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本編 第2章

あれから4カ月。

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借金まみれの人生に絶望した男[七宮生]。自殺しようとして不死身になってから約4カ月が経ち、彼はスタントマンという新たな職を手にしていた。

「あの採用試験からもう4カ月か…俺もスタントマンとしてようやく波に乗ってきたところだな。」

事務所で1人黄昏ていると1人の男が部屋に入ってきた。
「おぉ、七宮居たのか。今日もまた筋トレか?」
「まぁな、もともとヒョロいから早く鍛えて肉付けないと。」
「でもそんな鍛えなくても【鋼鉄の身体アイアンマン】って呼ばれてる程、お前は体が超人的に頑丈じゃねえか。」
「いやぁ、でもやっぱり外見も大事だからな…」

生と話しているのは、あの採用試験で生と同じく合格し、採用された男[高原 剛]。筋骨隆々で運動神経も良い。そして性格も穏やかで生と気の合う同期の仲間だ。

「七宮はスゲェよ。俺なんてやっと危険なアクションも出来るようになって来たってのに、お前は最初の仕事から 蹴り飛ばされてビルの4階から落下とか、ぶっ飛んでるもんな!はっはっは!」

「あれ結構怖かったんだぞ?窓ガラス割れたの体に刺さったし!」

「いやでも、ケロッとしてたじゃねぇか!」

「ポ、ポーカーフェイスだよ!(やっぱり不死身だなんて言えないな…)」

生は自分が不死身だという事を誰にも明かしてはいない。死なないのを良い事にスタントをしているのがバレたら、真面目に体を鍛えて、恐怖と闘っている仲間達から白い目で見られると思ったからだ。ましてやそれが公になればマスコミやら研究者やらが放って置かないだろう。

「【鋼鉄の身体アイアンマン】か…。」


ようやく職を得て、不死身の力で活躍し、お金に困らなくなった生は、特別な力を持つ自分の存在に疑問を持ち始めていた。
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