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本編
邪魔と帰還
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『………』
剣はたしかに振った。
だが、斬れなかった。
『退けよ、聖女サマ』
「いいえ、退きません!」
俺と神父の間に割り込んだ聖女サマが邪魔で斬れなかったのだ。
結果、俺は金剣を強引に手前に引き、地面を抉った。
『敵には死を。それが戦場での定石だ』
「いいえ!敵にも救いを!それが聖神教会の教えですから!」
馬鹿じゃなかろうか。
『今ここで始末しておかなきゃ、間違いなく後悔するぞ。それこそ、いつ寝首を掻きにくるか』
「彼には救いが足りないのです!神の教えをしっかり守り、彼が本当に、真の意味で救われればこのような事も起こりえません!」
…ダメだな、こりゃ。
『神父』
「はい?」
……シャル?
『こちらを注意深く見、隙あらば逃げようとしていたな。しかも、それを悟られないようにしている。ついでに言うならコイツ──黒だぜ?あぁ、状況から見ても、元勇者である亡霊としての勘でもそう言ってる』
…了解。
一応聞いとくが、こんな奴の改心の余地は?
『皆無。した所で確実に首狙ってくるな』
ん、分かった。
『神父、それ返せ』
そう言って俺は金剣を地面に突き刺し、右手を出す。
「はい、これでしょうか?」
そう言って俺へ俺の右腕を渡そうとする神父。
『そうだ、それだよ』
そう言って俺が受け取ろうとした瞬間。
千切れた右腕が跳ね、手にしたままの黒剣で神父の顔を斬りつける。
「なっ」「えっ」
神父と聖女サマが声を漏らす。
『チッ、外したか』
首を狙った一撃は狙いを大きく逸れ、神父の額を切り裂いた。
まぁ、流石に千切れた腕のみで仕留められるとは思っていないさ。
その隙にさらに踏み込み、聖女サマを追い抜き、左手が持つ黒剣で斬りつけるが、こちらは回避された。
「くっ…!」
神父が苦しい顔を浮かべ、床を大きく強く蹴る。
それだけで、常人には不可能な高さまで飛び上がり、更にそこから──左腕をかざし、魔法陣を生みだした。
「…今回は引き上げましょう。ですが、ゆめゆめ忘れないでくださいよ。私たちの見えない手が、あなた達の内側から食い破る事を」
そう言い残し、神父は消えた。
『…これで確定だな』
俺がそう呟く。
『あぁ、間違いない。疑いようもなく、もはや疑う必要すらない』
しくじったな…飛び上がった瞬間、黒剣を即座に投げておけば良かったか。
「あ、あなたは!!」
『…ん?』
聖女サマが詰め寄ってくる。
「あなたはどうして話し合おうとしないのですか!彼だってもしかしたら神の教えで改心し、私達の良き理解者になれたかもしれないのに!」
『……』
無言で頬を引っ掻こうとして…ヘルムをしていたことを思い出した。
まぁいいさ。呆れていることが伝わればいいんだから。
『……まぁ、解説はまた後で。…おいアーネ!警備の方はどうだった!?』
大声を張り上げ、アーネにそう聞く。
「問題ありませんわ!少なくとも、私がここに来るまでは!」
『上等!とりあえず、帰ろうか』
剣はたしかに振った。
だが、斬れなかった。
『退けよ、聖女サマ』
「いいえ、退きません!」
俺と神父の間に割り込んだ聖女サマが邪魔で斬れなかったのだ。
結果、俺は金剣を強引に手前に引き、地面を抉った。
『敵には死を。それが戦場での定石だ』
「いいえ!敵にも救いを!それが聖神教会の教えですから!」
馬鹿じゃなかろうか。
『今ここで始末しておかなきゃ、間違いなく後悔するぞ。それこそ、いつ寝首を掻きにくるか』
「彼には救いが足りないのです!神の教えをしっかり守り、彼が本当に、真の意味で救われればこのような事も起こりえません!」
…ダメだな、こりゃ。
『神父』
「はい?」
……シャル?
『こちらを注意深く見、隙あらば逃げようとしていたな。しかも、それを悟られないようにしている。ついでに言うならコイツ──黒だぜ?あぁ、状況から見ても、元勇者である亡霊としての勘でもそう言ってる』
…了解。
一応聞いとくが、こんな奴の改心の余地は?
『皆無。した所で確実に首狙ってくるな』
ん、分かった。
『神父、それ返せ』
そう言って俺は金剣を地面に突き刺し、右手を出す。
「はい、これでしょうか?」
そう言って俺へ俺の右腕を渡そうとする神父。
『そうだ、それだよ』
そう言って俺が受け取ろうとした瞬間。
千切れた右腕が跳ね、手にしたままの黒剣で神父の顔を斬りつける。
「なっ」「えっ」
神父と聖女サマが声を漏らす。
『チッ、外したか』
首を狙った一撃は狙いを大きく逸れ、神父の額を切り裂いた。
まぁ、流石に千切れた腕のみで仕留められるとは思っていないさ。
その隙にさらに踏み込み、聖女サマを追い抜き、左手が持つ黒剣で斬りつけるが、こちらは回避された。
「くっ…!」
神父が苦しい顔を浮かべ、床を大きく強く蹴る。
それだけで、常人には不可能な高さまで飛び上がり、更にそこから──左腕をかざし、魔法陣を生みだした。
「…今回は引き上げましょう。ですが、ゆめゆめ忘れないでくださいよ。私たちの見えない手が、あなた達の内側から食い破る事を」
そう言い残し、神父は消えた。
『…これで確定だな』
俺がそう呟く。
『あぁ、間違いない。疑いようもなく、もはや疑う必要すらない』
しくじったな…飛び上がった瞬間、黒剣を即座に投げておけば良かったか。
「あ、あなたは!!」
『…ん?』
聖女サマが詰め寄ってくる。
「あなたはどうして話し合おうとしないのですか!彼だってもしかしたら神の教えで改心し、私達の良き理解者になれたかもしれないのに!」
『……』
無言で頬を引っ掻こうとして…ヘルムをしていたことを思い出した。
まぁいいさ。呆れていることが伝わればいいんだから。
『……まぁ、解説はまた後で。…おいアーネ!警備の方はどうだった!?』
大声を張り上げ、アーネにそう聞く。
「問題ありませんわ!少なくとも、私がここに来るまでは!」
『上等!とりあえず、帰ろうか』
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