2人のあなたに愛されて ~歪んだ溺愛と密かな溺愛~

けいこ

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元カレとの再会

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「柚葉」


そろそろ店を出ようと席を立った時、誰かが私の名前を呼んだ。その声に振り返ると、そこには、以前私が付き合っていた人……元カレが立っていた。 


「佐藤君!」


「久しぶり、柚葉、元気?」


あまりにも突然の再会に驚いた。
佐藤君にはもう二度と会わないと思っていたから。


「う、うん。元気……だよ」


「柚葉、どなた?」


真奈は少し怪訝な表情を浮かべている。


「あ、ごめんっ、こちらは……大学時代の友達の佐藤君。こちら、私の同僚の浅香さん」


「初めまして。浅香 真奈です」


「あぁ、初めまして。佐藤光二です」


初対面の2人のぎこちない挨拶のあと、佐藤君が切り出した。


「柚葉、ちょっと2人で話せない?」


「えっ?   あの……」


まさかの佐藤君の言葉に戸惑いが隠せない。


「あの、どういう御用ですか?   柚葉は今、私と食事中ですから、遠慮してもらえたら」


少し不快感を表しながら真奈が言った。
きっと、佐藤君の何ともいえない重苦しい雰囲気が、真奈にそう言わせたんだろう。


「佐藤君、どうしたの?   すごく顔色悪いよ」


せっかく引き離そうとしてくれたのに、私は思わずそう聞いてしまった。あまりの佐藤君の変わり様が、なぜか少し気になってしまったから。


「柚葉、どうしても相談したいことがあるんだ。すぐに時間作ってほしい。電話くれないか」


必死さが伝わってきて、ちょっと怖くなった。やっぱり、おかしい。私にいったい何を相談したいというの?


「ごめん。番号は……スマホから消したから。もう、佐藤君とは連絡取らないって決めてるし。だから、相談なら他の人にして。今日は……帰って……」


私も、真奈を見習って勇気を出した。
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