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本編
交戦と混戦 終
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超級魔法最強格の破壊力を誇るその魔法は、所謂禁術と言われる魔法。
学校の図書室にすら存在と名前、その魔法がどんな破壊をもたらしたかの記述しかなく、その魔法の術式や魔法陣の記載は一切無かった。
それどころか、不自然な程に文が消えており、神の力で強引に消されたのだと察しがつく。
しかしそれでも、断片的な情報は残っていた。どうやってそんなものを手に入れたのかは分からないが……曰く、その魔法。
数千の『────』を、この世から跡形もなく消し去ったと言う。
『────』と言うのが何かは分からない。察しはつくが、確証は無い。
だが、数千の何かを屠る──否、跡形もなく消し去ったというその魔法。それがもしあの本の記述通り、嘘が一欠片もない本当ならば。
そんなものをこんな閉所で撃っていい訳が無いのだ。
だが、その魔法は既に放たれていた。
「《形ある物、何れは消え去る》」
ネームレス。そう呼ばれた魔法は、無音、透明、無臭。五感に全く触れずにこの世界に異変をもたらす。
魔法を放った西学達の周り──足元や壁が、崩れ、塵となって虚無に消え始める。
『はぁ!?』「!!」「おいあれって!!」
範囲は球状に広がり、早くも西学の周り数メートルの範囲が消え、じきに範囲は十数メートルになり、数十メートルになるだろう。
『どういう事だ!?ありゃ《勇者》の第七じゃねぇか!!』
「そりゃ俺のセリフだ──ッッ!?」
危ない。空白がさらに広がってる。
「一回下がるぞ兄ちゃん!」
「あぁ…だが…」
バックステップで後退しつつ、視線は西学達のその前方へ。
西学達から、ほんの数メートル離れただけの位置にある《魔王》の花。
あの《ネームレス》の範囲内にあるはずの花が、何故か消滅する気配がない。あの花の周りの足場も消えない。
「障壁……?」
「障壁も掻き消されますわ……なんですの?あの魔法……?」
「よく見ろお兄ちゃん、それでもアイツらの魔法の方が押してる」
確かによく見れば、少しずつ床を削る範囲が増えている。このまま続けばじきにきっと花も範囲に入る。
だが間に合わない。
一つは西学達自身もまた範囲内にいるという事から。
つまり、奴ら自身も消えていっている。
服が布切れになり、爪が消え、皮膚が無くなり、血管が裂ける。少しずつだが、じきに姿形も綺麗に消え、そこで誰が何をしたのかなどまるで分からない。辺りにはただただ空白の空間が残るだけになるだろう。
流れる血すらも虚空に消えて行くその様は、生きながらに食われる苦痛と大差ない。それでも西学の奴らは魔法を止めない。痛みに顔をゆがめても。手足が末端から消える恐怖すらも押し切り、まだ魔法を張っている。
だがそれでも──間に合わないのだ。
花がついに完全に開いた。
学校の図書室にすら存在と名前、その魔法がどんな破壊をもたらしたかの記述しかなく、その魔法の術式や魔法陣の記載は一切無かった。
それどころか、不自然な程に文が消えており、神の力で強引に消されたのだと察しがつく。
しかしそれでも、断片的な情報は残っていた。どうやってそんなものを手に入れたのかは分からないが……曰く、その魔法。
数千の『────』を、この世から跡形もなく消し去ったと言う。
『────』と言うのが何かは分からない。察しはつくが、確証は無い。
だが、数千の何かを屠る──否、跡形もなく消し去ったというその魔法。それがもしあの本の記述通り、嘘が一欠片もない本当ならば。
そんなものをこんな閉所で撃っていい訳が無いのだ。
だが、その魔法は既に放たれていた。
「《形ある物、何れは消え去る》」
ネームレス。そう呼ばれた魔法は、無音、透明、無臭。五感に全く触れずにこの世界に異変をもたらす。
魔法を放った西学達の周り──足元や壁が、崩れ、塵となって虚無に消え始める。
『はぁ!?』「!!」「おいあれって!!」
範囲は球状に広がり、早くも西学の周り数メートルの範囲が消え、じきに範囲は十数メートルになり、数十メートルになるだろう。
『どういう事だ!?ありゃ《勇者》の第七じゃねぇか!!』
「そりゃ俺のセリフだ──ッッ!?」
危ない。空白がさらに広がってる。
「一回下がるぞ兄ちゃん!」
「あぁ…だが…」
バックステップで後退しつつ、視線は西学達のその前方へ。
西学達から、ほんの数メートル離れただけの位置にある《魔王》の花。
あの《ネームレス》の範囲内にあるはずの花が、何故か消滅する気配がない。あの花の周りの足場も消えない。
「障壁……?」
「障壁も掻き消されますわ……なんですの?あの魔法……?」
「よく見ろお兄ちゃん、それでもアイツらの魔法の方が押してる」
確かによく見れば、少しずつ床を削る範囲が増えている。このまま続けばじきにきっと花も範囲に入る。
だが間に合わない。
一つは西学達自身もまた範囲内にいるという事から。
つまり、奴ら自身も消えていっている。
服が布切れになり、爪が消え、皮膚が無くなり、血管が裂ける。少しずつだが、じきに姿形も綺麗に消え、そこで誰が何をしたのかなどまるで分からない。辺りにはただただ空白の空間が残るだけになるだろう。
流れる血すらも虚空に消えて行くその様は、生きながらに食われる苦痛と大差ない。それでも西学の奴らは魔法を止めない。痛みに顔をゆがめても。手足が末端から消える恐怖すらも押し切り、まだ魔法を張っている。
だがそれでも──間に合わないのだ。
花がついに完全に開いた。
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