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本編 第2章

発想と静寂した世界。

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吹き飛ばされた生と剛は瓦礫の山目掛けて落下している。

「うおおおおおお!死ぬ!死ぬ!七宮!助けてくれえええええ!!」
大男とは思えない程情けない声を上げて絶叫する剛。

「不死身の俺に出来る事っ…」
その時生は1つのアイデアが浮かんだ。

「剛!手を貸せ!!」

「お、おうっ!!」
生は思い切り手を伸ばす。そしてその手に剛も手を伸ばして掴む。

「うおおおおおおおおっ!!回れぇええええっ!!」

掴んだ手を思い切り体ごと引っ張りそのまま勢いは加速し、2人は宙でぐるぐると縦回転。

「酔う酔う酔う酔う酔う~っ!!」
「剛!歯を食いしばれ!行くぞっ!」

「うりゃあああああああっ!!!」

ブンッ!と生は遠心力をつけたまま真上に剛を全力で放り投げる。その勢いで生は真下へ飛ばされる。

勢いを増した生は猛スピードで瓦礫の山を目掛けて落下していく。

ドゴンッ!!!!ガラガラガラッ!!


そのまま瓦礫の山と衝突。その衝突によって瓦礫の破片が、生の体に幾つか刺さった。
「うっ!刺さってる!…でも痛くないな。

…そんな事よりマット!マットはどこだ!!」

生は瓦礫の山を見渡して爆発で吹き飛んだマットを探す。その間も上空からは剛が悲鳴を上げて落ちてきている。しかしどこを探してもマットは見当たらない。

「くっそぉ、見つからねぇ!

…こうなったら、俺が直接受け止めるしか…」

覚悟を決め、生が落ちてくる剛を見上げたその時。

パチン!

どこかで指を鳴らしたような音が聞こえた。

その途端に聞こえていた全ての音が止んだ。

静寂な世界、しかも生以外の全ての生命体、物質の動きが止まっている。勿論、落ちてきていた剛も宙で静止している。


「!?なんだ…これ…時間が…止まった?」


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