1,027 / 2,021
本編
獣と剣
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『いいか?三大魔候の中で、直接的な戦闘で最も弱いのが産獣師だ。これは間違いない』
「へぇ、直接的な戦闘でってのはどういう意味だ?」
『文字通りだな。剣ぶん回すとか、ゼロ距離で殴りあったりとか、魔法とか魔術で戦ったりとか。まぁ、そう言う本人が出張って戦うなら間違いなく産獣師が一番弱い』
だと言うのに俺は軽くあしらわれたのだが……まぁ、疲れていたからだということにしておこう。
『あいつの真骨頂は、キマイラミストって呼んでるあの黒い霧だ。あれが変幻自在に変化してあらゆる魔獣に変化する。さらにあれその物が魔法や魔術のサポートをする杖の役割も兼ねてる。この二つを組み合わせて使う攻撃は、お前が見たことない技を見せてくれるだろうよ。初代の言葉を信じておくなら、産獣師にお前を殺す気は無いはずだが、一応教えておく』
「ってーとどんな?」
『そうだな──』
そこまで思い返した所で、俺の頬を掠めて鋭い爪が通過、一拍遅れて爪が描いたその軌道上が燃え上がる。
「これか」
『あぁ。産獣師のオリジナル魔法』
魔法獣。
魔法を込めた獣を生成し、その獣は魔獣を超える身体能力と尋常ではない威力の魔法を使う。
能力としては比較的単純だが、それ故に突破も困難。
「あら、余裕ね。あなた、今どんな状況かわかってるのかしら?」
「分かってるさ。充分」
俺を囲む三体の猛獣。赤の獅子、青の狼、緑の虎。
それぞれの行動そのものに魔法がかかっている、いや──起こす行動全てが魔法となっているのか。
「殺す気はないんじゃなかったのかよレイヴァーさんよぉ…!」
込められた魔力は尋常じゃない。もし受けても、多少は軽減されるだろうが──それでも魔法返しで相殺しきれる威力を超えている。
繰り出される攻撃を全て避け、逸らし、決して正面からぶつかり合うことはしない。
「どうしたの?まさかあれだけ格好いい事言っておきながら、全部ハッタリだったのかしら?」
「舐めんなよ…!」
三匹の獣の攻撃、その合間を突いてありったけの力を込めて右の黒剣を投擲。狙いはダルそうに立ち尽くしている──産獣師!
「あらこわァい」
しかしそれを、青狼が神速の勢いで咥えて止める。
そう、咥えて止める。
黒剣を──
『!?』
直後、ガジャアン!!と盛大な音を立てて青狼が頭を床に叩きつける。
「何っ!?」
赤獅子と緑虎が産獣師の声に反応してそちらを見る。当然──攻撃は一度止む。
「スキあり、だ」
反応したのは緑虎。
俺の右手には既に抜かれた金剣──
「《音狩》!」
ドッ、と。
謁見の間に広がった音は一度だけ。
俺の発動した戦技が緑虎の巨大な首を断ち切り、ごろりと転がって黒い霧になる。
「まずは一体」
「へぇ、直接的な戦闘でってのはどういう意味だ?」
『文字通りだな。剣ぶん回すとか、ゼロ距離で殴りあったりとか、魔法とか魔術で戦ったりとか。まぁ、そう言う本人が出張って戦うなら間違いなく産獣師が一番弱い』
だと言うのに俺は軽くあしらわれたのだが……まぁ、疲れていたからだということにしておこう。
『あいつの真骨頂は、キマイラミストって呼んでるあの黒い霧だ。あれが変幻自在に変化してあらゆる魔獣に変化する。さらにあれその物が魔法や魔術のサポートをする杖の役割も兼ねてる。この二つを組み合わせて使う攻撃は、お前が見たことない技を見せてくれるだろうよ。初代の言葉を信じておくなら、産獣師にお前を殺す気は無いはずだが、一応教えておく』
「ってーとどんな?」
『そうだな──』
そこまで思い返した所で、俺の頬を掠めて鋭い爪が通過、一拍遅れて爪が描いたその軌道上が燃え上がる。
「これか」
『あぁ。産獣師のオリジナル魔法』
魔法獣。
魔法を込めた獣を生成し、その獣は魔獣を超える身体能力と尋常ではない威力の魔法を使う。
能力としては比較的単純だが、それ故に突破も困難。
「あら、余裕ね。あなた、今どんな状況かわかってるのかしら?」
「分かってるさ。充分」
俺を囲む三体の猛獣。赤の獅子、青の狼、緑の虎。
それぞれの行動そのものに魔法がかかっている、いや──起こす行動全てが魔法となっているのか。
「殺す気はないんじゃなかったのかよレイヴァーさんよぉ…!」
込められた魔力は尋常じゃない。もし受けても、多少は軽減されるだろうが──それでも魔法返しで相殺しきれる威力を超えている。
繰り出される攻撃を全て避け、逸らし、決して正面からぶつかり合うことはしない。
「どうしたの?まさかあれだけ格好いい事言っておきながら、全部ハッタリだったのかしら?」
「舐めんなよ…!」
三匹の獣の攻撃、その合間を突いてありったけの力を込めて右の黒剣を投擲。狙いはダルそうに立ち尽くしている──産獣師!
「あらこわァい」
しかしそれを、青狼が神速の勢いで咥えて止める。
そう、咥えて止める。
黒剣を──
『!?』
直後、ガジャアン!!と盛大な音を立てて青狼が頭を床に叩きつける。
「何っ!?」
赤獅子と緑虎が産獣師の声に反応してそちらを見る。当然──攻撃は一度止む。
「スキあり、だ」
反応したのは緑虎。
俺の右手には既に抜かれた金剣──
「《音狩》!」
ドッ、と。
謁見の間に広がった音は一度だけ。
俺の発動した戦技が緑虎の巨大な首を断ち切り、ごろりと転がって黒い霧になる。
「まずは一体」
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