詩集「セカンドムーヴメント」第1小節

緋熊熊五郎

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068 山小屋

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068 山小屋

「山小屋」
煙草を吸おうと八合目避難小屋を一歩出ると
激しく風が吹き荒び、なけなしの体温を一気に奪い去る
午後七時、岩手山、標高1,770m
闇の帳が落ち、見えるはずの満天の星も雲に遮られている
真夏だというのに寒さで身体が震え
歯はガチガチ鳴り、煙草を咥えることさえできない
慌てて小屋に戻ると温(ぬく)い空間が私を包み込む
風を防ぐ屋根、壁があり、暖かなストーブがあり、毛布に潜り込む
小屋は私をあやし、私は山を駆ける幸せな夢を見る
.
目覚めて朝食を摂り、社会に一歩足を踏み出すと
やはり激しく風が吹き荒び、僅かな活力を奪い去っていく
濁流に翻弄される木の葉のように一日の作業を終える
闇の帳が落ち、息も絶え絶えの星が微かに瞬く時
ポエトリーカフェでは心地よい空間が私を出迎える
言の葉は屋根、壁であり、人の心はストーブ、毛布である
カフェは私を癒し、私はイメージを操る幸せな夢を見る
(opus068)
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