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第一章『それは、新しい日常』
第二十話「星空」
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「地獄のような痛みだったね。視覚的にもあれはトラウマものだった」
「まさか、お前の力って...」
「そう、国王に打ち込まれた薬のせいさ。後になって調べてみたけど、イデンシカイヘンってやつみたいだよ。詳しい事は難しすぎて分からなかったけど、今の僕の身体半分魔族さ」
そういってシオンは手を広げ、冗談めかして肩をすくめた。
しかし、すぐに再び前を向き遠くを見つめる。
遺伝子改変だと!? ファンタジー世界になんてもん持ち込んでやがる。俺と同じ転生者か?
「次に目覚めた時、すべては終わったあとだった。自分の身に何が起きたのかもわからないまま、アリアを人質に取られ、勇者として送り出されたんだ」
「その...妹さんは今も?」
「うん、帝国の地下牢に囚われているよ」
「そうか...」
助けに行かないのか? 次いで口に出そうなった言葉を慌てて飲み込む。
行けないから今もこうして苦悩しているのだろう。たしかにシオンの力は圧倒的だった。しかし、事が終わった後にはあまりにも無力だ。
なにせ、シオンには薬を打たれて気絶をしてしまい、空白の時間がある。それがあまりにも痛手だ。
「今でも思うよ。もしあの時気絶していなければ、自分の得た力に気づいて行動をおこせていたらって」
「そうだな...。けどそれは」
「わかってる。ありもしない仮定の話さ。あの時の僕に、気絶を免れる手段なんてなかった、自分の身体の変化に気づくすべもきっと無かった。それでも――」
自分の手を握り締め俯くシオンの表情は分からない。
「ちなみに、その妹さんの解放条件はなんだったんだ? 魔王討伐じゃあないんだろ?」
「うん、僕が提示させられたのはあくまで戦争を止めることだよ。まあ、国王の方は魔王を倒してこいって意味でいったんだろうけど、それを汲んであげる必要はないからね。それに魔王を倒しても戦争が終わらないんじゃ、僕はまたアリアを人質に戦場に駆り出される。それじゃあ意味がない」
たしかに、話を聞いただけだがその国王とやらならやりかねない。そもそも言うとおりにして助かる保障なんてないもんな。
「なら無理やり助け出す方法はあるのか?」
「国王の部屋にはられている結界を破り侵入。そして、国王の指にはめられたアーティファクト〔時の爆薬〕を無力化するんだ。あのアーティファクトの効果で、アリアに着けられた首輪が遠隔操作で爆発するようにされてる」
「それ、その妹さんのとこに直接とんで解除を試みればいいんじゃないか?」
「ダメだよ。解除を試みた瞬間に爆発するようにされてる。だから、確実な方法としては遠隔操作するアーティファクト本体を無力化するんだ」
なるほどな。ん?待てよ?
「首輪の方はどうするだ? それだと首輪だけ残ることにならないか?」
「うん、できれば外したいんだけど、そっちの方法はまだわかってないんだ」
シオンはお手上げだとばかりに首をふる。
いろいろと、厳しいだろうな。いずれにせよ、なんとかできるとしたらやはり――
「イブかリリィーに頼むしかないか」
「そうだね。でも僕は二人を頼るか気は無いよ」
「どうしてだ? もしかしたら助かるかもしれないぞ?」
あの二人は魔法やスキルが豊富だからな。何かしらの手段があってもおかしくない。
しかし、俺の提案はシオンの鋭い眼差しとともに却下された。
「そのもしかしたらに、僕の大切な家族の命を任せたく無いからだよ。助けるなら僕自身の手で確実な手段を手に入れてからさ」
その言葉に俺は何も言い返せなくなる。たしかにその通りだった。他人に大切な人の命預けるなんてしたくない。ましてや自分がその状況をゆるせないだろう。
「そういうわけだから二人にはまだ内緒で頼むよ」
「ああ、わかった」
「それじゃあ、そろそろ戻ろうか。イブもそろそろお風呂から戻るんじゃない?」
二人は立ち上がり屋根の端へと移動する。
「そうだな、あんまり遅くなると... って、おいなんでイブが風呂なの知ってんだ」
「いや、君に会う前にすれ違っただけだって、そんな怖い顔しないでよ」
シオンは呆れ顔でそういうと、軽く床をけり飛び降りていった。
「ならいいけどよ」
シオンにならい俺も飛び降りる。薄暗くて見辛いが降りる先は丁度玄関になっているはずだ。
「ユウキ、キミってもしかして結構独占欲強い?」
「...別にそんなことはねーよ」
「はははっ。素直じゃないね」
落下中にも関わらず、シオンは器用にも会話を続けてくる。舌を噛んでもしらないぞ。
いよいよ地面が近づいてくると、何やら人影が見えた。少々疑問を覚えるも、今日到着した魔族だろうとあたりをつけ、そのまま落下する。というか、落下中なので今更どうしようもない。
俺とシオンは着地と同時に膝を曲げ、衝撃を殺しながら地面に降り立つ。何気に初めてこの高さから降りたのだが上手くいって何よりだ。
「きゃっ!?」
「...!?」
きゃっ?
