大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

本編

服屋と謝罪

服屋でのちょっとした失態のお詫びとして、後日何らかの装飾品を贈るように言われたが、まぁそれは甘んじて受け入れた。完全にこっちのミスだからな。
アーネの叫び声を聞きつけた店員さんがすっ飛んできたが…俺の顔を見て同性同士のおふざけをした結果、アーネが過剰な反応をしたと思ったらしい。少し叱られただけで、大したお咎めは無かった。
…非常に助かったといえば助かったのだが…解せぬ。
アーネへのお詫びのアクセサリーは、そこにそういった店があるのだからそのまま買いに行こうとした。しかし、何故かアーネが。
「い、今は駄目なんですの！今度、あなた一人で選んで私に贈って下さいまし！」
と言われたので今日は中止。かわりに、二人でシエルの服や、少しだけ俺の服を見繕った。
というのも、アーネとシャルが二人して「女の子の服があそこまで少ないのは許しがたい」と口を揃えて俺に抗議してきたためだ。
結果、シエルの服を季節ごとに上下十着ずつほど購入し、俺の服も上等な物や季節に合わせたものを合計五着ほど買わされた。もちろん値段はしっかりチェックしたので、そこまでとんでもない値段の物は買っていない。ついでに言うなら、アーネがシエルの服を半ば無理矢理買わせたためか一部代金を受け持つと言われたので、そこはちゃっかりと世話になった。まぁ、それでも皮袋が結構軽くなったのは否めないが、特に損した気分ではないので全く気にしない。そのまま髪の中に入れておく。
あ、買った服はアーネの家に配達してくれるそうだ。買った数が数なので、特別サービスとか何とか。
ちなみに、やや今更感があるが、シエルが何故いないのかと言うと、シャルに言われて俺が着替え終わった直後ぐらいにモーリスさんが俺達の部屋に来て、言葉巧みにシエルを誘拐…もとい引き取ったため。
「今日一日は私めがシエル様をお引き取り致しますので、どうぞレィア様は心置きなくアーネ様と街を巡って来てください」
とモーリスさんが言ってくれたので俺とアーネが二人きりで街を歩いている訳だ。
「で、次はどこへ行くんだ？」
「そうですわね…結構服屋ここで時間を使ってしまったので、そろそろお昼頃ですわね」
そう言えばそんな時間か。ふと視線を上げて太陽を見ると、ほぼ真上から俺達を見下ろしている。森では時計なんか無かったから、太陽の位置から大体の時間を割り出すのは慣れている。
「十二時…頃だな。なんか食うか」
「なら、こっちですわね」
そう言ってアーネが再び歩き始める。
俺はその後ろをゆっくりとついて行った。