ヒアラ・キュアー

るろうに

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1章

13話 緊急事態発生?

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「えぇ!?お2人は5年以上も探索者やってるんですか!?」

「そうなんですよ~、前は3人でパーティ組んでたんですけど1人、途中で夢を追いかけるために抜けちゃった子がいて…」

スズハとマホロと名乗った2人は5年ほど前から一緒にパーティを組んで活動していたらしい。

あと1人いたんだ…その人は夢を追いかけるために1人になった…?もしかしてその人が英雄様の可能性もあるのかな…?

「マホロくん…さんはまだ若く見えるんですけど、5年前からなんて凄いですね」

「…?」

マホロは最初からずっと無口な感じであまり口を聞いてくれない

「あっ、ごめんなさいね、マホロは少し人見知りみたいなところあるので…。年齢はこう見えても19…20?ですよ」

「20だ」

「「20!?!?」」

年上じゃーーんん!!という顔のキュアーと向き合い同じリアクションをしているとノノも首を突っ込んでくる

「まぁ、だとしても15歳の時には探索者だったんですよね?探索者って社会人のイメージあったので素直にすごいと思います」

「ノノ!始めた年齢系は訳ありってさっき言ってたからあんまり深掘りしないで!失礼でしょ?」

「ふふ、まぁもう大丈夫だとは思いますけどね?ただその話はマホロが相当心を開いた相手にしか言わないので私達はそれ以上言わないんですよ」

「なるほど…スズハさん達って結構探索者の中ではエキスパートだったりします?さっきも能力の応用をすごい使いこなしてたように思えて…」

「うーん、どうなんでしょうね?Aランクの依頼は結構頻繁に要請かけられますけど…前の3人の時に比べたらそれも減りました。今も独自の調べで動いていましたからね」

「Aランクを頻繁に!?しかも自分達で受ける訳じゃなくて要請がかかるんですね!…その抜けちゃったもう1人ってどんな方だったんですか?」

もしその抜けた1人が英雄様だとしたらAランクをどんどんこなせるのも納得が行くけど…

「うーん、どんな…かぁ、現役の時は探索者の中でも群を抜いて強かったからみんなから英雄って言われてたわねぇ」

「英雄!?その人が魔王討伐したんですか?」

「魔王…?いいえ?その子はそれこそ当時は私達や人々を支え、引っ張ってくれたけど、本人は人の上に立つことが好きじゃなかったみたいでね…ある時、世界を支える7人の調停者の1人と会った時に力の対価として人々に一部の記憶を忘れられることを選んだ。私達はその場にいたから忘れてないけど今その子は探索者の過去だけ残してかつての栄光や実績を無かったことにしている。今は普通の社会人として探索者を支える仕事をしているみたいよ?」

「へぇ~、凄いですね、みんなから英雄と称えられるほどの実力なのに栄光や実績を無かったことにして生きてるなんて。」

その人が英雄として称えられるままに探索者を続けていたら、いずれ魔王を倒していたのだろうか

「その子の生き様を見せられたから私達も2人でも頑張ろうと決心し今日までやってこれたのよ」

「凄いですね!私達もそんなレベルになれるのかな?」

「すぐなれるわ、私たち以上のレベルなんて沢山いると思うわよ?最近依頼も減ってるし、お役御免なのかしらね」

なんだかんだ世界の広さを感じさせられたな…
Dランクでこんなに苦労してるようじゃまだこの人達の足元にも及ばない。頑張らなくちゃ!

「…スズハ。胸騒ぎがする。」

唐突に、じっとしていたマホロが口を開く

「あら、もうそんなに?…少し急いだ方が良さそうね」

スズハとマホロはすっと立ち上がりお金を机に置いた

「ごめんなさい。少し用事が出来てしまって今回のところはお開きにしちゃってもいいかしら?」

「あっはい!お金こんなにいらないですよ!?」

「うふふ、出逢いの縁の印に奢らせてちょうだい?もし借りが嫌って言うなら、次会った時に返してもらいますね?」

「わ…分かりました。」

「じゃーねー!スズハさん!マホロさーん!」

「スズハさん!腕の恩はきっと忘れません!」

3人が挨拶を済ませたところでスズハとマホロはカフェを出て行った。

せっかく仲良くなれたところだったのに少し寂しいな…

ふと横を見ると2人は寂しそうにしながらもどこかほっとしたような様子だった

「なんか2人大人しかったね?何かあったの?」

「え?いや、ヒアラすごいな~って思いながらだったよ、私とノノはもうビビっちゃってダメだったね」

「うんうん。さすがウチのリーダーだ!」

「なんのこと?それにいつから私がリーダーになったのよ!」

「まぁリーダーは置いといて、ヒアラほんとに何も感じなかったの?あの2人」

「ん?なにを?」

「多分私達が話しかけていいレベルの人達じゃない。格が違いすぎたよ」

「え!?そうなの?」

全然分からなかったー!なんか貫禄あるし昔話凄いから強そうとは思ってたけど!ノノとキュアーがここまで言うなんて!