予想外に高い声に顔を上げると、そこにいたのはイブとリリィーの二人だった。
「びっくりした」
余程驚いたのか、リリィーが随分と気の抜けた声をだす。
まあ、上から人が降ってきたら当然か。
二人とも頰が火照っていることから風呂上がりだということがわかる。まさか、一緒に入ったのだろうか?
うらやまゲフンゲフン
どちらも薄着の寝巻き姿で、なんだか色っぽい。イブのほうなんか、だぼだぼの服を着ているせいで肩がでている。
そこまで見た瞬間俺の身体は咄嗟に動いた。
「うわっ!」
そして次には、上体をそらしてイナバウアーしているシオンと、手をチョキにして突き出している俺の姿が出来上がった。いわゆる目潰しというやつだ。
「ユウキ、さっき素直じゃないっていったけど、やっぱり取り消すよ」
「すまん、見せられないよってかんじだったから、つい」
「なんだい? それ」
ちょっとした暴走があったが、その後はイブに「めっ」とされて、ようやく話が出来るようになった。
「お前らそんな薄着で寒くないのか?」
先ほど言った通り二人ともパジャマなるものを一枚きただけだ。とても外を歩くような格好ではない。冬のような季節ではないが夜になるとそれなりに冷え込んでくる。俺もコートがなければ相当寒い思いしただろう。
「私は魔法でちゃんと防寒対策してるから大丈夫よ」
「私も... スキルある...」
...ほんと便利な奴らだな。
「それより、どうして上から降ってくるのよ」
リリィーの当然の疑問に、俺とシオンは顔を見合わせて笑う。
「男同士の話ってやつだな」
「へ、変態!」
顔を真っ赤にして叫ぶリリィーだが、男同士の話ってだけで、そういう発想に至るほうが余程頭がピンク色だろう。シオンの昔話を喋るわけにいかないので、勝手に勘違いしてくれる分には助かるが。
「で、お前らは?」
「ちょっとした散歩...」
「散歩?」
こんな夜の時間に?
