大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

終了と解散

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「はーい、今日はここまで」
「「「ああああああああっ!!」」」
悲鳴というか雄叫びというか、そう言ったたぐいの叫びが訓練所にこだまする。
時刻はちょうど十二時。二時間だけの集中訓練だが、内容は結構ハードだからな。
想像してみろよ。二時間も結構な重量のある金属を高速で振り続けるんだぜ?ほぼ間違いなく筋肉痛だろ。
「絶対に武器のメンテナンスしとけよ。この練習は武器が一気に疲労するからな」
「れ……レィアさん」
「ん?なんだ?」
地面にへたりこみながら声を上げたのは男子くん。長剣はキツイよなぁ…。
「この…練習の、意味…は?」
息上がってんな。お疲れの意味も込めて水筒を男子くんに渡す。
「意味ぃ?そうだな…最低限の攻撃力の確保と速度、臨機応変に精密攻撃をする練習…って所?」
あとは…そうだな。
「こんだけ斬撃ぶっぱなしてるんだ。少しずつ無駄な動きが削ぎ落とされて一番効率のいい行動が取れるようになる。ついでに言うなら、そのために必要な筋肉も多少はつくしな。さて、そうなった時は。この意味、わかるよな?」
「……!」
男子くんから水筒を受け取り、一口俺も飲む。
「さぁて、今日はここまで!やりたい奴がいるなら、俺の部屋まで来てくれればブロックをやるよ。ただ、無理しても精密さが欠けるだけだから」
結局、最初の課題を成功させたのはクアイちゃんとシエル、あとは女子ちゃんだけ。男子くんとリーザは苦戦してたな。
男子くんは結構形になりつつある一方でリーザは…威力が高すぎて一撃、あるいは二撃目ぐらいでブロックがぶっ飛んでしまい、連撃に繋げられていない。
リーザの戦闘スタイルはなんと言うか、よく言えば一撃必殺、悪く言えば大雑把な攻撃だから、この練習はかなりイライラするだろうなぁ…。
一応教えてやってみたのだが、どうも性格の問題なのか、全く上手く行かない。俺が教えた他の人は多少なりとも上手く行っていたので、多分俺の問題じゃない…と、思う。
「それじゃ、後片付けしとくから、みんな先に帰ってていいぞ」
みんなが帰っていった中で、残ったのはシエルとリーザ。
「…なんで残ったの?」
いや、シエルはわかる。多分俺に引っ付いているだけ。
余談だが、シエル一人でうろつくと、その辺に女子の塊が出来て身動きがとれなくなるため、極力一人にはさせないようにしてる。
「少し練習をしたくって」
「ふーん。まぁいいぞ。ブロックは腐るほどあるし。あぁ、新しく崩したブロックは自分で片付けてくれよ?」
「あ、いや、そうじゃなくってさ」
「ん?」
振り返ると、武器を構え、俺に向けたリーザが。
「何?」
「一戦、手合わせしてもらってもいい?」
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