宇宙SFモノに転生?普通、異世界転生って中世風ナーロッパで剣と魔法じゃないのかよー⁉︎

ノデミチ

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厄介事は続いて

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「相変わらず大活躍らしいな」
「貧乏、暇なしさ」
「売れっ子のお前さんが貧乏なワケねぇだろ?」

 タルマンド星系第4惑星デルタイル。
 最終目的地のデルタ宙港に荷を降ろし、依頼達成書と配送料を受領した俺は、次の依頼までの間で、船のメンテナンスを行っていた。

 前面パネルにウインドウが開き、映し出されたのは組合コープの窓口職員ビリー。メンテ手続きとかの打ち合わせだ。

「それにしても、帝国にG$ギドルを払わせるなんてなぁ」

 G$ギャラクシードルは確かに銀河標準信用単位なんだけど、帝国はどちらかというと仮想通貨エネルや帝国ユーロが主流だ。まだ王国系列の方がG$が流通してる。

 で、思うんだ。
 コレ、ホントに異世界なのかよ。

 いや、まぁ、確かにゲーム世界内なのは間違いないんだけど。言葉はアルファベットABCだし、暦にしろ長さ重さ時間の単位にしろ、現地球と全く同じだし。
 その意味では、やっぱゲームなんだなって思う。細かな世界観より分かりやすい大雑把さ。
 何せ傭兵のギルドが組合コープ連合ユニオンって言うんだから。

 世界観としては、西暦3025年頃ってトコか?他のロボットゲームがその位だったけど、その辺りの設定をパクったって噂があったんだよ、このゲームは。
 でも、地球の存在なんて無いし、人類発祥の星は『伝説の星エルデン』ってなってるし。現在は帝国辺境の星系らしい。というのも遺跡らしいものがあるけど、とても人は住めないのでは?と思える地表の惑星しか、その星系には存在してなくて。

 まぁ、俺等が生きる分には何の問題も無いけど。
 そんな物思いの最中。再びビリーから問いかけられて。

「でさ。何でも海賊生傷ブルーザー一家の拠点に軍の強襲があったってよ」
「早ぇ~な」

 流石フロスト先輩。
 拠点が解るや否や、速攻で強襲かけたんだ。

「それが物資拠点だったらしくてさ。かなりのレアメタルや武器弾薬、財宝が有ったらしくって」
「それはまた。海賊にとって厳しい結果になったワケだ」
「あぁ。生傷男ブルーザーは相当激怒してるって話だ。何でも、その元となった傭兵をブチ殺すって息巻いてる」
「…、それが言いたかったのかよ」

 その傭兵が俺だって事、百も承知の筈。

「って、何の与太話だよ」
「ちぇっ。ビビリもしねぇ」

 生傷男ブルーザー程の大物ならば、俺を襲撃して返り討ちにあった部下達を「無能!」と捨てこそすれ、傭兵俺個人に恨みを募らせる事はない。
 個人傭兵は、場合と状況によっては海賊と手を組む事もある。大っぴらには出来ない話だけど、多少の裏取引位は有るんだ。
 で、俺自身、生傷男ブルーザーと面識がある稀有な傭兵な訳で。
 何せ、こちとら皇家皇女とも繋がりのある傭兵なんだから。海賊がちょい隠蓑に使うにも便利だと言う事で。
 明らかに非合法な事は手を貸せないけど、まぁ、多少のグレーゾーンは有るからね。

「メンテはいつまで」
「リチウム鉱石の補充もあるし、ワープエンジンの調整もしたい。3日は欲しいね」
「あー、8番駐機場は空いてるか。そのままでいいぞ。予約入ってるの、5番までだから」
「ありがてぇなぁ」

 そんなやり取りの後、俺は船の機関室へ。

「鉱石はいつ届くって?」
「明日と聞いている。少し光量子変換比率を変えようと考えている」
 船のAIの自己メンテナンス。専属の機関士がいない以上、俺はAIに頼るしかない。
「スピードが上がるのか?」
「指定速度への到達過程が0.6%上がる」

 ワープ5が6とかに上がる訳じゃない。
 でもワープ1へ速く到達するというのは、決して馬鹿に出来る話じゃない。

 そのコンマ数秒が生死を分ける。それが宇宙航海なんだ。この事を笑う奴に、宇宙船乗りの資格は無い。

「タルマンド星系のリチウム鉱石は純度が高い、とても良質なモノだ。それだけでも僅かにエンジンの調子は良くなる」

 プログラムが目まぐるしく計算している。それに伴い、変換比率や混合配分が変わっていく。

「待て待て。その混合配分、過激過ぎないか?」
「君はどうも危険の度合が高い傭兵と認識せざるを得ない。だとすれば多少ピーキーでも出力の上がる配分にするのが理想的だ」

 危険度が高いって…。

「此方は、各データによりそう認識している。困惑されるのは、君達の言う『』と表現出来ると思うのだが…。おっと、ボビー。外線で直接通話が来ている」

 前面パネルにウインドウが開いて。

「よぉ。こないだはウチのバカ共が世話になった様だなぁ」

 その由来となった、顔の左こめかみから鼻筋を通り右頬へと連なる、見た目にもコッチが痛くなりそうな傷跡を持つイカつい男~生傷男ブルーザーだ。

「火の粉を払っただけだ」
「は。別にテメェをどうこうって言う話じゃねぇよ。が、ちぃとな。軍に押収された物資ブツの中に、カタギに関わる取引物が有ってなぁ」
「まさか、取り戻せって?」
「いや、取り戻す算段はついてる。が、そいつを運ぶ手が足りなくてなぁ」
「アシはつかないんだろうな」
「カタギが関わってるって言っとろうが。ソイツの方から軍に手を回させた。お前さんは、ソイツの依頼で動いて貰えりゃいいんだ。なぁ。借りを返すと言う事でな」
「アレを借りって呼ぶ訳?あー、もう、わかった。動くよ」

 ニヤリと笑う生傷男ブルーザー
 これほど迫力のある微笑も珍しいって思うよ。

「シレジアターミナルでブツを受け取り、ナトレイユ公爵領ランド星系ダルゴバへ届けてくれりゃいい。月末迄に頼む」
「月末か。わかった。何とかする」
「頼んだぜ」

 シレジアへ戻ってランドまで。
 此処で3日も機関メンテやるのは、少し厳しいかもしれない。
 が、どのみちリチウム鉱石が来ないとワープエンジンが稼働しない。今のままでは、途中で燃料不足ガス欠になるのは明らかだから。

「どうして、こうも厄介なフラグが立つんだろうな」

 ため息しか出なかった。
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