これはあれか。女の子同士の話をというやつだろうか。俺たちのように内緒話でもある可能性もある... なら先に部屋に戻ってるか。寒いし、第2回戦は勘弁だ。
「それじゃあ、一緒に行く?」
「えっ」
「なによ? 特に用事もないんでしょ?」
~~~~~~~~~~
リリィーとイブについて行くと、そこは昨日の昼間にピクニックと称してやってきた小さな丘だった。二人が寝転ぶのにならって、俺とシオンも草むらに倒れこむ。
「はぁー」
深いため息をともに空を見あげると満点の星空が広がっていた。どの星も青い光を含んでおり日本で見ていた時の星に比べ随分と明るく感じる。
こんなにきれいなものなんだな。
「疲れた...?」
「そうだな。こっちの世界での出来事は俺にとってあまりにも濃すぎる」
星を見るのは初めてではない。首都圏に住んでいたわけでもなく、見上げれば多少の星空が見られるような環境ではあった。子どもの頃、七夕に天の川を見ようと家を飛び出しては、ぼやけた夜空を眺めたのがなつかしい。
歳を重ねるにつれ、どれだけ快晴だろうと「ここではこれ以上きれいなものは見れない」と知ってから見上げなくなったが、こんな機会が訪れるとは。
「何ニヤニヤしてるのよ」
「別に。というか魔王さん。恥ずかしくてシオンの顔見れないからって、俺の顔覗くのやめてもらえません?」
「は?/// 私はそんなっ///」
「リリィー...顔赤い...」
「ちょっとイブ! なんでこの暗闇で見えるのよ!」
「うわ、ほんとだ。冗談だってのに」
「だからなんで見えるのよ!」
まあ、そりゃあ? <暗視>がありますし。
俺たちがそんなくだらないことで盛り上がっている中でも、シオンは空を見上げたままだった。先ほどの話でセンチメンタルにでもなっているのだろうか。
「大丈夫さ、シオン」
「え?」
なんたってこれだけの面子が揃っているのだ。今ならなんでもできそうな気がする。
「よし!」
俺は気合を入れて立ち上がる。
「どうしたのよ、急に」
「シオン明日から俺に戦い方を教えてくれ」
リリィーはこちらを見上げ訝しげな視線を向けてくる。
「気づいてないみたいだけど、あなたこの世界じゃ既に相当強いわよ。元の身体能力も高いし、おまけにスキルもどんどん覚えてるじゃない」
「って言ってもこの中じゃ俺が一番弱いだろ。足引っ張るようなことになりたくねーし。それに今すげーやる気出てんだよ」
口角をつり上げニヤリと笑う。
「ユウキ...?」
「はは、わかったよ。それじゃあ、明日からでも始めようか」
世界平和? 王道で結構。やってやろーじゃねーか。
バカみたいな夢だが、あっちの世界の人生なんかずっとマシだ。
さあ、始めよう!
ここからが俺の、新しい日常だ!
「まさか、お前の力って...」
「そう、国王に打ち込まれた薬のせいさ。後になって調べてみたけど、イデンシカイヘンってやつみたいだよ。詳しい事は難しすぎて分からなかったけど、今の僕の身体半分魔族さ」
そういってシオンは手を広げ、冗談めかして肩をすくめた。
しかし、すぐに再び前を向き遠くを見つめる。
遺伝子改変だと!? ファンタジー世界になんてもん持ち込んでやがる。俺と同じ転生者か?
「次に目覚めた時、すべては終わったあとだった。自分の身に何が起きたのかもわからないまま、アリアを人質に取られ、勇者として送り出されたんだ」
「その...妹さんは今も?」
「うん、帝国の地下牢に囚われているよ」
「そうか...」
助けに行かないのか? 次いで口に出そうなった言葉を慌てて飲み込む。
行けないから今もこうして苦悩しているのだろう。たしかにシオンの力は圧倒的だった。しかし、事が終わった後にはあまりにも無力だ。
なにせ、シオンには薬を打たれて気絶をしてしまい、空白の時間がある。それがあまりにも痛手だ。
「今でも思うよ。もしあの時気絶していなければ、自分の得た力に気づいて行動をおこせていたらって」
「そうだな...。けどそれは」
「わかってる。ありもしない仮定の話さ。あの時の僕に、気絶を免れる手段なんてなかった、自分の身体の変化に気づくすべもきっと無かった。それでも――」
自分の手を握り締め俯くシオンの表情は分からない。
「ちなみに、その妹さんの解放条件はなんだったんだ? 魔王討伐じゃあないんだろ?」
「うん、僕が提示させられたのはあくまで戦争を止めることだよ。まあ、国王の方は魔王を倒してこいって意味でいったんだろうけど、それを汲んであげる必要はないからね。それに魔王を倒しても戦争が終わらないんじゃ、僕はまたアリアを人質に戦場に駆り出される。それじゃあ意味がない」
たしかに、話を聞いただけだがその国王とやらならやりかねない。そもそも言うとおりにして助かる保障なんてないもんな。
「なら無理やり助け出す方法はあるのか?」
「国王の部屋にはられている結界を破り侵入。そして、国王の指にはめられたアーティファクト〔時の爆薬〕を無力化するんだ。あのアーティファクトの効果で、アリアに着けられた首輪が遠隔操作で爆発するようにされてる」
「それ、その妹さんのとこに直接とんで解除を試みればいいんじゃないか?」
「ダメだよ。解除を試みた瞬間に爆発するようにされてる。だから、確実な方法としては遠隔操作するアーティファクト本体を無力化するんだ」
なるほどな。ん?待てよ?
