異世界で俺はチーター

田中 歩

文字の大きさ
上 下
98 / 124

{第九十六話} X軸 Y軸 Z軸

しおりを挟む
ネラが射撃練習場でWHBを使っている裏でネイは自室のベットで枕に顔を埋めていた。
「私は昌くんになんて事を...」
どうやら昌の腹部を殴って首を絞めた事を思い出して後悔しているようだ。
「さっきはいつも通り普通に話せてたよね?違和感無かったよね?昌くんは気にしてない見たいだったけど。その優しさが逆に、どうしたらいいの?。明日も普通に接せれる自身が無いよ」
ネイは枕にしばらく顔を埋めていたが、そのまま寝てしまった。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

一方、昌は特に何も考えずベットでしばらく寝転がってスマホをいじった後、寝てしまった。
ネイが勇気を出して謝ろうと部屋を訪れたが遅かったようだ。
静かに昌の近くに行き、寝ている昌に聞こえないと分かっていながらもとても申し訳なさそうな様子で
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。昌くんは優しいから謝っただけで許してくれるのかもしれないけど」と謝って部屋を出て行った。
ネイが部屋を出て行った事を確認し、昌は静かに目を開いた。
まさか、ネイがそこまで思っていたとは。何かしないと罪悪感に押しつぶされてしまわないか心配だ。
こういった場合は何かしら形だけでも罰を与えればいいんだろうが、別にこれと言って思いつかない。
ネラに相談してみるかと、思いつつ深い眠りに着いた。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

翌日 早朝
国王が馬車に乗って通るルートを下見して、敵が狙撃ポイントに使いそうな場所をピックアップし、見つからない位置にミニメイドを一人監視役として待機してもらった。
パレードの時間が近づくにつれ、それを見物せんとする群集達が集まってきた。
騎士団は国王の周囲を中心に護衛をしており、ルートの周りには制服を着た警察官が立っている。
姫様のパレードの時は立っていなかったのは何故だろうか?
「あのパレードの時は警察の組織改革をしていたため、動員する事が出来なかったんです。そのため京一様自ら護衛役に回ったわけです」
確かに、あの時はおじさんやネラ達と一緒にオレ達で護衛していたからな。
異世界最初のビックイベントだったから、結構覚えている。
指定の時間も近づいたため、ブルーキャッツに向かった。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

店内に入ると、マスターがコーヒーを入れている。
「来たな」
「はい」
タバレはカウンターに座ってコーヒーを飲んでいた。
マスターが指を耳に当てて誰かと話し始めた瞬間大声を上げた。
「何っ!?パレードの時間が早まった!」
「聞いていただろう。どうやら早めに出ないといけなくなったみたいだ」
マスターが淹れたコーヒーを飲みたかったが、残念だ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「時間が無いから急ぎで説明する。これがパレードのルートが書かれた地図だ。宮殿から出発し、帝都の中央広場を通って再度宮殿に戻って終了する。当然狙撃ポイントとなりうる場所には複数の警官が配備されていて暗殺者が入り込む隙は無い。また、国王が乗った馬車にはもちろん会場の至る所に騎士団員も配備されている」
机の上に広げた帝都の地図にはパレードのルートを示す赤い線が書かれている。
そこにネラ達と絞り込んだ狙撃ポイントになりうる場所を示した地図を開いた。
取り合えず最初はパレードの開始地点と終了地点、中央地点にネラとオレ、ネイが待機している。
ミニメイドの反応がありしだい、そのポイントに行けばいいだろう。
店を出て、パレードが行われる通りに出ると、人が道の左右に集まっていた。
しばらくパーレドの見物人を見ているとミニメイドの一人から連絡が入った。
連絡のあったミニメイドの場所へとオレ達は急いだ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アルキメデス議員とあの崖にいた男二人がパレードの映像を見ている。
「いよいよですね」
「ハネット国王、貴方の死はこの国の新しい夜明けになる」
足を組んで座っているペックス議員はパレードが始まり集まった民衆に馬車から立ち上がって手を振っている国王の顔を見て不敵な笑みを浮かべている。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

とある屋上と思われる場所で双眼鏡を覗きニヤニヤとタバコをくわえている男がいた。
その男の隣に置かれた椅子の上にはとても大きな弓が置かれている。
とても精度が良く、通常の弓に比べて遠距離を狙えそうだが、限界はあるだろう。
何か超遠距離を狙える位の秘策はあるのだろうか?

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 

ミニメイドの視覚情報をスマホに表示するとパレードのルート方向へ弓を構えた男の姿があった。
「居たぞ、殺し屋だ!」
ミニメイドには少し殺し屋が居る位置から少し離れてもらい、ミニメイドをポイントにしてテレポートを使って移動した。
背後から殺し屋に近づき、GOSの剣で切りかかるが手ごたえが無かった。
それもそのはず、地面に倒れた殺し屋はダーミーの人形で、地面で真っ二つになって転がっている。
「くっそ!」
オレは人間を蹴り飛ばした。
この場所以外のミニメイドは一切反応が無いと言う事はそれ以外の場所になるわけだが、何処だろうか。
辺りを見回すと、大きく高い見張り塔のような建物が建っていた。
場所的にはパレードルートから大きく離れていて、ネラに聞いたがどんな遠距離狙撃に対応した弓を用いてもこの距離で対象を正確に打ち抜く事は出来ないらしい。
しかし、メガネを使って塔の最上部を見ると、人形を同じ人影があった。
わざわざそんな所に人形を置く意味は無い、とすると人形ではなく本人の可能性が高い。
今は使われていない塔で人が居る事自体がありえないらしいので確定だ。
ネラにテレポートをしようと提案したが、どうやらそれは不可能らしい。
理由としてはテレポートは正確な座標を指定する必要があるらしく「X軸」「Y軸」「Z軸」の三点を指定しないといけないらしい。
さっきはミニメイドをポイントにすることでテレポートしただけのようだ。
塔には普通に行くか。
しおりを挟む

処理中です...