「あの人達レベルが沢山いるとなると流石にビビっちゃうなぁ…」

「ごめん。なんか私だけぐいぐい話しちゃって。」

「いや、むしろ助かったよ。ありがとう!ナイス!」

「は、はい。」

少し落ち着いてから3人もカフェを出るとノノが懐から端末を取り出した

「そういえばヒアラ。これ、報告終わったから報酬貰えるよ。」

「え?なにそれ」

「ん?探索者用のタブレット端末だよ。探索者試験受かったあとの説明で聞かされただろ?」

そんなこと言ってただろうか?試験の後の説明は正直疲れてたのもあって、全く覚えていなかった

「あー!ヒアラが欲しいけど今の私達にはお金が無さすぎるから無理!って言ってたやつだよこれ、覚えてない?」

「…ん?あ!あー!あれか!え!?ノノそれ買ったの?謎に15万くらいするやつじゃん!よく買ったね!?」

「俺は逆に高くても必須だから買っといた方がいい感じで言われたぞ!?」

「そんな悪いセールスマンみたいなことアカネさんは言いません~!…ん?あれ、ノノが受けた時は受付がアカネさんじゃなかったんだっけ?」

「うん。そうだよ。アカネさんは俺の試験官だったから」

「あー、そっか!強かった?」

「そりゃあ!もうよく覚えてないけど凄かったよ」

「そうだよねぇ、確か剣聖?の典型だったよね」

「そうそう。めちゃ強かった。てかそうか、じゃあ2人は端末持ってないんだな。待ってね、俺の情報を2人と同じパーティーに登録してなかったから今後いつでもこの端末でいじれるように登録しとくわ」

「お!ありがとう!それは助かる~!じゃあ今後はその端末で依頼こなせばいいってことで!お願いねっ!」

ちょっとした事ではあるがこういう小さなとこでパーティを組んだ意味みたいなのが出てくるのはやっぱり嬉しい点だと思う。もちろん作戦の幅も広がるしね

「よし。これでOK!じゃあ完了にするね。ここで完了報告したら探検課から依頼主に連絡がいって確認後正式に受理される。そしたらヒアラのアカウントの口座に振り込まれるって仕組みだ。振り込まれてからの確認だけよろしく!振り分けはリーダーの自由だから任せるけど…お小遣い程度はさすがに分けて欲しいかな」

「報酬!?私の取り分6割でよろしくー!」

「するわけないでしょ。みんな平等に3等分。それでいい?」

「えー!私がトドメさしたのにー!」

キュアーは少しでも優越感に浸りたいタイプの性格なので少し不服そうだった

「探索者はここで報告後そのまま次の依頼を受けられるけど、もうなにか受けるか?」

あー、そうか!いちいち東京に戻る必要も無いのか。それは便利だ

「せっかくだしこの流れにも慣れないとね!やろうか!良さそうなのある?」

「ん~、なにがいいかな~Dランク行けたし、も1個上のランクいっても…」

ノノが端末を触っていた次の瞬間、端末から急にアラームが鳴り響いた

「!?な、なにこれ!?」

「画面が!」

キュアーが指さした画面の真ん中には緊急事態警報と書かれている

「緊急事態!?一体何が…」

そこまで話したところで端末より少し遅れて全員の携帯のアラームが鳴り響く。3人だけでは無い。街中の人々の携帯がなっている。

明らかな異常事態が起こっている…!!

戸惑う3人、がその瞬間ヒアラの携帯にコールがかかる。それは知らない番号だった

「で、出る…?」

ノノとキュアーに目配せをして確認をする。2人は恐れながらも出ようと頷く

「も、もしもし…」

「ヒアラさん!?良かった!ノノさんとキュアーさんもいますか!?」

「は、はい!!」

声の主は恐らくアカネさんだった
その声からはいつもの明るくて元気な様子はなく一刻も争う緊迫感を感じた

「3人とも…今すぐ逃げて!!」

そしてそれは、絶望へのカウントダウンの始まりだった。
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