異世界で俺はチーター

田中 歩

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{第七十八話} スリーアウトチェンジ

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「そういえば、さっき赤いヤツを倒した技って...」
つい最近何処かで見たことがあるような。
「この前のパーティーで、確か~ヘロンだったかな?その子が使ってたワザをオマージュしてみた」
オマージュだってよ、パクッたって正直に言われた方がすがすがしいな。
「パk、オマージュした感想は?」
「なかなか悪くないワザだ。魔力効率なんかをうまくやれば、同時に二、三人を一度に相手できるかもしれないな。お前には魔力効率なんて関係ないか」
おじさんはオレの方を見て笑った。
確かに、魔力が無限なオレには関係の無い話だな。
「んで、この肩はどうするんだ?すっごく痛いんだが?」
オレは左手で自分の右肩を指差した。
「おかしいな、そのスーツだったらあれ位の攻撃ではスーツ本体や装備している本人にも何の被害も無いはずなんだけどな」
おじさんはオレの肩を見て首をかしげた。
「いやいや、現にオレの肩が脱臼と言う被害を受けているんだが?!」
おじさんは何かひらめいたらしく、手を叩いた。
「分かったぞ!」
おじさんはそう言うと、ポケットからスマホを取り出し、オレのスーツのボダンをダブルタップした。
「何してるんだ?」
おじさんはスマホをみて、なにやら納得している様子だったが、オレのは一切分からない。
「おっと、すまんすまん、まずはこのスーツの説明をしないといけないな。このスーツには防護能力が色々あって、例えば「毒耐性」「燃焼耐性」「物理防御」「魔法防御」「ダメージ吸収」「HPプラス」等々様々あるのだが、その中の「衝撃吸収」が無効だった見たいだ」
おじさんの中では、問題が解決したらしいが、オレの中の問題は解決したが、新しく出来た。
「無効になっていたって、どういう事だ?」
「そのスーツは元々は俺が使っていた物で、少し縛りプレイとしていくつかの効果をスマホで無効化していて、そのまま昌に渡しちゃったんだよね。ちなみに今ほとんどが無効になってた効果を有効にして置いた」
おじさんは「うっかり」と言った感じだが、そのうっかりの代償が肩の脱臼って、大きすぎるだろ。
「大体分かった、有効にしたって事はもう大丈夫なのか?」
オレの質問を聞いたおじさんは首を横に振った。
「いや、大丈夫ではない。このスーツは魔力がないと、効果を有効にしても効果が無いんだ。魔力はそれそれの効果一つずつに必要で、魔力を消費して効果を発動させる」
「なるほど理解。で、魔力はどうやってスーツに入れるんだ?」
おじさんはため息をついた。
「そこなんだよな~。少しややこしいから、簡単に説明するが、効果にはそれぞれバッテリーがついていて、そこに充填された魔力を消費して効果を発動するのだが、問題はそのバッテリーを充填する方法なんだが、それぞれのバッテリーは大きなメインバッテリーにすべてが接続されていて、そこから魔力を吸収して充填する」
「で、その大きなバッテリーの充填方法は?」
「少しでも消費したら、勝手に自動で装備した人間から吸い取るが、今回は俺の縛りプレイの一環でフル充填して、その吸収の機能を「オート」から「マニュアル」に切り替えてたんだよね~」
「以上の事を踏まえた上で簡潔に説明すると?」
「効果を無効化した上に魔力が切れていて、魔力の補充も切っていた」
オレは無言で自分の肩を指差す「これはどうしてくれるんだ?」と言った表情で。
「すまんやで」
「ええんやで」
おい、汚いぞ!
すまんやでってきたらええんやでって答える一連の流れを利用しやがって。
「ちなみに、他のサブバッテリーもほぼ充填がゼロに近かったし、サブバッテリーには優先順位が設定できて、その優先順位の上から順番にメインバッテリーから魔力が充填されていくんだが「衝撃吸収」は結構下に初期設定で設定されていたりする。結果、充填がオートになってっても「衝撃吸収」のバッテリーが充填されるのは最後だったって言う...」
結論から言うに「効果の無効化」「魔力切れ」「補充がマニュアル」、スリーアウトチェンジですよ!
いやまて「優先順位が最下位」もあるのか、おしまいだよ。
「で、オレの肩はどうするんだ?」
「このままだと色々と支障が出ると思うから、取り合えずはめるか。一度脱臼したら癖になっちゃうから、そこらへんの処置はネラに任せるか」
「理解」
「今からはめるけど、ちょっと痛いかもしれないが、我慢しろよ?」
「おk」
そう言うとおじさんは、オレの肩を一瞬ではめ、元に戻した。
まぁ、すっごく痛かったけど。
その後、雑談をしつつダンジョンの出口に向かって歩いていると、出口から地下二階への階段までの通り道に出たのか他の冒険者に出会った。
「お、キョウイチじゃないか。どうしたんだ、そのクリスタル二つは?」
けっこうおじさんな冒険者は後ろから大きなリュックを背負った青年が付いてきていた。
「また、そのパッカーの子を雇ってるのか。当たり前だが、ひどい扱いとかはしてないよな?」
おじさんが冗談げに聞くと、冒険者は笑って答えた。
「そんな、まさか。こいつはオレの相棒だ!」
そう言うと、パッカーの少年と肩を組んだ。
オレの目には、男同士の友情がそこには見えた。
どっかの小説原作のアニメでそんな役割の女の子が、荒くれ者の冒険者にいじめられ、そのいじめを終わらせるために主人公を騙して、武器を盗んだりしてたな。
そんな関係に比べこっちの二人の関係は良好と言えるだろう。
「で、そのクリスタルは?」
「透明な方は、ショウがミノタウロスを倒して手に入れた物。赤い方は、オレが倒したレッドタウロスから出てきた物だ」
「そんなに深くまで潜ったのか?たしか、レッドは25階位まで行かないと出てこないだろ?普通のヤツも15階層は超えないと出てこないからな」
冒険者は赤いクリスタルを指差し、首を傾げた。
「1階層でも出るだろ?一応」
おじさんが笑いながら答えた。
「確かに一応出るな。いや、一応どころか出ないと言っても過言では無い位の確立ってキョウイチも言ってなかったか?」
「確かに、昔検証した時には「出ないと言っても良い位の出現率」と言ったが、出ないとは断言していないからな、出てきてもなんらおかしい事は無い」
「確かにそうだが...」
え、オレはそんな微少数な確立を引いたのか?おいおい、ガチャの星五排出確立である数%を十連を引いても、まともに引けないオレが、ミノタウロスのとんでもない確立を引くなんて。
そんな事を考えておじさんの後ろを歩くオレにおじさんは振り向いた。
「昌にレッドの出現確率を分かりやすく説明すると、ガチャを十連してピックアップでもなんでもない同じ星五キャラを十体出すくらいの確立で、ノーマルのミノタウロスは半分の五体が同じ星五キャラが出るくらいの確率だ」
分かりやすい説明ありがとう、お陰でさらに今、絶望しているよ。
ちなみに、冒険者は「何それ?まぁ、いっか」と言った感じで、おじさんがこの世界の住人がいるのにそんな例え話をした理由が分かったきがするよ。
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