大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
1,342 / 2,021
本編

勉強と備え

しおりを挟む
「で、またか…」
「?、何か言いましたの?」
「いやなんでも」
ぅーんと背伸びをするとバキボキと背骨が鳴る。久しぶりにこんな長時間、座って勉強した気がする。
今日は朝から休憩をはさみながらずっと勉強していた。三聖学と礼儀作法を主にやっていたのだが、アーネに間違いを指摘され続けて頭がおかしくなりそうだった。
時計を見ると、そろそろ午後二時。さて、行かにゃならんか。
立ち上がると、アーネも時計を見て、「あら、もうこんな時間でしたの」と言って立ち上がる。
「あれ?お前も来んの?」
「えぇ。噂ですと実技の試験は人型の可能性が高いらしいですし…」
「なるほど。どっち側?」
「貴方と同じ相手側ですわ」
「お前もか。まぁ、その、なんだ?頑張ろうぜ」
さて、俺たちが何の話をしているのかというと、もちろん期末のテストの事である。
他のクラスメイト達が誰から聞いたのか知らないが、二年の前期の実技は対人に近いらしいとの話を聞き、ある提案をしてきたのだ。
「このクラスさ、二つ名持ちが二人もいるしさ、その二人から色々学ばない?」
もうお分かりだろう。その意見が採用された訳だ。
つまり、上手い奴から学べ的な発想である。
ただ、さすがに二人でクラス全体をカバーするのは不可能と分かってくれたのは助かった。他に何人か教官こっち側についてくれるらしい。で、今回アーネもこっち側という訳だ。
そんな訳で二人とも向かう先は同じ。部屋出て学校へ向かい、螺旋階段を降り続け、重たい鉄の扉を押し開く。
「よっ、と」
集合時間より少し早く来たのだが、どうやら既にかなりの人数が集まっていたらしい。
「おーおーいるいる。えーっと一、二、三、四…」
俺達抜いて二十人か。こりゃまた随分と集まったものだな。
「あ、よかった。来てくれた…」
「ひでぇ言い草だな。来ないと思ってたのか?」
「だってレィアさん、結構授業出ないことあるじゃない。こういう事しても来てくれるかどうか正直…ねぇ?」
と言われても、割とこういうのには出てるんだがな。やはり一年の時に結構やらかしたイメージというのは大きいらしい。俺はそれに笑って誤魔化すと、手を叩いて注目を集める。
「んじゃとっとと始めようか。えーっと、俺とユーリアとアーネ、あとは…」
「俺、俺俺。ヴィクター・オリバな」
耳にやたらとピアスを開けた男がこちらへ手を振る。
「あぁそうだった。あとヴィクターでやるんだっけ。だからえーっと…一人あたり…五人いないぐらい?」
多分合ってると思うんだが。この手の計算はどうも苦手だ。
「だね。よし、それじゃもう振り分け終わってるから。えーっと、シィルさんとオリバくんはあっちで、ユーリアとアーネがそっち。で、いいよね?」
「りょーかいりょーかい。タイマンでいいのか?」
「教え方は各自任せるわ。そっちの方がいいでしょ?」
「だな」
さーて、頑張りますか。
しおりを挟む

処理中です...