大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

原因と乱入

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「おしわかった。ラウクム、端的に、要点だけ、手短に説明しろ。あぁ、時系列も出来たら正確に」
「廊下で出会った彼女達がいつもみたいに喧嘩して、勝った方がレィアさんを派閥に組み込むって話になって…レィアさんを賭けて今決闘を!」
何気に無茶を言ってみたが、それをおおむねクリアしてくるラウクムくんマジハイスペック。
さて、それにしたって。
「流石に…俺の承諾なしにそんな事、出来るのか?」
爆音を背景音にして聞く。
「それが…《不動》達が勝った場合は《雷光》が干渉しなくなったり、レィアさんが《シェパード》に入ることが難しくなる程度だけど、逆に《雷光》が勝った場合、問答無用で《シェパード》に入れられる可能性が高いんだ」
なんで?とは聞かない。理由は何となく分かってる。
「それが特権ってか?」
ラウクムくんが静かに頷き、肯定の意思を示す。
ほう、そうか。
…気に食わねぇな。
先に本人の意思なんかよりも相手をどうにかする、程度ならまだしも、そのまま俺を取る気か。
もちろん、俺の意思を無視してまで。
一際大きな音が響いた。
そちらを見ると、何度目かの接近と離脱。俺が来てからだけで既に三回目。
「これ、いつからやってるんだ?」
「もうそろそろ三十分かな。いい加減、どっちも体力が尽きてもおかしくないんだけど…」
まだ終わらない、か。
底なしだな。
いや、大分限界が近いのか?今、《不動》の手元がほんの僅かにブレた。
ここにいる人は誰も気づかないような、小さなブレ、小さな隙。
しかし、遠くにいる俺が気づけるような隙という訳だから当然《不動荒野》も気づいているだろうし…《雷光》も気づく。
「《雷刀》」
さっきまでより強く、早く踏み込む《雷光》。
最早《不動》を斬ることはせず、さらに奥に構えている《荒野》へと接近。
「しまっ!!」
「《紫電》!!」
さっきまでと一線を画す一撃。
フィールドすら貫きかねないその一撃は《荒野》へと迫り、《不動》の力をリンケージで受け継いだ《荒野》が弾く。
しかし、それも完璧ではなかったのだろうか。
大きく体制を崩す《荒野》。
リンケージによって力を持っていかれた《不動》。
戦技アーツを放った直後ながら、素早く次の動きへと移行しようとする《雷光》。
リンケージによって絶大な力を持ちつつ、バランスを崩してしまった《荒野》。
「《雷刀》……」
さらに戦技アーツへと繋げる《雷光》。
しかし。
「《煌覇こうは》!」
「「「!!」」」
フィールドの外から突き刺さった俺の煌覇こうはが、外からの攻撃には弱いフィールドを容易たやすく喰い破り、《雷光》の目の前に突き刺さる。
紅い暴力は強烈な衝撃を撒き散らし、三人を吹き飛ばし、強制的に決闘を止めさせた。
「よう先輩方!ちぃとばかし遅れたが主役の登場だ!」
俺は砕けてキラキラと光りながら消えていくフィールドの残滓の中をゆっくりと歩み、中心へと進んでいく。
流石に…………。
「この決闘の決着を潰しに来た」
流石に、キレていいよな。
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