「首輪の方はどうするだ? それだと首輪だけ残ることにならないか?」
「うん、できれば外したいんだけど、そっちの方法はまだわかってないんだ」
シオンはお手上げだとばかりに首をふる。
いろいろと、厳しいだろうな。いずれにせよ、なんとかできるとしたらやはり――
「イブかリリィーに頼むしかないか」
「そうだね。でも僕は二人を頼るか気は無いよ」
「どうしてだ? もしかしたら助かるかもしれないぞ?」
あの二人は魔法やスキルが豊富だからな。何かしらの手段があってもおかしくない。
しかし、俺の提案はシオンの鋭い眼差しとともに却下された。
「そのもしかしたらに、僕の大切な家族の命を任せたく無いからだよ。助けるなら僕自身の手で確実な手段を手に入れてからさ」
その言葉に俺は何も言い返せなくなる。たしかにその通りだった。他人に大切な人の命預けるなんてしたくない。ましてや自分がその状況をゆるせないだろう。
「そういうわけだから二人にはまだ内緒で頼むよ」
「ああ、わかった」
「それじゃあ、そろそろ戻ろうか。イブもそろそろお風呂から戻るんじゃない?」
二人は立ち上がり屋根の端へと移動する。
「そうだな、あんまり遅くなると... って、おいなんでイブが風呂なの知ってんだ」
「いや、君に会う前にすれ違っただけだって、そんな怖い顔しないでよ」
シオンは呆れ顔でそういうと、軽く床をけり飛び降りていった。
「ならいいけどよ」
シオンにならい俺も飛び降りる。薄暗くて見辛いが降りる先は丁度玄関になっているはずだ。
「ユウキ、キミってもしかして結構独占欲強い?」
「...別にそんなことはねーよ」
「はははっ。素直じゃないね」
落下中にも関わらず、シオンは器用にも会話を続けてくる。舌を噛んでもしらないぞ。
いよいよ地面が近づいてくると、何やら人影が見えた。少々疑問を覚えるも、今日到着した魔族だろうとあたりをつけ、そのまま落下する。というか、落下中なので今更どうしようもない。
俺とシオンは着地と同時に膝を曲げ、衝撃を殺しながら地面に降り立つ。何気に初めてこの高さから降りたのだが上手くいって何よりだ。
「きゃっ!?」
「...!?」
きゃっ?
予想外に高い声に顔を上げると、そこにいたのはイブとリリィーの二人だった。
「びっくりした」
余程驚いたのか、リリィーが随分と気の抜けた声をだす。
まあ、上から人が降ってきたら当然か。
二人とも頰が火照っていることから風呂上がりだということがわかる。まさか、一緒に入ったのだろうか?
