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本編
天辺と確認
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居場所は分かった。あっちの塔だ。行ったら既に出た後だった。今はこっちの塔だ。
この流れを繰り返すことおよそ四回。いや五回だったか?正直何度か血瞬を使おうか本気で検討したが、なんとか普通に追いつけた。
「やぁっっっっっっっっと見つけたぞクソが。チョロチョロ動き回りやがって…」
塔の天辺、と言っても塔と呼ぶには低めなそこにコルドーはたった一人で立っていた。他の塔は数人固まっていたのだが、隊長クラスだと一人で充分という事だろうか。せめてもう一人は多い方がいいと思うのだが。
「君は…レィアさん、だったか。私に何か用があるらしいが、済まない。少しばかり人手が足りないので余裕が無い。後にして──」
「魔獣は激減したのに人手が足りねぇってのはおかしいよなぁコルドー?あぁいや、合ってるのか。なんせ動かせる人手を俺に割いて、その結果俺に叩かれてしばらく寝込んでるんだしな。見て回った所、大体半数か?一年ぶりに来た都市で、また夜襲をかけられるとは思ってなかったぞクソが。この都市の名産品は麦と家畜と夜襲なのか?」
「…何の話をしているのかな?」
「てめぇがやった諸々の話だよ。諸々を全部言ってやろうか?」
答えは聞かない。イライラが頂点に達しかけているせいもあってか、一気に捲したてる。
「一年前に都市長を嵌め、お前が魔族としていた新種の魔獣の研究も擦り付けたのはお前だな?その魔獣が逃げちまった。あの新種の寄生虫型の魔獣がそうだな?それを何に使うのかは知らんが、ともかく数匹に逃げられて、勝手に増えられたのが今回の大進行の発端」
「待て、何の話を」
「とぼけんなよクソッタレ。呆けるのにもまだ早いだろう。次いで、お前が狙ったのはコレだろう」
そう言ってポケットから取り出したのは、ずっと俺が持ち続けることになっている闇色の石。
出した瞬間、明確にコルドーの目が見開かれる。
「正直に言うと狙う理由はよく分からんがな。まぁ、魔法部隊の隊長さんなら色々と使い道はあるんだろうさ。なんせこれだけの魔力の量。どうやって集めたのかも、何に使うのかも知らんが、きっと都市を守るにゃこれぐらいは必要なんだろうな。ただまぁ、これを取るために今の都市長の名義で冒険者を雇って取りに行かせたのは失敗だったな。本人に聞いたら知らねぇって言ってたぞ」
それを知ったのは昨晩の話だ。あの都市長は文字通り「本当に何も」知らなかった訳だ。
「君は…その石をどうするつもりかね?」
「別にどうも。俺は魔法なんか使えないし、綺麗な宝石にも興味はない。だから当然魔石にも興味はない。たとえどれだけ魔力を込められていようとな。せいぜいが危険だから叩き割るか何かして処理するか、ぐらいだな」
そこまで言った所で、コルドーの空気が変わった。
縛っていた拘束を弾くように、身体から濃密な魔力が漏れ始める。
「一応聞こう。君はその石がどういうものか知ってるのかね?」
「一応答えよう。知ってるなら砕こうとか言うか?」
「疑問に疑問で答えるのは…なって無い、な!」
直後、視界いっぱいに広がる魔法陣。いや違う。ドーム状に魔法陣が俺を囲うように展開されているのだ。
今の会話中に踵で韻でも踏んでいたか。
あるいは──無詠唱での超展開か。
「悪いが、これも仕事なのでね」
直後、魔法が雨の如く降り注いだ。
この流れを繰り返すことおよそ四回。いや五回だったか?正直何度か血瞬を使おうか本気で検討したが、なんとか普通に追いつけた。
「やぁっっっっっっっっと見つけたぞクソが。チョロチョロ動き回りやがって…」
塔の天辺、と言っても塔と呼ぶには低めなそこにコルドーはたった一人で立っていた。他の塔は数人固まっていたのだが、隊長クラスだと一人で充分という事だろうか。せめてもう一人は多い方がいいと思うのだが。
「君は…レィアさん、だったか。私に何か用があるらしいが、済まない。少しばかり人手が足りないので余裕が無い。後にして──」
「魔獣は激減したのに人手が足りねぇってのはおかしいよなぁコルドー?あぁいや、合ってるのか。なんせ動かせる人手を俺に割いて、その結果俺に叩かれてしばらく寝込んでるんだしな。見て回った所、大体半数か?一年ぶりに来た都市で、また夜襲をかけられるとは思ってなかったぞクソが。この都市の名産品は麦と家畜と夜襲なのか?」
「…何の話をしているのかな?」
「てめぇがやった諸々の話だよ。諸々を全部言ってやろうか?」
答えは聞かない。イライラが頂点に達しかけているせいもあってか、一気に捲したてる。
「一年前に都市長を嵌め、お前が魔族としていた新種の魔獣の研究も擦り付けたのはお前だな?その魔獣が逃げちまった。あの新種の寄生虫型の魔獣がそうだな?それを何に使うのかは知らんが、ともかく数匹に逃げられて、勝手に増えられたのが今回の大進行の発端」
「待て、何の話を」
「とぼけんなよクソッタレ。呆けるのにもまだ早いだろう。次いで、お前が狙ったのはコレだろう」
そう言ってポケットから取り出したのは、ずっと俺が持ち続けることになっている闇色の石。
出した瞬間、明確にコルドーの目が見開かれる。
「正直に言うと狙う理由はよく分からんがな。まぁ、魔法部隊の隊長さんなら色々と使い道はあるんだろうさ。なんせこれだけの魔力の量。どうやって集めたのかも、何に使うのかも知らんが、きっと都市を守るにゃこれぐらいは必要なんだろうな。ただまぁ、これを取るために今の都市長の名義で冒険者を雇って取りに行かせたのは失敗だったな。本人に聞いたら知らねぇって言ってたぞ」
それを知ったのは昨晩の話だ。あの都市長は文字通り「本当に何も」知らなかった訳だ。
「君は…その石をどうするつもりかね?」
「別にどうも。俺は魔法なんか使えないし、綺麗な宝石にも興味はない。だから当然魔石にも興味はない。たとえどれだけ魔力を込められていようとな。せいぜいが危険だから叩き割るか何かして処理するか、ぐらいだな」
そこまで言った所で、コルドーの空気が変わった。
縛っていた拘束を弾くように、身体から濃密な魔力が漏れ始める。
「一応聞こう。君はその石がどういうものか知ってるのかね?」
「一応答えよう。知ってるなら砕こうとか言うか?」
「疑問に疑問で答えるのは…なって無い、な!」
直後、視界いっぱいに広がる魔法陣。いや違う。ドーム状に魔法陣が俺を囲うように展開されているのだ。
今の会話中に踵で韻でも踏んでいたか。
あるいは──無詠唱での超展開か。
「悪いが、これも仕事なのでね」
直後、魔法が雨の如く降り注いだ。
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