだがな」
レティシアの祖母が才女であったのは事実だ。祖母の父であり当時の国王が他国に嫁がせるのは国の損害になるという表向きの理由を述べて公爵家に嫁がせた。実の所はたた単に可愛い娘を遠くにやりたくなかったからだ。
そんなことを知らない公爵たちはレティシアの祖母の悪口を言い合ってる。
公爵家から出たレティシアの祖母は侍従に命じる。
「神殿長に苦情を出しなさい。そしてレティシアを捜しだしなさい」
まだ5歳の孫だ。1人で生きていけるはずはない。祖母の顔には心配だと書かれていた。
白銀色の髪に金の瞳は珍しいから、すぐに見つかるだろうと思われた。だが王都を出るところまでの目撃情報はあったがそれ以降の足取りを掴むことは出来なくて難航した。
ロレンツィテェ家side終わりーー
◆
神殿sideーー
「シャルロッテ様から苦情が来たがどういうことだ!」
神殿長は神官長を呼び出し怒鳴りつけた。
「シャルロッテ様とは……?」
「この国にいながらシャルロッテ様をご存知ないのか!」
神官長は誰のことか分からず悩む。
「シャルロッテ・ロレンツィテェ様だ! 元王女様なのな!」
ロレンツィテェと言われて神官長は先日の魔力0の少女のことを思い出した。
「公爵令嬢様とはいえ魔力量を誤魔化すことは禁じられてます」
神官長はレティシアが祖母に泣きついたんだろうと予測する。
「お前は魔力0だと言ったと書いてあったが?」
「間違いありません」
「魔力0とはありえない。生きとするもの全てに魔力がある」
基礎とも言える基礎のことを神殿長は神官長に告げた。
「だが、しかし……、現実には……」
「お前が見たのはこれではないか?」
神殿長は紙に∞と書いて神官長に見せる。
「これです。完全に0と書いてあります」
「これは今は失われた記号で無限を意味してる。神官長でありながら知らないとは……」
無限と聞いて神官長が青ざめた。それが事実だとすれば魔力0と告げてしまった己の身がどうなることか考えただけで震えが止まらない。
「どうすれば……」
「シャルロッテ様は公爵様には教えるなと言われてきた」
公爵に知られなけば何とかなると神官長は胸を撫で下ろした。
「だが! お前の処分は別だ」
そんな神官長を見て神殿長は言い放った。神官長は下級神官に落とされ2度と上になれないよう処置される。
神官長side終わりーー
◆
サーシャsideーー
「何で私がランロワを去らないといけないのよ!」
サーシャは隣国の小さな街に飛ばされていた。そこの拠点は小さく風呂もない。男たちの容姿は平凡以下で能力も劣っていた。
「いい男もいないし! 汚いばかりじゃない!」
不満を口にしながらベッドでジタバタしている。
「私はSランクになって、いい男を侍らすのよ! それが世のためになるんだから!」
己の欲望だけで実力はそれほどない。周りが女だから魔術師だからとチヤホヤしていただけだ。
「あの子のせいよ! あの子が現れたからこうなったのよ!」
サーシャの言動は幹部では問題とされていてティナがいなくてもいずれは同じ道を歩んでいる。それに気が付かないサーシャはティナに対しての怨みを募らせた。
サーシャside終わりーー
◆
犯罪者になった少年冒険者sideーー
ミーアに叱責され怖くなった少年たちは、護衛をしてた商会の荷物を奪い逃げ出した。
「ねぇ、これからどうするの?」
犯罪者になった彼らを受けて入れてくれる街はない。
「俺たちはこれから盗賊になる!」
彼らの思考はどうなってるのか、襲ってきた盗賊の仲間になると決意しだした。
「盗賊?」
「そうだ! 盗賊になれば怖いものはなくなる!」
盗賊になれば冒険者や騎士に命を狙われる。そういった考えには至らないようだ。
「そうよね。盗賊になれば豪華な生活が出来るわよね」
「そうだ! 今までみたいな毎日が漸く食べていける生活とはおさらばだ!」
おおー! 彼らは声をあげて盗賊の隠れ家を探す。森の中を適当に歩いてるだけ、普通はそんな簡単に見つからない。それなのにどのような運が働いたのか彼らはあっさりと住処に辿り着いた。
「何だ? 貴様らは冒険者か?」
「違う! 俺らは盗賊の仲間になりにきた!」
男の問いかけに少年が堂々と告げた。ゾロゾロと男たちが出てくる。その顔はニヤケていた。
「ほお? 俺たちの仲間になりたいと?」
「これが手土産だ!」
商会から奪った物を盗賊たちに渡す。まだ交渉は設立してないというのに。
「大した物はねぇな? その前に……」
男たちが少年たちを取り囲んだ。大の大人に囲まれ少年たちは震える。
「お、俺たちは、な、仲間に……」
「あぁ。分かってるよ。でもその前に洗礼が必要だ」
男たちに捕まった少年たちは薬を飲まされ、犯され暴力を振るわれた。やられ尽くされボロボロにされる。そんな状態だというのに男の子たちは盗賊に傾倒していった。女の子は奴隷とされ闇市場に売られていく。その事を聞いた男の子たちは仲間だったいうのに怒ることはなく、逆に当然だと納得した。
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