うらやまゲフンゲフン
どちらも薄着の寝巻き姿で、なんだか色っぽい。イブのほうなんか、だぼだぼの服を着ているせいで肩がでている。
そこまで見た瞬間俺の身体は咄嗟に動いた。
「うわっ!」
そして次には、上体をそらしてイナバウアーしているシオンと、手をチョキにして突き出している俺の姿が出来上がった。いわゆる目潰しというやつだ。
「ユウキ、さっき素直じゃないっていったけど、やっぱり取り消すよ」
「すまん、見せられないよってかんじだったから、つい」
「なんだい? それ」
ちょっとした暴走があったが、その後はイブに「めっ」とされて、ようやく話が出来るようになった。
「お前らそんな薄着で寒くないのか?」
先ほど言った通り二人ともパジャマなるものを一枚きただけだ。とても外を歩くような格好ではない。冬のような季節ではないが夜になるとそれなりに冷え込んでくる。俺もコートがなければ相当寒い思いしただろう。
「私は魔法でちゃんと防寒対策してるから大丈夫よ」
「私も... スキルある...」
...ほんと便利な奴らだな。
「それより、どうして上から降ってくるのよ」
リリィーの当然の疑問に、俺とシオンは顔を見合わせて笑う。
「男同士の話ってやつだな」
「へ、変態!」
顔を真っ赤にして叫ぶリリィーだが、男同士の話ってだけで、そういう発想に至るほうが余程頭がピンク色だろう。シオンの昔話を喋るわけにいかないので、勝手に勘違いしてくれる分には助かるが。
「で、お前らは?」
「ちょっとした散歩...」
「散歩?」
こんな夜の時間に?
これはあれか。女の子同士の話をというやつだろうか。俺たちのように内緒話でもある可能性もある... なら先に部屋に戻ってるか。寒いし、第2回戦は勘弁だ。
「それじゃあ、一緒に行く?」
「えっ」
「なによ? 特に用事もないんでしょ?」
~~~~~~~~~~
リリィーとイブについて行くと、そこは昨日の昼間にピクニックと称してやってきた小さな丘だった。二人が寝転ぶのにならって、俺とシオンも草むらに倒れこむ。
「はぁー」
深いため息をともに空を見あげると満点の星空が広がっていた。どの星も青い光を含んでおり日本で見ていた時の星に比べ随分と明るく感じる。
こんなにきれいなものなんだな。
「疲れた...?」
「そうだな。こっちの世界での出来事は俺にとってあまりにも濃すぎる」
星を見るのは初めてではない。首都圏に住んでいたわけでもなく、見上げれば多少の星空が見られるような環境ではあった。子どもの頃、七夕に天の川を見ようと家を飛び出しては、ぼやけた夜空を眺めたのがなつかしい。
歳を重ねるにつれ、どれだけ快晴だろうと「ここではこれ以上きれいなものは見れない」と知ってから見上げなくなったが、こんな機会が訪れるとは。
「何ニヤニヤしてるのよ」
「別に。というか魔王さん。恥ずかしくてシオンの顔見れないからって、俺の顔覗くのやめてもらえません?」
「は?/// 私はそんなっ///」
「リリィー...顔赤い...」
「ちょっとイブ! なんでこの暗闇で見えるのよ!」
「うわ、ほんとだ。冗談だってのに」
「だからなんで見えるのよ!」
まあ、そりゃあ? <暗視>がありますし。
俺たちがそんなくだらないことで盛り上がっている中でも、シオンは空を見上げたままだった。先ほどの話でセンチメンタルにでもなっているのだろうか。
「大丈夫さ、シオン」
「え?」
なんたってこれだけの面子が揃っているのだ。今ならなんでもできそうな気がする。
「よし!」
俺は気合を入れて立ち上がる。
「どうしたのよ、急に」
「シオン明日から俺に戦い方を教えてくれ」
リリィーはこちらを見上げ訝しげな視線を向けてくる。
「気づいてないみたいだけど、あなたこの世界じゃ既に相当強いわよ。元の身体能力も高いし、おまけにスキルもどんどん覚えてるじゃない」
「って言ってもこの中じゃ俺が一番弱いだろ。足引っ張るようなことになりたくねーし。それに今すげーやる気出てんだよ」
口角をつり上げニヤリと笑う。
「ユウキ...?」
「はは、わかったよ。それじゃあ、明日からでも始めようか」
世界平和? 王道で結構。やってやろーじゃねーか。
バカみたいな夢だが、あっちの世界の人生なんかずっとマシだ。
さあ、始めよう!
ここからが俺の、新しい日常だ!
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