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さて、そこから数日間の事をざっと纏めて行こう。
まず、俺達の出し物が決まった。と言っても名前が上手いこと決まっていないので、なんと言うべきか。
クラスメイト同士で戦い、その様子を見て楽しんでもらうらしい。場合によってはパフォーマンスとしてどちらかに何かしらの枷をつけたり、逆に二対一で行ったりと、そういうことも考えているそうだ。
で、こちらは生徒会からの許可が出たので問題ない。
問題は二つ名持ちの方で、内容は去年と同じ演劇…殺陣…まぁどっちでもいいが、それで決まった。じゃあ何が問題なのかと言うと、そのストーリーをどうするかでまだ揉めているらしい。主にユーリアと《雷光》で。
その辺はまぁ俺が触る話でもないし、適当にそのうち終わるだろ。
さてもうひとつ、聖学祭と並行で進めていたセラの二つ名のことに関してだ。
結論から言うと今回は見送り。票数は分からないが、少なくとも俺は生徒会に「まだ無理」と言った。多分《臨界点》もそうだし、あともう一人ぐらい否定的な意見を送ればそれで潰れる。
個人的な事を言わせてもらえれば、この時期にあんな面倒な事をしている余裕は無いので助かったと言えるのだが。
あと、非常に今更な話だが、夏季休暇の課題について。俺もすっかり忘れていたが、どうも休みに入る前に倒した人馬、あれのお礼にとラピュセが裏から手を回して学校長に便宜を取り計らったらしい。
『ついでだから言っといて、って言われたわ。やっぱり勘づかれてた』
と不服そうに言うのは例のちんまい女研究員。
約束通りその翌日にメッセージを飛ばし、その成果を俺に伝えた。
『比翼の剣、《連》と《理》だっけ?正式名は。正直あの程度の研究で分かる事と言えば前と大差ないわね。一応数値化したものが私の手元にあるけれど。欲しい?』
「んにゃ要らねぇ。で、何か分かったことは?」
『だから前と変わんないわよ。どの数値測っても前回とピッタリ一緒。金属疲労の様子もないし、些細な傷ひとつすらない。こんな事ありえない』
強いていえばそれが分かったこと、と女研究員は言っていたか。
あぁ…あと、最後にこう言ってたっけ。
『ま、私はただの研究者だから深くは考えてなかったけど。もしかしたらその剣の名前に意味があるのかも』
じゃあね、と言って一方的にメッセージを切られる。次にいつ来いとは言われなかったのはいつでも待っているという意味合いだろうか。
──《連》と《理》。そして比翼の剣。
分かりやすすぎるが、有名な話である比翼連理、つまり比翼の鳥と連理の枝だろうか。
比翼の鳥…比翼鳥と言われれば、かなり強い魔獣であるという事を真っ先に思い浮かべる。雌雄同体ならぬ雌雄一体という変わった特性を持ち、それぞれが右翼と右目、左翼と左目しか持たないが故に、二体で一体となる。生涯その番は離れることはなく、死んでもなお一体となって死ぬ。
ただ、生物としては非常に不安定で、この一対の鳥を引き剥がすだけで死ぬという、なんとも脆い魔獣でもある。
連理の枝…これは…知らんな。名前は知ってるんだが…今度調べるか。案外アーネあたりが知ってるかも知らん。
この位だろうか。話すことと言えば。
今思えばそれなりに充実していた。忙しくも結構笑いながら。
ただまぁ、そういう時だから。
だからこそ、影の足音というものは知らない間に近づいてくるのだ。
あの日、アーネを連れ去られた時のように。
まず、俺達の出し物が決まった。と言っても名前が上手いこと決まっていないので、なんと言うべきか。
クラスメイト同士で戦い、その様子を見て楽しんでもらうらしい。場合によってはパフォーマンスとしてどちらかに何かしらの枷をつけたり、逆に二対一で行ったりと、そういうことも考えているそうだ。
で、こちらは生徒会からの許可が出たので問題ない。
問題は二つ名持ちの方で、内容は去年と同じ演劇…殺陣…まぁどっちでもいいが、それで決まった。じゃあ何が問題なのかと言うと、そのストーリーをどうするかでまだ揉めているらしい。主にユーリアと《雷光》で。
その辺はまぁ俺が触る話でもないし、適当にそのうち終わるだろ。
さてもうひとつ、聖学祭と並行で進めていたセラの二つ名のことに関してだ。
結論から言うと今回は見送り。票数は分からないが、少なくとも俺は生徒会に「まだ無理」と言った。多分《臨界点》もそうだし、あともう一人ぐらい否定的な意見を送ればそれで潰れる。
個人的な事を言わせてもらえれば、この時期にあんな面倒な事をしている余裕は無いので助かったと言えるのだが。
あと、非常に今更な話だが、夏季休暇の課題について。俺もすっかり忘れていたが、どうも休みに入る前に倒した人馬、あれのお礼にとラピュセが裏から手を回して学校長に便宜を取り計らったらしい。
『ついでだから言っといて、って言われたわ。やっぱり勘づかれてた』
と不服そうに言うのは例のちんまい女研究員。
約束通りその翌日にメッセージを飛ばし、その成果を俺に伝えた。
『比翼の剣、《連》と《理》だっけ?正式名は。正直あの程度の研究で分かる事と言えば前と大差ないわね。一応数値化したものが私の手元にあるけれど。欲しい?』
「んにゃ要らねぇ。で、何か分かったことは?」
『だから前と変わんないわよ。どの数値測っても前回とピッタリ一緒。金属疲労の様子もないし、些細な傷ひとつすらない。こんな事ありえない』
強いていえばそれが分かったこと、と女研究員は言っていたか。
あぁ…あと、最後にこう言ってたっけ。
『ま、私はただの研究者だから深くは考えてなかったけど。もしかしたらその剣の名前に意味があるのかも』
じゃあね、と言って一方的にメッセージを切られる。次にいつ来いとは言われなかったのはいつでも待っているという意味合いだろうか。
──《連》と《理》。そして比翼の剣。
分かりやすすぎるが、有名な話である比翼連理、つまり比翼の鳥と連理の枝だろうか。
比翼の鳥…比翼鳥と言われれば、かなり強い魔獣であるという事を真っ先に思い浮かべる。雌雄同体ならぬ雌雄一体という変わった特性を持ち、それぞれが右翼と右目、左翼と左目しか持たないが故に、二体で一体となる。生涯その番は離れることはなく、死んでもなお一体となって死ぬ。
ただ、生物としては非常に不安定で、この一対の鳥を引き剥がすだけで死ぬという、なんとも脆い魔獣でもある。
連理の枝…これは…知らんな。名前は知ってるんだが…今度調べるか。案外アーネあたりが知ってるかも知らん。
この位だろうか。話すことと言えば。
今思えばそれなりに充実していた。忙しくも結構笑いながら。
ただまぁ、そういう時だから。
だからこそ、影の足音というものは知らない間に近づいてくるのだ。
あの日、アーネを連れ去られた時のように。
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