大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

結果と報告

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結果から言うと、俺達三人の中から留年者が出ることはなかった。
白封筒の中に入っていた合格通知書には「あなたは合格しました」とだけ書いてある紙が一枚、そして進級に関しての書類の束、それだけ。遺書?んなもん出してない。先生に思いっきり怒られたけど、意地でも書かなかった。理由は単純に気に食わなかったから。
アーネやシエルが合格できたということは恐らく、ラウクムくんやリーザ、一班のメンバーも合格できただろう。後で食堂に行ったらみんなとお祝いとお疲れ様を兼ねて集合でもしようかね。
「よ…」
「ん?」
「よかったですわぁ……」
そう言ってテーブルに突っ伏すアーネ。三人の中で最後まで封筒を開くのをためらっていたのがアーネだった。
まぁ、俺やシエルがさっさと封筒を開けてしまっただけなのだが。シエルに至っては俺のように封蝋を爪ではがすどころか封筒をナイフで切り裂いて開けてたし。お陰で大量の紙屑が出てしまったが、そのくせ中の書類とかは無事だった。
「ま、なんだ、進級出来て良かったな…ん?」
と。
アーネがすっと立ち上がって手をこちらに差し出してきた。
「また一年、よろしくですの」
「ん?あぁ。よろしくな」
出された手を握り返すが、ここに来たばかりの頃ならついでに魔法を叩き込まれていてもおかしくないぐらい嫌われてたのになぁ…なんて思っていたら、繋いでいた手にシエルが飛び乗って頬を膨らませ、シエルを忘れるなと抗議する。
「………ん!」
「はいはい」
一度手を離し、シエルを挟んで手を繋ぐ。
「これでいいか?」
「………ん」
少しだけ笑って答えるシエル。何が楽しいのか、そのまま足を曲げてぶらぶらと身体を前後に振り始めた。
しばらくそれに付き合った後、マキナがどことなく申し訳なさそうに俺を呼んだ。
『マスター・メッセージです』
「うん?…シエル、ちょっとごめんな」
「………ん…」
マキナのあの感じからして、あまり他人に聞かせられないような話の内容らしい事を察し、一応名前を聞いてみると、自然と眉間にシワが寄った。とりあえず部屋の外に出て、そいつと繋げるように指示する。
ノイズ音の後、そいつと繋がったメッセージは最初の数秒は互いに無言だった。
先に口を開いたのは向こうから。
『《緋眼騎士》、初の進級試験はどうじゃった?』
「何事もなく受かったよ。それがどうした《臨界点》」
別に敵対している訳じゃないが、こいつは何か裏がありそうであまり好かん。いつからそう思うようになったかは分からないが、自然と言葉の端に棘が混じる。
『そうツンケンするものではないぞ?別に大したことではないのじゃがな、
「それは…あれか、来週のアレの宣戦布告って取っていいのか?」
じわりと出る汗。しかしそれは否定される。
『いやいや、そんな事ではないぞ。大した事でもない。。他の一、二年の二つ名持ちにも伝えておいてくれんかの?』
「…は?」
俺がなにか答える前に、メッセージが突然切れた。
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